Vol.2 経営者に響くメディアとして書籍を選択、反響に手ごたえ

電通パブリックリレーションズが2013年に社内に設立した企業広報戦略研究所は、広報のあり方についての調査・研究、提言などの活動を続けている。企業広報を取り巻く環境が大きく変化しつつある中、同研究所が実施した「企業広報力調査2014」では、企業の広報活動の課題が浮き彫りになった。そこで、この調査結果を盛り込む形で、書籍『戦略思考の広報マネジメント』を出版したところ、大きな反響を得たという。広報のプロでもある同研究所が、情報発信の手段として書籍を選んだ理由とは何か。同社の常務執行役員で研究所の所長を務める三浦健太郎氏に話を伺った。

企業広報力向上のコツを、書籍で効果的に伝える

三浦 健太郎 氏 三浦 健太郎 氏
株式会社電通パブリックリレーションズ
取締役常務執行役員 企業広報戦略研究所 所長

――企業広報戦略研究所の役割をお聞かせください。

三浦: 当研究所は2013年の暮れ、電通パブリックリレーションズの社内に設立されました。いま、企業広報を取り巻く環境は、大きく変化しつつあります。SNSの普及による情報流通構造の変化は、その代表的な要因です。

従来の情報発信は、ニュースリリース配信のような企業からの一方的なものが主でしたが、今日の消費者は情報を受け取るだけでなく、SNSなどを通じて積極的に情報発信ができるようになっています。そのため、企業の広報活動には消費者からの情報発信の傾向分析や、ネガティブ情報に対するリスク管理なども求められるようになりました。

こうした状況を受けて、これからの広報のあり方を考え、その重要性を多くの方々に伝えること。そして、この分野の研究活動を通じて社会と企業に貢献すること。これが当研究所が設立された背景にあります。

――具体的には、どのような活動をしているのでしょうか?

三浦: 広報活動の実態や課題などについて調査・研究、提言を行っています。専門家を招いてセミナーやシンポジウムを開催したり、企業や業界団体からの要請で説明会に出向いたりしています。

調査・研究活動の1つが「企業広報力調査2014」で、2014年1~2月に国内上場企業約3,500社を対象に広報活動の実態、課題などを調査しました。回答は479社から得られました。回答率は13.7%。これは民間研究所の調査としては、極めて高い数値です。それだけ、企業にとって「広報が重要」という認識が高まっているということでしょう。企業広報のあり方に課題や問題点を感じている経営者、広報責任者が多いことの裏付けでもあると思います。

――調査を受けて、書籍として『戦略思考の広報マネジメント』を発行した目的を教えてください。

三浦: この調査により、優れた広報活動とはどのようなものか、また、広報力を向上するヒントなどが見えてきました。これらの成果を広く世に伝える手段として、様々なものを検討しました。具体的には、Webサイトでの情報発信、雑誌への寄稿やセミナーなどです。そうした候補の1つとして、書籍出版もかなり早い段階から考えていました。

――情報発信のプロが、様々なメディアの中から書籍を選択された理由は何でしょうか。

三浦: 情報発信の手段は、「その情報を誰に伝えたいか」によって使い分けるのが原則です。今回の調査から私たちが得た結論は、「企業広報は、経営戦略と一致した戦略を持つべき」ということ。そして、「広報活動とは経営そのものである」ということでした。

 となると、これらのメッセージを伝えるべき相手は企業の経営者です。企業広報が重要であると考えるような経営者が普段から触れているメディアは何か、どんなメディアであれば伝えたいメッセージが響くのかを考えた結果、書籍が最も有効であるとの結論に至りました。

――出版のパートナーにも選択肢があったと思いますが、日経BPコンサルティングを選んだのはどのような理由からでしょうか。

三浦: パブリックリレーションという本業の中で、私たちは多くの出版社とお付き合いがありますから、各社の特性や強みをかなり理解しているつもりです。その知見から本書を刊行するパートナーとして最適なのは、日経グループのブランド力と出版に関する豊富なノウハウを有している日経BPコンサルティングをおいて他にない、と考えました。

