北海道、東北、北関東、甲信越 5年連続トップ変わらず
「いま注目されている」は国際教養大と長岡技術科学大、「地域貢献」は山形大が首位
山梨英和大は「グローバル」で初のトップ3入り
日経BPコンサルティング調べ 「大学ブランド・イメージ調査 2020-2021」(2020年8月実施)【東日本編】

2020年11月25日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、14年目になる「大学ブランド・イメージ調査(2020-2021)」の結果をまとめ、11月25日に調査報告書を発売した(調査実施は2020年8月)。

今年度は新型コロナウイルス拡大防止対策のため、多くの大学が新年度授業の4月開始を見送った。その後、遠隔授業を取り入れるなど感染拡大防止策を講じて授業を再開したが、対面授業の全面再開への目途が立たない大学は多い。このような過去に例を見ない非常時において、その取り組みが評価され、調査結果に表れた大学もあった。

当調査では、全国9地域457大学について、各大学の認知やイメージなどを尋ねた。なお、【東日本編】は、北海道、東北、北関東、甲信越の4地域を対象に、それぞれ独立して調査を実施している。

【東日本編4地域のノミネート大学数:北海道14校、東北38校、北関東20校、甲信越22校】

調査結果のポイント

大学ブランド総合力(49のブランド・イメージ項目の得票率を束ねて算出した総合スコア)ランキング
・[北海道]北海道大学、[東北]東北大学、[北関東]筑波大学、[甲信越]信州大学がトップ
・前回からの総合力上昇ランキングでは、[北海道]北海道大学、[東北]国際教養大学、[北関東]茨城大学、[甲信越]山梨学院大学がトップ
その大学特有の魅力として
・「いま注目されている、旬である」大学は、[東北]国際教養大学、[甲信越]長岡技術科学大学
・[東北]山形大学が「地域貢献」で2年連続トップ、[甲信越]山梨英和大学が「グローバル」で初のトップ3にランクイン

調査結果データ

《大学ブランド総合力》 各地域のトップは、北海道大学、東北大学、筑波大学、信州大学
北海道

「大学ブランド総合力」第1位は、77.8ポイントを獲得した北海道大学(表1-1)。次いで、小樽商科大学(54.1ポイント)、北海学園大学(51.9ポイント)。総合力上昇第1位は北海道大学で、3.5ポイント伸ばした(表2)。

東北

「大学ブランド総合力」第1位は、90.7ポイントを獲得した東北大学(表1-2)。次いで第2位は国際教養大学(62.0ポイント)、東北学院大学(58.4ポイント)。総合力上昇第1位は国際教養大学で、9.7ポイントの大幅上昇(表2)。

北関東

「大学ブランド総合力」第1位は、85.7ポイントを獲得した筑波大学(表1-3)。次いで、茨城大学(54.3ポイント)、群馬大学(53.4ポイント)。総合力上昇第1位は茨城大学で、1.0ポイントの上昇(表2)。

甲信越

「大学ブランド総合力」第1位は、77.4ポイントを獲得した信州大学(表1-4)。次いで、新潟大学(68.4ポイント)、山梨学院大学(60.8ポイント)。総合力上昇第1位は山梨学院大学で、4.5ポイント伸ばした(表2)。

《大学イメージ》 「いま注目されている、旬である」大学に国際教養大学、長岡技術科学大学

大学に関する49項目のイメージについて、それぞれの大学の得票率を見ると、各大学特有の魅力が見えてくる(表3-1~2)。イメージ項目「いま注目されている、旬である」において、東北では国際教養大学、甲信越では長岡技術科学大学がそれぞれ第1位を獲得した。

国際教養大学は、昨年に比べ総合力が9.7ポイントと大幅上昇しており、東日本4地域で見ても上昇ランキングは第1位。また「いま注目されている、旬である」以外に、「他大学にはない魅力がある」「グローバルである/国際交流が活発」なども含めると、49項目中7項目で第1位を獲得しており、注目度が高いことがわかる。同大学では、英語授業や留学の義務化など、グローバル視点の教育方針は以前から名高いが、今年は、新型コロナへの対応の早さも評価されたと考えられる。学生の4分の1が留学生であり、日本人学生の85%が県外出身者であることから、2月4日には新型コロナウイルスへの対応方針を公開、2月25日に卒業式入学式の延期を決定、3月19日には春学期の全授業をオンラインとする明確な方針を示していた。先行きが見通せないなか、早い段階での決断とそのメッセージを発信したことは、大学のステークホルダーに好印象を与えたと考えられる。

