調査データ周年事業ラボ調査データ(7)
100年企業はやはり保守的か。従業員が考える企業風土
- 文=雨宮健人
- 2018年02月19日
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多くの企業が、組織の生命力維持のために「変化への対応力」を最も大切だと考えているのが、前回の調査結果から明らかになった。今回は、自社、自組織の変化に対する考え方が、実際はどういう状況かを分析する。調査は日経BPコンサルティングのシンクタンク・周年事業ラボが行った(2017年7月実施)。
100年企業は明らかに「保守的・官僚的」
あなたの勤務先の風土について「保守的・官僚的」「どちらかというと保守的」「どちらかというと変化を好む」「変化や革新を重んじる」のなかから選んでもらった。回答を創業年数別に区切ったところ、それぞれの回答において下記のような傾向が表れた。
図1 保守的・官僚的(創業年数別、SA)
図1が示す通り、創業100年以上の企業の44.7%が、自社を「保守的・官僚的」だと回答した。10年未満で20.0%、5年未満で21.7%と、100年以上の企業のほぼ半分となっており、全体の傾向として、創業年数が長いほど保守的・官僚的な風土だといえる。
図2 どちらかというと保守的(創業年数別、SA)
図3 どちらかというと変化を好む(創業年数別、SA)
「どちらかというと保守的」と答えたのは、100年以上の企業で38.0%、10年未満が38.9%、5年未満が38.6%とほぼ横ばい。その間に該当する10年以上100年未満の企業の層では、多少スコアを上げ、約44%~47%が選択する結果となった。
「どちらかというと変化を好む」を、最も割合として多く答えたのは、5年以上10年未満の企業。続いて5年未満企業と、創業年数が短い企業のほうが、回答比率が高い結果となった。
変化や革新を重んじる若い企業
図4 変化や革新を重んじる(創業年数別、SA)
一方、「変化や革新を重んじる」との回答では顕著な差が出た。100年以上の企業はわずか4.7%なのに対して、10年以上20年未満では15.9%、5年以上10年未満で18.9%、5年未満の企業においては20.5%という結果となった。創業年数が短いほうが、変化や革新を重んじる傾向があるといってよいだろう。そうせざるを得ない、という事情も起因している可能性がある。
前回、組織の生命力維持に大事だと考える要素について、創業年数の長い組織のほうが「変化に対応できる」という回答を選択する傾向にあった。だが実際は、自社の風土を真逆の「保守的・官僚的」だと感じていた。
一見相反する結果のようにも見える。だが、「変化に対応できる」のは大事だけれど「変化や革新を重んじているわけではない」という論旨には、長く組織が続くためのヒントが潜んでいるかもしれない。
本調査のExcelデータダウンロード
本調査について
日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社モニター2135人を対象に2017年7月に調査
- 2018年02月19日
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