広島大学が、中四国の主要大学58校の中で「大学ブランド偏差値」第1位も、岡山大学が猛追。教育関連従事者の評価:「資格取得に積極的な」広島国際大学、「広報活動に力を入れている」美作大学
―「大学ブランド・イメージ調査 2011-2012」【中国・四国編】(2011年8月実施)より―

2011年11月09日

日経BPコンサルティング(東京都港区)は、2011年8月に実施した「大学ブランド・イメージ調査 2011-2012」*の結果をまとめ、本日(2011年11月9日)調査結果報告書を、発行・発売する。

「首都圏」「近畿」のほか、「北関東・甲信越」「北陸・東海」「中国・四国」「九州・沖縄・山口」の6地域403大学を対象に、同地域在住のビジネス・パーソンや、中学生以上の子供のいる父母、また教育関連従事者の目線から調査したものである。大学の「認知度/認知経路」「採用意向度」「入学推薦度」や「子供の進学に対する意識」などのほか、大学や学生などに対する49項目に及ぶブランド・イメージを尋ねた。

中国・四国編の「大学ブランド偏差値」(大学ブランドの総合力を示す指数)ランキング第1位は、89.4ポイントを獲得した広島大学で前回調査に続く首位(表1)。広島大学は、49のブランド・イメージ項目の内、21項目でトップとなった。第2位は岡山大学(83.0ポイント)。広島大学とのポイント差は、前回の11.8ポイントから、6.4ポイントまで縮まり、49項目中17項目で第2位を獲得した。第3位には愛媛大学(64.4ポイント)が続いた。なお、6地域全体での403校を対象とした大学ブランドランキングでは、京都大学が第1位となった。

58校の大学ブランド偏差値の分布をみると、広島大学と岡山大学が突出したポイントを獲得。第6位の徳島大学から、第21位の岡山県立大学までが50ポイント台となり、それ以降の半数以上の大学は平均以下の40ポイント台となった。よって、下位の大学は、さまざまなステークホルダーに対して、自校の魅力がまだ十分に伝わっていない可能性がある。

また、トップ10をみると国立大学が6校(広島大学、岡山大学、愛媛大学、徳島大学、高知大学、鳥取大学)、私立大学が4校(岡山理科大学、ノートルダム清心女子大学、松山大学、広島工業大学)ランクインしている。また、トップ5中3校は、岡山の大学が占める。

教育関連従事者の評価:「資格取得に積極的な」広島国際大学、「広報活動に力を入れている」美作大学、「語学に長けている」のノートルダム清心女子大学など、大学の特徴が明らかに

本調査では、大学の教職員など教育関連従事者にもブランド評価を依頼した。その結果から、各イメージ項目第1位になった大学をみると、その大学の特徴や「らしさ」が、より身内に近い関係者に、どの程度浸透しているかがうかがえる(表2)。例えば、「資格取得に積極的」では広島国際大学が第1位となった。診療放射線技師や臨床工学技士など医療系の免許取得に熱心で、就職に有利になるようなカリキュラムが評価されている。また、「広報活動に力を入れている」では、「食」「子ども」「福祉」系の学科がそろう岡山県の美作大学が首位となった。「語学に長けている」では英語英文学科がある岡山県のノートルダム清心女子大学が、また「地域社会・文化に貢献している」では高知大学が、それぞれ第1位を獲得した。

大学ブランド偏差値の高い大学は、そもそも大学が知られているかどうかを示す「大学認知率」も高い傾向にある。しかし、学生数や学部・学科が少ないといった規模の小ささの影響で、認知率がそれほど高くない大学の中に、ブランド偏差値が平均の50を超えている大学もあり、「山椒は小粒でもピリリと辛い」を地で行く大学が存在する。まさに様々なステークホルダーに魅力ある大学として印象付けられている大学である。今回の調査では、安田女子大学や広島女学院大学、県立広島大学などがそれに該当する。それらとは対照的に、認知率、ブランド偏差値ともに低い大学も少なくない。ブランドを大学経営の中で体系立って管理せず、解決すべき課題すら認識されていない大学である。少子化・全入時代のいま、自校のブランド育成の進捗を数値化して客観的にレビューすることが、まずは必要ではないだろうか。

(吉田健一=日経BPコンサルティング ブランドコンサルティング部 次長/ブランドプロジェクト・マネージャー)

*「大学ブランド・イメージ調査2011-2012」【首都圏編】【近畿編】【北関東・甲信越編】【北陸・東海編】【中国・四国編】【九州・沖縄・山口編】

6地域の主要大学計403校の「ブランド偏差値」算出を目的としたインターネット調査(医科大学や体育大学、短期大学などは除外)。「地域産業への貢献度」や「研究施設の充実度」、また学生の「語学力」や、「コミュニケーション能力の高さ」など大学や在学生へのブランド・イメージ49項目を測定し、それらをまとめた総合ブランド指数(=大学ブランド偏差値)を算出してランキング化した。調査にあたって、日経BP/日経BPコンサルティング調査モニターを中心に、同地域のお仕事をお持ちの方(有職者)や、中学生以上の子供がいる父母、教育関連従事者に回答を依頼。なお、調査設計や分析にあたり、企業ブランドおよび製品/サービスブランドの調査で実績のある「ブランド・ジャパン」で培ったノウハウを活用し、調査するイメージ項目を洗い出した。中国・四国編は2011年8月3日~21日に実施し、5,490件(同地域在住の有職者、学生の父母)の有効回答を得た。2011年11月9日に調査結果報告書を発行。

表1 【中国・四国編】大学ブランド偏差値ランキング(有職者編)TOP30
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表2 各ブランド・イメージ項目で第1位になった大学(33項目:教職員など教育関連従事者ベース)
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