マーケティングファネルで顧客の動きを見る

コンテンツマーケティングを実践しよう(第1回)

マーケティングファネルで顧客の動きを見る

マーケティングを考えるうえでよく見るモデルが、マーケティングファネル。BtoBでは、既存顧客に対するマーケティング活動を含めたダブルファネルの考え方が使われます。

マーケティングファネルの3つの段階

 ここでは、商品やサービスを多くの見込み顧客に認知してもらい、最後には購買にいたるまで顧客を絞り込んでいく過程を説明します。

 このファネル(じょうご)は、TOFU(Top of the Funnel:じょうごの上部)、MOFU(Middle of the Funnel:じょうごの中部)、BOFU(Bottom of the Funnel:じょうごの底部)の3つに分けて考えることができます。

 マーケティングファネルの図の中で、TOFUとは顧客が最初にコンテンツなどに接触して商品やサービスを認知する機会で、このときはまだ見込み顧客です。MOFUは次の段階でコンテンツに接触する機会となり、商品の購買に向けて検討が始まっている段階といえます。

 こうして見込み顧客が様々なコンテンツによってTOFU→MOFUと育成(ナーチャリング)されていき、最後のBOFUで購買にいたります。

 コンテンツマーケティングにおいては、見込み顧客の態度をTOFU→MOFU→BOFUと変容させていくために、売り手はコンテンツを作り分け、出し分けていく必要があるのです。

マーケティングファネルを3段階に分ける
マーケティングファネルを3段階に分ける

ダブルファネルで、購入後も継続して取引を

 さてコンテンツマーケティングを考えるとき、ファネルを逆さにして2つをつなげた「ダブルファネル」というモデルを描くことがあります。

 通常は、「ファネルの底部のBOFUで顧客が購買にいたればゴール」となります。

 しかしBtoBの場合は、購買後も引き続き売り手企業のファンになってもらい、商品やサービスを継続して購買してもらったり、ほかの人に推薦してもらえることが望まれます。

 この様子を図にすると、以下のようになります。

コンテンツマーケティングのイメージはダブルファネル
コンテンツマーケティングのイメージはダブルファネル

 図のように、購買後に継続して取引してもらうだけでなく、アップセル(顧客が当初希望した商品より上位/高額の商品を薦めて販売すること)やクロスセル(顧客が当初希望した商品に関連商品も併せて薦めて販売すること)などの獲得も期待できます。

 BtoBの商品は、BtoCのような一般の消費財と異なるので、一過性の取引を数多く増やすことが目的ではありません。むしろ長期取引を続けられる見込み顧客をいかに獲得するか、一度顧客になってくれた企業をどのようにリピーターにしていくかが重要です。

 こうした前提があるBtoB企業にとって、ダブルファネルの概念はマーケティング戦略を考える基本となります。

 なお、ダブルファネルの上のファネルは底部にいくに従って顧客の人数が絞られていきますが、下のファネルでは下に向かって売上金額が増えていく様子を表しています。

段階に合わせてコンテンツを出し分ける

 コンテンツマーケティングでは、ダブルファネルの考え方に基づいて、顧客の段階に応じてコンテンツを作り分け、出し分けていくことが必要になります。

 例えば次の図のように、掲載したり配信したりするコンテンツを検討します。

ファネルの段階に合わせてコンテンツを出し分ける
ファネルの段階に合わせてコンテンツを出し分ける

三角形ではないファネルもある

 ファネルは、マーケティングのプロセスに沿って適したコンテンツに適切な目標を設定する際に有効なモデルです。しかし、ファネルの形が実際のビジネスプロセスと異なることもあるでしょう。

 例えば特殊機械製造メーカーの場合、ニッチな市場なのでターゲット層も限られ、そもそも最初の段階で「絞り込んでいく」というほど多くの集客は必要ないかもしれません。古くからの成熟した業界では、新たな見込み顧客を集客するより、限られた市場を奪い合うという状況が実際のところでしょう。

 ファネルの形は、あくまでイメージを具体化したものにすぎません。このため、TOFUの部分で「多くの人を集客する」のではなく、「ターゲットとなる層に確実に届ける」ことが目的になるケースもあり得ます。

 特にニッチで市場が限られているのならば、ターゲットになる企業は見えているので、企業データベースを活用してターゲット企業をリストアップして確実にコンテンツを訴求し、ニーズの成熟を促すというやり方もコンテンツマーケティングの戦略になります。

第2回「コンテンツマーケティングを実践するプロセス」へ続く)

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