知恵を出し合ったコラボに満足、読者の反響も良好

三浦 健太郎 氏

――日経BPコンサルティングとの協業を振り返って、いかがでしたか。

三浦: 出版については私たちも日ごろの業務の中で情報を得ています。それだけに目次構成、タイトル、デザインなどに対する要求水準は、こうした書籍の出版を依頼する企業よりも高かったのではないかと思います。

 実際に「経営者が読みたいと思える目次構成にしてほしい」「読者をひきつけるタイトルにしてほしい」「書店で手に取りたくなるようなデザインにしてほしい」といったリクエストを出させてもらいました。

 こうした要望に対して日経BPコンサルティングで担当してくれた編集者は、実に様々な提案をしてくれました。お互いに知恵を出し合い、とてもよいコラボレーションの中で「いいものをつくることができた」と満足しています。

――出版後、どのような反響がありましたか。

三浦: 日ごろお付き合いしているクライアントやパブリックリレーション分野の研究者からは、「よくあれだけの取材ができたね」「参考になったので社内で紹介させてもらった」など、とてもポジティブなご意見をいただいています。

 アマゾンのカテゴリー別ランキングでも、何度か1位を獲得できました。書店での展開にも尽力してもらえたと感じています。実際に「売れ筋コーナー」に平積みしてあるのをよく見かけましたし、自宅がある郊外の書店にも並んでいるのを見たときはうれしかったですね。住宅街の小規模な書店なのであまりビジネス書は置いてないのですが、そこにもちゃんと並んでいました。

 企業広報の重要性を伝えるという目的を達成するためには、企業広報を意識していないような人の目に触れることも大切です。それだけに、書店の店頭に並ぶ書籍の出版には大きな意味があったと感じています。

出版後の販促施策の一例

  • 店頭プロモーションの展開例
    文教堂 カレッタ汐留店
    「新刊・話題の本」コーナーにて、棚1段を使って展開
    店頭プロモーションの展開例/文教堂カレッタ汐留店/「新刊・話題の本」コーナーにて、棚1段を使って展開 クリックで拡大
  • 新聞掲載広告
    『日本経済新聞』朝刊全国版(2015年4月23日付)掲載
    (モノクロ/半五段)
    新聞掲載広告『日本経済新聞』朝刊全国版(2015年4月23日付)掲載 クリックで拡大

――今回のプロジェクトの先に、何か予定していることはありますか。

三浦: フリーセルは「想いに応える、ソリューション。」というブランドメッセージを掲げています。トップである私自身がお客様の「想いに応える」ために、ブランディングについての考えを書籍として出版することで、ブランディングという「ソリューション」を推進している姿を見せることができます。社員に確実にポジティブな刺激を与えていると思います。

――最後に、事業活動の一環として書籍の出版を検討している企業に対して、アドバイスをいただけますでしょうか。

三浦: 単に「会社や経営者の着飾った姿」を宣伝したいという目的であれば、書籍を出してもあまり意味がないように思います。

本気で伝えたいことがあるか。あるいは、多くの読者が困っている課題に対して、出版を通じて解決のヒントを提示できると思っているかどうか。問われているのは、そういうことではないでしょうか。そんな本気のメッセージがあるなら、書籍というメディアは極めて有効な選択肢だと思います。

2016年6月発行予定

三浦 健太郎 氏

三浦 健太郎(みうら・けんたろう) 氏
株式会社電通パブリックリレーションズ 取締役常務執行役員 企業広報戦略研究所 所長。1981年入社。国内外の企業(特にIT系企業)に対し、コーポレートPRからマーケティングPRまでを多数経験。事業戦略サポート、リスクコンサルティング、コーポレートブランディング、地域合意形成のほか、産学協同プロジェクト、ネットコミュニティのプロデュース、Webサイト運営、検索サイトの立ち上げなど多様なプロジェクトに携わる。
電通パブリックリレーションズ  企業広報戦略研究所

書籍『戦略思考の広報マネジメント』

戦略思考の広報マネジメント
業績向上につながる“8つの広報力”の磨き方
編著:企業広報戦略研究所[電通パブリックリレーションズ内]
監修:清水正道[日本広報学会理事長]
仕様:四六判/286ページ
定価:1800円+税
発行:2015年4月6日
実質制作期間:約7カ月
ISBN:978-4-86443-074-6
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