コンテンツマーケティングを実践するプロセス
コンテンツマーケティングを実践しよう(第2回)
コンテンツマーケティングを実践するプロセスは、基本的に通常のマーケティングのプロセスと変わりませんが、異なるのは、コンテンツ制作が不可欠という点です。そのためのプロジェクト体制、チームの組み方が焦点になります。
コンテンツマーケティングを進めるには
コンテンツマーケティングを実践するプロセスは、基本的に通常のマーケティングのプロセスと変わりません。異なるのは、コンテンツ制作が不可欠という点です。
コンテンツマーケティングのプロセス
プロジェクト体制を整える
コンテンツマーケティングの実行に当たり、最初にやるべきことはプロジェクト体制を整えることです。マーケティング部門、営業部門両方にまたがってコンテンツマーケティングを推進するチームを作ります。
具体的には、①プロジェクトリーダー、②コンテンツ戦略立案者、③編集者、④コンテンツ制作担当者、⑤データ分析担当者、⑥営業担当者というメンバーを決めましょう。
場合によっては、複数の役割を1人で兼務することもあります。
コンテンツマーケティングの推進チーム
コンテンツマーケティングには編集者が必要
さて③編集者とは、次の3つのスキルを持ったメンバーのことをいいます。
- ▸ マーケティングの目的を理解している
- ▸ それを達成するコンテンツを制作するクリエイティブ力がある
- ▸ コンテンツの成果を受けて、改善策を立案できる
コンテンツマーケティングでは、顧客の行動が必ずしも売り手企業の狙い通りになるとは限りません。
例えば、これまで自社を認知してこなかった新規のターゲット層に向けたコンテンツを作ったのに、新規の登録や申し込みはゼロで、既存顧客にしか響かなかったということもあります。そうした結果を見ながら、「ではキャッチコピーを変えてみよう」「デザインを変更してみよう」というクリエイティブな判断を下し、微調整しながら効果を上げていくのが編集者の仕事です。そのため、目標に沿って最適なコンテンツを制作し続けるチームメンバーが必要になるのです。
従って編集者は、プロジェクトリーダーやコンテンツ戦略立案者と緊密なラインを確立しなくてはなりません。マーケティングセンスに優れていれば、編集者がコンテンツ戦略立案者を兼務することも可能です。
自社内で人員が足りない場合は、自社マーケターがプロジェクトリーダーとなり、外部の専門企業にコンテンツ戦略立案と編集を一任すると、コンテンツ戦略から制作までの動きが速くなるでしょう。
データ分析者がPDCAサイクルを迅速化
コンテンツ戦略立案から制作までの動きを加速するのが編集者なら、PDCAサイクルを加速させる役目はデータ分析者にあります。
マーケティング施策は実施した後の評価・検証・改善がポイントですが、実際に評価・検証をしっかりできている企業は、実は意外なほど少ないのです。その理由は、主に次の2つです。
- ▸ マーケティング施策と売上貢献の因果関係が分かりにくい
- ▸ 前年度のやり方を踏襲すればよいという風潮がある
例えば展示会で多数の人と名刺交換し、その中から実際に取引が始まったとしても、展示会がその売上にどれだけ貢献したのかは分かりません。このように貢献度がどれくらいか見えないため、前年度のやり方を踏襲すればよいという風潮が強くなっていったのです。
検証・改善せずにコンテンツをただ公開し続けても、効果は見えません。コンテンツの効果を最大化するには、データによる分析と検証があってこそ。常にデータの分析をし、PDCAサイクルを迅速化することが必要になります。
顧客を明確化しよう
体制作りの次は、顧客の明確化に着手しましょう。
BtoBはそもそもペルソナが設計しづらいので、企業データベースを活用して顧客にしたいターゲット層を洗い出します。資本金や人数、所在地、事業分野や得意先などを含め、ターゲットとなる層を具体的に描いていきましょう。
ターゲット層が明らかになれば、その層が普段から接触している情報チャネルや商品購入のポイントが見えてきます。IT企業ならばWebコンテンツの検索やソーシャルメディアでの情報収集を行う率は高いのですが、建設業だとWebに常時接しているのは管理部門が多くなります。
そうした特徴をつかみながら、コンテンツの配置や内容、パッケージについて戦略を練っていきます。
買い手の検討プロセスに応じたコンテンツを準備
TOFU(第1回参照)には、見込み顧客の興味や関心を引くために読み物のコンテンツを用意することがあります。
しかしBtoBの場合は、次の段階のコンテンツの準備が重要です。MOFU、つまり見込み顧客が商品の検討段階に入ってきたら、他社商品と比較したり稟議に上げたりするために、製品カタログやパンフレットを印刷機能とともに掲載したり、結果をPDF化できる見積もり機能を掲載しましょう。
また必要なときに顧客がすぐに問い合わせできるようなフォームやFAQの装備も必要になります。
事例であってもフェーズによって書き分ける
事例のコンテンツを掲載する場合、買い手である担当者のフェーズによって複数必要になることがあります。
例えば、ダウンロードできる事例コンテンツを掲載する場合も、ケースによって3種類くらい用意するのがベストでしょう。
買い手のフェーズによって必要な事例も異なる
小さな成功体験を積み上げよう
コンテンツマーケティングを試したくても、上層部の理解が得られない企業もあるでしょう。大々的にコンテンツマーケティングを始めるには営業スタイルやマーケティング予算の見直しも必要なので、ハードルは高くなります。
または、マーケティング部門は乗り気でも、営業部門の理解が得られないケースもあるかもしれません。
こういう場合、多くの企業が選択するのは、小さな成功体験を積み上げる戦略です。結果として数値が改善したら、上層部もプロジェクトの価値を認めるはずです。
例えば新商品リリースのタイミングでコンテンツマーケティングを小さく始め、見込み顧客の育成をテストで行ってみるなど、実績値を見せながら、現場から全社プロジェクトとして上に上げていくと、大きな改革プロジェクトになる可能性が高まります。
連載 「コンテンツマーケティングを実践しよう」 記事一覧
- 第1回 マーケティングファネルで顧客の動きを見る
- 第2回 コンテンツマーケティングを実践するプロセス
- 第3回 コンテンツマーケティングに必要なシステム
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