周年事業ラボ>調査データ>100年企業は異業種連携ネットワークへの意向高い

調査データ周年事業ラボ調査データ(2)

100年企業は異業種連携ネットワークへの意向高い

  • 文=雨宮健人
  • 2017年08月21日
  • Clipボタン
100年企業は異業種連携ネットワークへの意向高い

長く続く企業に流れる共通要素は何か。日経BPコンサルティングのシンクタンク・周年事業ラボでは、現在勤め先企業に関する調査(2017年7月)を実施。主に創業年数を軸にした分析を行った。100年続く企業となる可能性を高める企業生命力の源泉を読み解く。

異業種連携や新規事業意見交換の外部ネットワーク

オープンイノベーションが取りざたされて久しい。世界を見回しても急成長し、いま勢いある企業は、オープンイノベーションで他社・他業種を巻き込んでいる。代表格はグーグルだろう。自社技術・開発プラットフォームの公開で、インターネット界の主役に躍り出た後、IoT、AIなどでも他業種と連携、その活躍ぶりは言うに及ばずだ。

オープンイノベーション、異業種連携というと「革新的な企業」をほうふつさせる。創業から年数を経た、長く続いている企業はいわば「老舗企業」だ。そういった取り組みには、二の足を踏むのではないか。

しかし今回、異業種との連携や新規事業の意見交換などを行うネットワークの対応状況・意向を聞いたところ、外部ネットワークに対し「方法も分からない」「必要と考えていない」など後ろ向きな回答の比率は、創業年数の長さと反比例する傾向が表れた(図1)。調査結果によると、創業5年未満の企業ではそれら後ろ向きな回答が合計で47.0%なのに対し、創業70年以上の企業では19%前後にとどまった。創業年数が少ない企業ほど、外部ネットワークに対し、意識が希薄という結果となった。

図1 異業種連携・新規事業意見交換の外部ネットワークについて(創業年数別、SA)

図1 異業種連携・新規事業意見交換の外部ネットワークについて(創業年数別、SA)

searchクリックで拡大

社長のタイプによっても影響が出るのではないか。そこで社長のタイプ別に見てみると、外部ネットワークに対し後ろ向きな回答は「創業者一族の社長」40.0%、「プロ経営者などその他」25.6%、「親会社など関連会社出身」21.6%、「生え抜きなどプロパー」19.8%の順という結果となった。

図2 異業種連携・新規事業意見交換の外部ネットワークについて(経営者タイプ別、SA)

図2 異業種連携・新規事業意見交換の外部ネットワークについて(経営者タイプ別、SA)

searchクリックで拡大

グローバル企業ほど外部ネットワークへの意識が高い

企業がカバーする業務エリアのタイプ別ではどうか。後ろ向き度合いの順に並べると、「地域密着型」で44.6%、「都市型」で33.5%、「国内分散型」24.2%、「グローバル型」18.1%となった(図3)。

図3 異業種連携・新規事業意見交換の外部ネットワークについて(業務エリア別、SA)

図3 異業種連携・新規事業意見交換の外部ネットワークについて(業務エリア別、SA)

searchクリックで拡大

この結果が示すところによると、異業種連携・新規事業意見交換の外部ネットワークについて、全社的または部門によっては制度として存在する企業は、「グローバル型」「国内分散型」「都市型」「地域密着型」の順になった。

日本の企業は同業中心のネットワークを形成する文化はあるものの、異業種連携やオープンイノベーションについては後塵を拝しているといわれる。現にグローバル型の企業と地域密着型の企業を比較すると、その傾向は如実に表れた。だが、創立からの年数が長い企業では、異業種連携ネットワークへの意向は高い。創業70年以上の企業では、実に6割を超える企業において、全社的、または部門により何らかの形で異業種や新規事業における意見交換が制度化されている結果となった。

本調査のExcelデータダウンロード

以下のリンクから、簡単な情報登録だけでExcelデータをダウンロードできます。

本調査について

日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社モニター2135人を対象に2017年7月に調査

  •  
  • 2017年08月21日
  • Clipボタン

あわせて読みたい

連載「周年事業ラボ調査データ」

  1. (1)“続く企業”ほどボトムアップ型の傾向高まる
  2. (2)100年企業は異業種連携ネットワークへの意向高い
  3. (3)100年企業ほど周年事業への取り組みが真剣
  4. (4)100年企業ほど自社の歴史を学ぶ機会をつくる
  5. (5)100年企業が考える自社の強み
  6. (6)100年企業が考える“生命力維持”の要素
  7. (7)100年企業はやはり保守的か。従業員が考える企業風土
  8. (8)100年企業は従業員が会社の将来像を考えている
  9. (9)組織は最適?改善の余地あり?いやいや機能していない?
  10. (10)長寿企業の「変化度合い」を調べた
  11. (11)周年事業は企業に必要?それとも不要?
  12. (12)100年企業は“好き嫌い”が評価軸!?
  13. (13)自分の会社、“続くのが厳しい”と25%
  14. (14)100年企業勤務、2人に1人が“死んだ後も続いてほしい”
  15. (15)100年企業ほどロイヤルティーが高い
  16. (16)100年企業ほどリタイアまで勤め続けたいと思っている
  17. (17)100年企業ほど社員同士の付き合いが濃い
  18. (18)100年企業ほど社内恋愛が多い

情報を受け取る

本サイトのコラム更新情報や調査データや分析結果を受け取ることができます。登録は無料です。
  • ・関連セミナー情報
  • ・企業研究・サバイバル分析報告
  • ・調査データ
  • 周年事業関連情報
  • など、豊富な関連情報をメールでお届けします。

情報を受け取るkeyboard_arrow_right

周年事業ラボ>調査データ>100年企業は異業種連携ネットワークへの意向高い