日本政策金融公庫 広報誌「日本公庫つなぐ」 政策金融機関としての取り組みを国民の皆さまにお伝えするために
読者の目線に立ち、事業の内容や価値をわかりやすく伝える
広報誌「日本公庫つなぐ」発行の意義・目的を教えてください
能登 日本公庫は、東日本大震災からの復興支援をはじめ、自然災害の影響を受けた皆さまへの支援など、セーフティネット需要へのきめ細かな対応をしています。また、創業・新事業、事業再生、ソーシャルビジネス、海外展開および農林水産業の新たな展開への支援など、成長戦略分野への積極的な対応、日本公庫の総合力を生かした地域活性化への貢献などを事業の重点領域としています。こうした取り組みを広く皆さまに知っていただくことが、広報誌発行の目的です。
制作パートナーとして日経BPコンサルティングを採用いただいた理由は何でしょうか
能登 主な読者は中小企業・小規模事業者・農林漁業者等のお取引先と、商工会・商工会議所・農業会議所等の関係機関、民間金融機関、都道府県・市町村といった行政機関などです。このような多岐にわたる読者の皆さまに日本公庫の取り組みを知っていただくには、興味深い企画や分かりやすい誌面づくりだけではなく、経済動向や社会情勢に関する深い洞察や知見を持つパートナーが必要だと考え、日経BPコンサルティングを選びました。
企画立案の際に大切にしていること、苦労していることはありますか
藤下 企画立案にあたり、常に念頭においているのは「読者の目線に立つこと」です。読者の皆さまに興味を持っていただける内容になっているか、読みやすい誌面になっているか、表現に間違いがないかなどに気を遣っています。政策金融機関なので難しい行政用語を使うこともありますが、そういうときには注釈を付けたり、文脈で理解してもらえるような工夫をしています。そう言いながら、締め切りが迫ると、つい雑になってしまうことが多いのですが(笑)。
広報誌を一冊つくりあげるには、寄稿していただく方や取材に対応していただく方、支店の担当者、編集者など多くの方の協力が必要です。その方々に、企画の意図を正しく伝え、誌面をイメージしていただけるように準備することも大切ですね。
能登 企画立案の際に気を配っているのは、「広報誌で何を伝えるのかを明確にする」こと。そして、伝えたいメッセージが伝わる内容になっているかということです。また、主たる読者である中小企業や小規模事業者、農林事業者の方々に共感していただけるかどうかも、常に気にしています。
全国から「送ってほしい」の声に応え、発行部数が激増
周囲の反響はいかがですか
藤下 読者から「同規模の事業者が人繰りや資金などで工夫されている事例が掲載されていて、経営の参考になった」とか「既存の価値感を破って変化を起こした事例は参考になった」などの声をいただいています。また、図書館から「ビジネスに役立つ資料として利用者に提供したい」との連絡をいただき、現在では全国の公営図書館に配本しています。ほかにも行政、関係機関、民間金融機関などから「新たな気付きを得られて業務遂行の参考になった」といった感想が寄せられています。
公庫外だけではなく、公庫内からの反響もありました。広報誌は、全国152支店に配布し、お客さまへの訪問時やセミナー、イベントに活用しているのですが、「日本公庫の活動を知って頂く上で活用しやすいので、もっと送ってほしい」という声が多く、創刊時に比べると2万部近く印刷部数が増えました。
読者から好評を得た、もしくは手ごたえを感じた企画は何ですか
藤下 特集と座談会です。とりわけ、第6号の特集「民間金融機関との連携」では、第一次オイルショック以前から続いてきた公庫との連携の歴史や連携の重要性について、愛媛銀行の本田元広頭取に語って頂くなど、深い内容になったと思います。この特集を読まれた民間金融機関の方から、「これからも日本公庫と連携を図りながら地域活性化の一助になる活動をしていきたい」「互いのリソースを活用して良きパートナーとして地域創生に向けて全力疾走しましょう」など、うれしくなるようなコメントを多数いただきました。
2017年1月に発行した第8号では、地域も業種も異なる30~40代の若い経営者と首長、日本公庫総裁の細川興一を交えた座談会を実施しました。それぞれの事業や地域における課題や思い、日本公庫に期待することなどを直接伺うことができ、大変有意義な誌面になったと思います。
外部だけではなく内部へのメッセージングにも広報誌は有効
今後、注力したい広報業務や課題があれば教えてください
第8号の巻頭特別座談会「つなぐ。つくる。事業を、地域を。~日本公庫に期待すること~」より。
能登 これまで日本公庫では、広報誌に加えメディアを通じた情報発信、ホームページ、Facebook、広告などを活用した広報業務に取り組んできました。情報媒体というのは、社会環境の変化や技術の進化によって変わっていくので、時宜にかなった最適な方法を使って、広く皆さまに日本公庫の取り組みを知っていただける広報活動を行っていきたいと考えています。
最後に、広報誌発行を検討している企業や団体の担当者にメッセージをお願いします
第6号の特集「民間金融機関との連携」より。
藤下 私たちは広報誌の創刊にあたり、読者の想定、企画内容、編集方針、デザインの検討と、作業フロー、運営体制、予算の準備に半年以上の時間をかけました。どれだけ準備しても最初から完璧にはいきませんが、回を重ねるうちに、その組織ならではの「味わい」や「らしさ」が出てくることを実感しました。そのプロセスを味わえることは非常に価値があると思います。
能登 広報誌は、企業や団体などがその活動を伝える手段の1つです。その効果は、外部だけではなく組織の内部にもおよびます。私どもは、出自の異なる約8,000人が統合で同一組織になったこともあり、当初から組織の一体化を進め新たな価値を提供することが重要な課題の1つでした。広報誌の発行は、こうした課題に対する効果的な手段だったとも感じます。それぞれの企業や団体によって組織の成り立ちや広報の目的は異なると思いますので、それに適した広報手段を選ぶことが大切だと思います。
事例概要
広報誌「日本公庫つなぐ」
- 発行主:日本政策金融公庫
コンセプト:日本公庫の機能、役割、取り組みのほか、地域行政や中小企業の取り組みなどを紹介する
発行形態:A4判、28ページ(変動あり)、オールカラー、中綴じ
発行時期:年4回(4月、7月、10月、1月)
読者:都道府県官公庁、取引先、顧客、関係機関
発行部数:約5万部
発行方法:郵送、支店にて配付
創刊:2015年4月