「顧客」「リード」の定義を明確にしよう

BtoBの「顧客」を理解しよう(第1回)

「顧客」「リード」の定義を明確にしよう

マーケティングで使われる「顧客」や「リード(lead)」。これらには明確な定義がなく、どのような状態の顧客を指すのかあいまいなことも多いので、整理してみましょう。

「リード」「見込み顧客」とは何のこと?

 マーケティングの世界では、まだ取引が始まっていない相手を「リード」「見込み顧客」などと呼びます。

 「見込み」がどの程度なのかは状況によって変わりますが、見込みの度合いが高い順に、ホットリード、ウォームリード、コールドリードと呼ぶことがあります。

 一方、将来的に顧客になる可能性はありますが、まだニーズが顕在化していない顧客を「潜在顧客」と呼びます。

 なお本書では「リード」と「見込み顧客」をほぼ同じ意味で使用します。

見込みの程度によるリードの分類例

ホットリード
一般に数カ月以内に商談に結びつきそうな潜在顧客

ウォームリード
 一般に1年前後のうちに商談に結びつきそうな潜在顧客

コールドリード
時期は未定だが、将来商談に結びつきそうな潜在顧客

リードを生み出し、育て、選び出す

 リードを生み出し顧客とするまでのプロセスを表す言葉もあります。リードを生み出すことを「リードジェネレーション」(lead generation)、生み出したリードを育てることを「リードナーチャリング」(lead nurturing)、取引に結びつきそうなリードを選ぶことを「リードクオリフィケーション」(lead qualification)と呼ぶことがあります。

 「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」の3つの一連のプロセスを「デマンドジェネレーション」と呼びます。「デマンド」とは顧客からの要求、要望という意味です。

リードの定義を共有しよう

 注意が必要なのは、マーケティング部門と営業部門が考えるリードのレベルに差がある場合です。

 例えばマーケティング部門は、展示会・セミナーで集めた名刺や、問い合わせメールの送信元アドレスなどをリードと考えますが、この中には、情報収集のために来場したアナリストや業界誌記者、情報収集はしているが購入自体はまだ先というコールドリードも混じっているかもしれません。

 一方、営業部門が考えるリードは、購買の見込みがある人のリストであって、アナリストや記者、コールドリードなどをリードとは呼びません。

 重要なのは、マーケティング部門と営業部門でこうしたリードの定義を共有することです。

まとめ
  • マーケティング部門と営業部門で「リード」の定義を共有することが必要

「顧客」にもいろいろある

 「顧客」という言葉も定義が難しく、マーケティングと営業の間で共有できていないケースが見られます。

 例えば、以前は取引があったが今は取引がない顧客をどう定義するか、部門によって考え方はまちまちです。営業部門では「以前取引をしていて、その後取引がなくなって3年たつが、担当者レベルで年賀状交換はしている」という客を「休眠顧客」と考えるでしょうし、マーケティング部門は「3年も取引がないなら、新規顧客と同じ」と考えるかもしれません。

顧客の定義は時間軸で考える

たまに連絡があれば、 休眠顧客 営業部門の担当者 3年も 取引がなければ、 新規顧客 マーケティング部門の担当者

 潜在顧客、見込み顧客、新規顧客、休眠顧客─。これらの位置づけが部門ごとに共有できていない企業も多いかもしれません。

 コンテンツマーケティングを進めるには、企業の中でこれらの定義をしっかり共有する必要があります。

「顧客」は時間軸を基準に定義する

 あいまいになりがちなこれらの言葉の定義ですが、明確化するには時間軸を基準にしましょう。

 例えば「新規顧客」とは、契約を締結し明日から本格的に取引が始まる取引先を指します。「イベントの企画立案を任された」「備品のレンタルを依頼された」といった一過性の取引である場合、こういった新規顧客をリピート顧客に引き上げていくことがポイントになります。

 BtoBの場合、クラウドサービスなどITのインフラ系の商材を扱っていれば、リピートしてもらうこと、つまり継続取引が基本になります。この場合、「昨日契約が切れた」という相手は「休眠顧客」と定義して問題ありません。

 ただ、いつまでを「休眠」とするかが問題です。次の取引までの時間が短いと思われる場合は「休眠顧客」と考え、長期にわたる場合は(相手企業の担当者も変わっている可能性もあるので)、次の取引を「新規」と定義するとよいでしょう。

顧客の定義は時間軸で考える

取引開始 取引中止 取引開始の可能性 新規顧客 顧客 休眠顧客 ここの期間の長さによって、顧客の定義が変わる 新規顧客?

第2回「ペルソナ」を設計して買い手を「見える化」するへ続く)

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