一方、長岡技術科学大学ではコロナ禍でのテレワーク需要に対応して、地域の企業向けに無料オンライン講習会「テレワークの基礎と応用」を開催した。雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施する事業者は厚生労働省から助成金を受け取れるが、適切な教育訓練を行った場合は加算額も受け取れる。この講習会は加算受給対象の教育訓練となっている。また、以前より取り組んでいた実験装置などの遠隔利用を進め、民間企業が利用できる環境作りにも取り組んでいる。このように大学の特長を生かした取り組みにより、知名度や信頼度が向上し注目を集めたと考えられる。

《6因子分類》 「地域貢献」東北は2年連続で山形大学、「グローバル」甲信越で山梨英和大学が初のトップ3入り

因子分析(※1)によって、49項目のイメージを関連性の高い6つのグループ(6因子)に分類した(※2)。「地域貢献」因子に注目すると、東北では2年連続で山形大学が第1位を獲得した(表4-2)。同大学はこの因子で過去4年、3位、3位、1位、1位と常に高い評価を得てきた。ただし、地域貢献は各大学が力を入れているテーマであり、特に国立大学は重点的に取り組んでいる。当調査においても「地域貢献」因子は順位の入れ替わりが激しい。今回2位の岩手大学とは0.6ポイント差と僅差となっており、来年以降も国立大学同士の接戦が予想される。

6因子のランキングでもう1校注目したい大学は、山梨英和大学である。同校は今回、甲信越の「グローバル」因子で初めて3位にランクインした(表4-4)。同大学は2002年開学(山梨英和女学校が母体)の若い大学。しかし、ここ3年で「グローバル」因子が、9位、5位と続き、今回3位となっており、「グローバル」な大学としてのイメージが確実に浸透している。山梨英和大学は、建学の精神のひとつとして「グローバルシチズンシップ」をうたっており、その精神を大学の特長として打ち出し、継続してきた。これがイメージの浸透に繋がっていると考えられる。自学の特長を見極め、一貫して訴求し続けるという、大学ブランドを育てる王道ともいえる施策が成功した好事例といえる。

(※1)因子分析・・・多変量解析の分析手法の一つ。調査などから得られた観測変数(この場合、調査結果)が、どのような潜在的な変数(因子)から影響を受けているか探り出す手法。
本調査においては、49項目のイメージに対して、関連の強い項目を束ね合わせ、グルーピングする目的に利用した。

(※2)6因子・・・49項目のイメージを因子分析によって、「一流」「躍動感」「創造力」「グローバル」「地域貢献」「上品・誠実」に分類し、それぞれを構成するイメージ項目の獲得割合をまとめ偏差値化した。

本調査では、大学ブランドを算出する49項目以外にも、大学の「認知率」や、口コミなどに影響される「入学推薦率」「採用意向率」などロイヤルティに関わる結果を客観的評価にまとめている。大学ブランドの浸透度合いに合わせた戦略的なコミュニケーション活動に、ぜひお役立ていただきたい。

「大学ブランド・イメージ調査2020-2021」
【東日本編】【首都圏編】【北陸・東海編】【近畿編】【中国・四国編】【九州・沖縄・山口編】

全国の主要大学計457校(医科大学や体育大学、短期大学などは除外)の「大学ブランド総合力」算出を目的としたインターネット調査。
日経BPコンサルティングの提携先調査機関の調査モニターを中心に、同地域に居住し、仕事をしている方(ビジネスパーソン)や、中学生以上の子どもがいる父母、教育関連従事者に回答を依頼。「地域産業への貢献度」や「研究施設の充実度」、また学生の「語学力」や「コミュニケーション能力の高さ」など大学や学生へのブランド・イメージ49項目を測定。それらから大学ブランド総合力(偏差値)を算出してランキング化した。調査設計や分析にあたり、企業ブランドおよび製品/サービスブランドの調査で実績のある「ブランド・ジャパン」で培ったノウハウを活用。調査するイメージ項目を洗い出した。調査期間は2020年7月22日~8月24日、本リリースで結果を掲載したビジネスパーソンの有効回答数は、北海道644件、東北1,744件、北関東1,107件、甲信越1,176件。2020年11月25日に地域ごとの調査結果をリリース。
(本リリースのURL:https://consult.nikkeibp.co.jp/info/news/2020/1125ubj_1/

