調査データ周年事業ラボ調査データ(1)
“続く企業”ほどボトムアップ型の傾向高まる
- 文=雨宮健人
- 2017年07月28日
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長く続く企業に流れる共通要素は何か。日経BPコンサルティングのシンクタンク・周年事業ラボでは、現在勤め先企業に関する調査(2017年7月)を実施。主に創業年数を軸にした分析を行った。100年続く企業となる可能性を高める企業生命力の源泉を読み解く。
トップダウンがよいか、ボトムアップがよいか
企業や組織の運用形態を語るうえで、よく挙がるのが「トップダウン型」「ボトムアップ型」のどちらがよいかという議論だ。双方にメリット、デメリットがある。また、ケースによって使い分けるべきものでもある。トップダウンのほうが組織を軍隊的に動かしやすく、機動力が増す。よく言われる「組織は上に立つものの器量で決まる」という言葉には、トップダウンのイメージが強く反映されている。経営のトップにカリスマ性がある場合、組織はトップダウンを最適化する組織づくりを目指したほうがよいだろう。
今回の調査では、自社がトップダウン型、ボトムアップ型のどちらなのかを聞いた。結果によると、6割以上の企業がトップダウン型なのが分かった。ボトムアップ型の企業は13.3%にとどまり、大きな差となった(図1)。
図1 自社はトップダウン型かボトムアップ型か(SA)
ところがこれを創業年数別で見てみると、創業からの年数が長いほどボトムアップ型の回答比率が高まる結果となる。20年未満までの企業が10%前後にとどまっている一方で、創業70年以上の企業で17.6%、100年以上の企業に至っては24.8%と約4分の1の企業がボトムアップ型だと認識している(図2)。
図2 自社はトップダウン型かボトムアップ型か(創業年数別、SA)
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理想と現実に顕著な差
一方、どちらを理想と考えるか聞いたところ、トップダウン型、ボトムアップ型、さらに「分からない」を含め、それぞれの差が縮まった。理想はトップダウン型という回答は37.3%。実際にトップダウン型を採用する63.0%から半数近くに減少した。理想がボトムアップ型という回答については27.0%と、こちらは逆に13.3%からの倍増となった。ただそれでも、トップダウン型が理想と考える回答が、ボトムアップ型を理想と考える回答に約10ポイント差をつけてトップである(図3)。
図3 勤務先の理想はトップダウン型かボトムアップ型か(SA)
創業年数で見たときに、傾向として顕著だったのが「分からない」という回答の比率だ。創業年数が長いほど「分からない」と回答した比率が下がった。5年未満の企業では48.2%が分からないと回答しているが、100年以上の企業では25.5%にとどまる(図4)。この傾向は、図2の「自社がトップダウンか、ボトムアップか」を聞いた際の結果にも当てはまる。
図4 勤務先の理想はトップダウン型かボトムアップ型か(創業年数別、SA)
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自社のビジョン浸透との関連性
トップダウンにせよボトムアップにせよ、トップの理念やビジョンがはっきりと示されないと機能しないのは想像に難くない。創業年数の少ない企業ほど、勤務先の理想像について「分からない」と答えたのには、そもそもDNAやビジョンが明確化されていない可能性がある。すると両者に相関関係が見られた。
図5 勤務先にDNAやビジョンはあるか
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明確に「ある」と回答したのは創業年数が長い企業ほど多い。20年未満の企業が20%程度なのに対し、70年以上の企業では38.1%、100年以上の企業では47.7%となった。「なんとなくある」を含めると、100年以上の企業においては約8割の企業にDNAやビジョンが浸透しているのが分かる。
企業が長く続くには、やはりトップの考えが広く行き渡っている必要があるといえそうだ。そこがしっかりしていると、自社にとってトップダウンがよいか、はたまたボトムアップがよいかを見定める目もクリアになる。創業からの年数が長いほど、ボトムアップ型の組織形態を選択する比率が高まるのも、トップの考えを理解しているからこそ成立するのかもしれない。
本調査のExcelデータダウンロード
以下のリンクから、簡単な情報登録だけでExcelデータをダウンロードできます。
本調査について
日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社モニター2115人を対象に2017年7月に調査
- 2017年07月28日
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