Vol.1 書籍発行をビジネス戦略に組み込み、本業とのシナジーを実現

中小・ベンチャー企業向けにWebマーケティング、ブランディング支援を展開するフリーセルは、いま急成長中のベンチャー企業だ。同社の代表取締役社長を務める木村裕紀氏は、2015年4月『ブランドファースト 中小・ベンチャーの成長はブランドから始まる』を上梓した。日経BPコンサルティングは、同書の編集から発行、販促施策などをサポート。発行して数カ月を経過した時点で、著書である木村氏に改めて「書籍づくり」のプロセスとその効果を振り返ってもらった。

パートナー選定の決め手はブランド力とアサインメント能力

木村 裕紀 氏 木村 裕紀 氏
株式会社フリーセル
代表取締役社長

――まず、書籍発行の目的をお教えください。

木村: 今回発行した書籍は「中小・ベンチャー企業向けのブランディング」がテーマです。私自身10年ほど前から、ブランドやブランディングについて真剣に考えてきました。その考え方を自社経営に生かして一定の成果を上げ、最近ではお客様に対するブランディング支援事業も行っています。

お客様というのは中小・ベンチャー企業、特にその社長です。当社のブランドに対する考え方、ブランディングを通じて、お客様のビジネスに貢献したい。そうした私の思いを伝える媒体として、書籍が最適だと考えました。

――代表取締役社長を務めるフリーセルは、Webマーケティング、Webコンサルティングを得意とされています。思いを伝える媒体として、例えばWebサイトやメールマガジンなどの利用は検討しなかったのですか。

木村: 当初から書籍と決めていました。例えば、私がお客様のところに出向いて本に書いたような話をすれば、優に1時間以上はかかります。それだけの情報量を1つにまとめて伝えることができるのは、書籍という媒体のほかにないでしょう。

また、書籍であれば全国の書店に並びますから、私やフリーセルの社員がお会いしたことのない方、普段はご説明にうかがう機会のない地域の方にも、私やフリーセルのブランディングに対する考え方が伝えられるはずだと考えました。

――出版社の選定はどのような基準で行ったのでしょうか。

木村: まず、どんな内容、目的で書籍を発行したいと考えているのかをまとめた「出版企画書」を自分で作成しました。それをもとに5~6社と話し合いを持ち、最終的に日経BPコンサルティングをパートナーにすることを決めました。決め手は大きく2つです。

第1に、日経BPグループというブランド力。発行した書籍が書店に並んでいても、読者が手にとってくれなければ意味がありません。数多くのビジネス雑誌の発行やWebメディアの運営を行っている日経BPグループの書籍であれば、私やフリーセルを知らない方でも信頼して手にとってくれるはずだと考えました。

第2に、編集者とライターのアサインメント能力への期待です。日経BPグループが日々発信している膨大なビジネスコンテンツの背後には、それらを質と量の両面から支えている大きな人材プールがあるはず。そうした経験を持つスタッフに書籍の編集、制作、発行をサポートしてもらえることで、クオリティの高い本がつくれることは容易に想像できました。

――日経BPコンサルティングの編集スタッフの能力は、期待に沿うものでしたか。

木村: 「出版企画書」とそれを元に私が執筆した原稿から私の意図を十分に汲んだ上で、必要な内容は足し、余分なものはそぎ落として、一冊の書籍に仕上げてくれました。また、本書では中小・ベンチャー企業におけるブランドやブランディングの実態を裏付ける情報として、日経BPコンサルティングが実施したWebアンケート調査の結果を引用しています。そうした情報まで掲載できたのは、調査やコンサルティングを専門とする部署がある日経BPコンサルティングならではないでしょうか。

受注拡大につながるとともに社員へのポジティブな刺激も

木村 裕紀 氏

――出版後の販促施策や効果についてうかがいます。

木村: 販促に関しては、日経BPコンサルティングから提案されたものの中から、効果が大きいと思われる施策を実施しました。

具体的には、日経BPの雑誌購読者へ向けたダイレクトメールによる献本、雑誌広告掲載、新聞広告掲載です。特に日本経済新聞の朝刊に掲載した書籍広告は、効果が大きかったことが報告された販売部数でも分かりました。また、いくつかの媒体に書評を掲載していただきました。『宣伝会議』の書評ページにも掲載されたのですが、当社の社員も普段から読んでいる雑誌ですので、社外だけでなく社内での受けも良かったですね。

出版の効果についてですが、Webマーケティングやブランディング事業の受注につながっています。その一例ですが、以前からお付き合いのある、従業員5人程度の会社を経営する社長が本を読み、「うちの会社のブランディングを頼みたい」と連絡してくれました。中小・ベンチャー企業の経営者を書籍のメインターゲットに設定して執筆しましたが、執筆前に想定していたよりも小規模な会社から依頼があったことに驚きました。企業規模の大小にかかわらず、ブランディングは必要とされているし、それをサポートする当社のビジネスに対するニーズは確実にある。そのことを改めて実感できました。

出版後の販促施策の一例

  • 雑誌掲載広告
    『日経ビジネス』2015年5月18日号掲載
    (モノクロ/1ページ)
    雑誌掲載広告『日経ビジネス』2015年5月18日号掲載 クリックで拡大
  • 新聞掲載広告
    『日本経済新聞』朝刊全国版(2015年6月30日)掲載
    (モノクロ/半五段)
    新聞掲載広告『日本経済新聞』朝刊全国版(2015年6月30日)掲載 クリックで拡大

――社内的な効果という観点ではいかがですか。

木村: フリーセルは「想いに応える、ソリューション。」というブランドメッセージを掲げています。トップである私自身がお客様の「想いに応える」ために、ブランディングについての考えを書籍として出版することで、ブランディングという「ソリューション」を推進している姿を見せることができます。社員に確実にポジティブな刺激を与えていると思います。

書籍はお客様に進呈することもあります。ブランディングに関する考え方がまとまっている書籍をお渡しできることで、限られた商談時間の中でお客様の要望や課題に的を絞った話ができるようになったり、商談後に書籍を読んで理解を深めていただいた上で改めてご連絡をいただけたりといった効果もありました。

また、新卒採用の面接を行ったときには、何人かの学生がこの本を読んでいることを知りました。その上で、当社で働きたいと面接に来てくれているわけですから、とてもありがたいことです。本には「ブランディングは採用に効果がある」と書きましたが、まさに書籍によるブランディングを実践できたわけです。

――フリーセルのビジネス全体、その戦略に書籍を活用されていることがよく分かりました。本日は、どうもありがとうございました。

木村 裕紀 氏

木村 裕紀 氏
株式会社フリーセル代表取締役社長。1977年神奈川県生まれ。「日本とアジアの発展に貢献するマーケティングソリューションカンパニー」を目指して、Webインテグレーション、Webコンサルティングを中心とした中小・ベンチャー企業の成長をサポートする事業を展開中。中小企業向けWebコンサルティングの第一人者としての、豊富な実績と自社での経験を生かしたブランディング・ソリューションを提供している。
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書籍『ブランドファースト』

ブランドファースト
中小・ベンチャーの成長はブランドから始まる
著:木村裕紀
仕様:四六判/200ページ
定価:1400円+税
発行:2015年4月13日
実質制作期間:約5カ月
ISBN:978-4-86443-081-4
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