資料

表1-1 【北海道】大学ブランド総合力ランキング(ビジネスパーソンベース)TOP5
表1-1 【北海道】大学ブランド力ランキング(ビジネスパーソンベース)TOP5 クリックで拡大
表1-2 【東北】大学ブランド総合力ランキング(ビジネスパーソンベース)TOP20
表1-2 【東北】大学ブランド力ランキング(ビジネスパーソンベース)TOP20 クリックで拡大
表1-3 【北関東】大学ブランド総合力ランキング(ビジネスパーソンベース)TOP5
表1-3 【北関東】大学ブランド力ランキング(ビジネスパーソンベース)TOP5 クリックで拡大
表1-4 【甲信越】大学ブランド総合力ランキング(ビジネスパーソンベース)TOP5
表1-4 【甲信越】大学ブランド力ランキング(ビジネスパーソンベース)TOP5 クリックで拡大
表2 大学ブランド総合力上昇ランキング(ビジネスパーソンベース)1位
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表3-1 【東北】各ブランド・イメージ項目で第1位になった大学(49項目:ビジネスパーソンベース)
表3-1 【東北】各ブランド・イメージ項目で第1位になった大学(49項目:ビジネスパーソンベース) クリックで拡大
表3-2 【甲信越】各ブランド・イメージ項目で第1位になった大学(49項目:ビジネスパーソンベース)
表3-2 【甲信越】各ブランド・イメージ項目で第1位になった大学(49項目:ビジネスパーソンベース) クリックで拡大
表4-1 【北海道】6因子別ランキング(ビジネスパーソンベース)
表4-1 【北海道】6因子別ランキング(ビジネスパーソンベース) クリックで拡大
表4-2 【東北】6因子別ランキング(ビジネスパーソンベース)
表4-2 【東北】6因子別ランキング(ビジネスパーソンベース) クリックで拡大
表4-3 【北関東】6因子別ランキング(ビジネスパーソンベース)
表4-3 【北関東】6因子別ランキング(ビジネスパーソンベース) クリックで拡大
表4-4 【甲信越】6因子別ランキング(ビジネスパーソンベース)
表4-4 【甲信越】6因子別ランキング(ビジネスパーソンベース) クリックで拡大

ノミネート大学

[北海道]

小樽商科大学、北見工業大学、北海道教育大学、北海道大学、室蘭工業大学、釧路公立大学、公立はこだて未来大学、公立千歳科学技術大学、札幌市立大学、札幌学院大学、札幌大学、北星学園大学、北海学園大学、北海道科学大学

[東北]

青森県

弘前大学、青森公立大学、青森大学、青森中央学院大学、東北女子大学、八戸学院大学、八戸工業大学、弘前学院大学

岩手県

岩手大学、岩手県立大学、富士大学、盛岡大学

宮城県

東北大学、宮城教育大学、宮城大学、石巻専修大学、尚絅学院大学、仙台白百合女子大学、東北学院大学、東北工業大学、東北生活文化大学、東北福祉大学、東北文化学園大学、宮城学院女子大学

秋田県

秋田大学、秋田県立大学、国際教養大学、ノースアジア大学

山形県

山形大学、東北公益文科大学、東北文教大学

福島県

福島大学、会津大学、医療創生大学、奥羽大学、郡山女子大学、東日本国際大学、福島学院大学

[北関東]

茨城県

茨城大学、筑波大学、茨城キリスト教大学、筑波学院大学、常磐大学、流通経済大学

栃木県

宇都宮大学、足利大学、宇都宮共和大学、作新学院大学、白鴎大学

群馬県

群馬大学、群馬県立女子大学、高崎経済大学、前橋工科大学、関東学園大学、共愛学園前橋国際大学、上武大学、高崎健康福祉大学、高崎商科大学

[甲信越]

新潟県

上越教育大学、長岡技術科学大学、新潟大学、新潟県立大学、敬和学園大学、長岡大学、新潟医療福祉大学、新潟経営大学、新潟工科大学、新潟国際情報大学、新潟産業大学

山梨県

山梨大学、都留文科大学、山梨県立大学、山梨英和大学、山梨学院大学

長野県

信州大学、諏訪東京理科大学、長野県立大学、長野大学、清泉女学院大学、松本大学

※なお、大学名称が直近で変更になった場合、新規の名称の認知が低いことが考えらえるため、変更前の名称を調査対象としている場合があります。

※白鴎大学の表記は、常用漢字で表示しています。

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株式会社 日経BPコンサルティング
ブランドコミュニケーション部 伊藤 憲

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