マーケティングで「創客」営業で「増客」
BtoBの「顧客」を理解しよう(第4回)
この章では顧客の定義や顧客の態度変容について見てきました。ここでは顧客に対するマーケティング部門の役割と営業部門の役割を、それぞれ整理してみましょう。
マーケティングは顧客を「創る」活動
コンテンツマーケティングの成果をあげるには、マーケティングと営業との連携が不可欠です。
第1回で「リードジェネレーション(リードを生み出す)」「リードナーチャリング(リードを育てる)」「リードクオリフィケーション(リードを選び出す)」のプロセスを紹介しました。これを、マーケティング部門と営業部門の立場から整理してみましょう。
コンテンツマーケティングを含め、あらゆるマーケティング活動の目的は、「顧客を創ること」つまり「創客」と考えられます。そのためにはまず「集客」し、「接客」することが必要です。そしてこの間に行われる見込み顧客の「ナーチャリング」と「クオリフィケーション」を、本書では「探客」と呼ぶことにします。
マーケティング部門ではこうして購買の可能性の高い顧客を育成し、そのリストを営業部門に渡し(これを「送客」といいます)、営業部門はマーケティング部門が探してきた顧客を増やし(「増客」といいます)、売上を伸ばすことが望まれます。
集客から増客までの流れと戦術
次の図に、顧客に対するマーケティング部門と営業部門の業務、そして顧客のそれぞれの状態でのポイントをまとめました。
コンテンツマーケティングで実現する集客から増客まで
まず、自社に興味を持ってくれそうなターゲット層にコンテンツを提供して集客します。その顧客に接客するのも、コンテンツの大切な役割です。
例えばあるIT企業で自社製品の成功事例集を活用して自社Webサイトに集客し、ホワイトペーパーと引き換えに、顧客のメールアドレスを取得したとします。次段階として取得したアドレス宛てにメールマガジンを送り、さらに詳しい情報に誘導します。このメルマガと誘導先のコンテンツが「接客」に相当するわけです。
メールを受け取った顧客が誘導先コンテンツを閲覧したり、さらにWebサイト内を回遊すれば、そのログが残ります。滞在時間が長かったり、費用や問い合わせ先などの情報も見ているなら、商品購買へのニーズは相当高いと考えてよいでしょう。
こうして購買見込み確度の高い顧客を、営業部門に「送客」します。ここまでがマーケティング部門の役割になります。
営業は受け取った顧客のリストを使って営業をかけ、クロスセルやアップセル(第5章)などの「増客」に努めます。
増客までのプロセス中に求められる成果は、実は売上ではありません。「顧客を探す/見極める」こと、つまり「探客」をいかに効率よく進めるかがポイントなのです。
最大のポイントは「探客」にあり
マーケティング活動で最大のポイントとなるのは、見込み顧客を探し、コミュニケーションを取りながら育成し(ナーチャリング)、本当に購買してくれる顧客を選ぶ(クオリフィケーション)という「探客」です。
このときのポイントは、「ターゲットにいかに効率よくアプローチするか」「いかに効率よく伝えたい内容を響かせるか」「購買してくれる顧客かどうかを効率よく見抜けるか」ということになります。
次に、集客から増客までの間にどのような戦術を基にコンテンツを提供すべきか、考えてみましょう。
見込み顧客の状態に応じて、「ターゲットが集まる『場』を作る」「ターゲットに響くコンテンツを作る」「真のターゲットか見極めるための情報を把握する」の3つの戦術の下、それぞれに適したコンテンツを提供します。
先ほどの図にこれらの戦術と必要なコンテンツを加えると、下の図のようになります。
集客から増客までの戦術とコンテンツ
なお、3つめの「真のターゲットか見極めるための情報」を「BANT情報」と呼びます。
これは顧客のBudget(予算)、Authority(役職・権限)、Needs(ニーズ)、Timeframe(購買時期)に関する情報のことで、これを把握することで顧客が自社商品にどの程度の関心を持っているのか、購買してくれそうかなどの目安になります。
BANT情報によって顧客の見込み度の高さが分かる
連載 「BtoBの「顧客」を理解しよう」 記事一覧
- 第1回 「顧客」「リード」の定義を明確にしよう
- 第2回 「ペルソナ」を設計して買い手を「見える化」する
- 第3回 カスタマージャーニーは顧客のコンテンツ体験
- 第4回 マーケティングで「創客」営業で「増客」
- 第5回 有力な見込み顧客に最適化 ABMという戦略
- 第6回 チャネルの変化により顧客の行動も変化している
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