みんなどうしてる!? Web会議のニューノーマル 第1回

知って安心! 失敗しないWeb会議のポイント

  • サステナビリティ本部 コミュニケーション企画部 竹下 誠

Web会議を「十分活用できている」と答えた人は2割未満──。テレワークの広がりを受け、Web会議は急速に普及しています。ただ、相手が目の前にいないことで場の空気が読みにくかったり、会議のルールやマナーが明確でなかったりすることから、意思疎通に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。フジキ興産に勤める西村部長もその一人。部下の中川課長、新入社員の藤田君との会話に日経BPコンサルティングが実施した調査の結果を交えつつ、解決のヒントを探ります。
(取材協力:日本テレワーク協会)
<Web会議の利用に関する実態調査>
実施日:2020年7月1日〜9日
対象:国内の企業・組織に所属するビジネスパーソン
母数:有効回答数1881件

テレワーク中の中川課長が自宅でプレゼン資料を作っていると、西村部長からチャットにメッセージが入った。込み入った話らしく、ビデオ通話で相談に乗ってほしいとのこと。中川課長は作業の手を止め、ビデオ通話を開始した。

中川課長(以下、中川) 西村さん、お疲れさまです。どうされました?

西村部長(以下、西村) Web会議で教えてほしいことがあってね。昨日の篠竹工業とのWeb会議中に、先方の若い社員さんがテキストチャットで私に質問をしてきたのだけれど、気付かなくてね。後で彼が電話をくれたので返事はできたんだが……。Web会議ではテキストチャットを普通に使うものなのかな。Web会議にも慣れてきたし、一通りのことは問題なくできているという自信もあったんだけど、急に不安になってしまってね。明日は、新規のお客さんとWeb会議があるから、失礼のないようにWeb会議のルール、マナーというか、作法についてもう一度確認しておきたいんだ。

「みんなが使っている機能」は限られる

中川 テキストチャットは6割くらいの人は使っていると、調査データで見たことがあります(図1)。私もよく使っています。慣れると便利ですよ。

西村 そうか。みんなが知っている機能を使えていなかったというのはショックだな……。

中川 大丈夫ですよ。大多数の人が使っている機能って限られていますから(図1)。例えば、うちは社内のミーティングを録音して議事録の代わりにしていますけど、「録画・録音」機能は意外と使われていないみたいです。部長がこの間のオンライン飲み会で披露していた「バーチャル背景」だって、実際に使っているのは3割未満のようですよ。

西村 あんなに便利で面白い機能を使わないなんてもったいない!

中川 Web会議に自信がなくて、部長みたいに、使いこなせていない機能があることを気にする人も多いようですね(図2)。でも、Web会議のツールが異なれば使える機能も変わりますし、まずは自分にとって必要な最低限の機能を押さえておけばいいんじゃないかと私は思っています。Web会議のツールはたくさん種類がありますからね(図3)。

西村 なるほど。ちょっとだけ気が楽になってきたよ。

図1:必須機能は「マイクのミュート」「テキストチャット」の2つ

Web会議ならではの機能である「ビデオ会議」を除くと、必須といえる機能は使用率が7割を超えている「マイクのミュート」「テキストチャット」の2つといえる。「テキストチャット」「ファイル共有」は半数が使用しているが、その他の機能は実はそれほど使用率が高くない。

図2:Web会議を「十分活用できている」は2割未満

8割はWeb会議の活用で課題を感じている。活用できていないと思う理由については、「機能を全て把握できていない」が6割以上と突出している。様々な機能を使いこなせなければならないという発想があるようだ。

図3:「Zoom」「Teams(Microsoft)」は半数が利用

今回の調査では「Zoom」「Teams(Microsoft)」が主流という結果に。複数のツールを併用するケースも想定されるが、ツールによって実装している機能には違いがある。初めてのツールを使用する際は、使いたい機能が付いているかを必ず事前に確認したい。

Web会議疲れに要注意!

中川 他に気になっていることはありますか?

西村 明日の相手は時間に厳しいと評判でね。万全を期して全員15分前にログインしようと思っているんだが、早すぎる気もして。

中川 客先に出向くときは、交通機関の遅れも考えて10~15分前に集合しますよね。Web会議ではその心配がないので、直前にログインする人も多いみたいです(図4)。ただ私は以前、通信状況が悪くて時間通りにログインできなかったことがあったので、5分前には入るようにしています。

西村 なるほどね。では少し余裕をみて5分前にはログインしよう。先方が早めにログインしてきたら、雑談していればいいわけだし。それにしても、リアルの会議で「直前」の訪問は考えられないから、これはWeb会議ならではのマナーだね。

中川 移動の時間が必要なく、比較的すぐに本題に入りやすいなど、時間短縮のスマートさはWeb会議のメリットですね。だからといってWeb会議の予定を詰め込みすぎると、大変になってしまいますけど。

西村 そういえば藤田君は先週、1日に8件もWeb会議を入れてぐったりしていたな。

中川 Web会議は雑談が少なく、本題の議論に終始することが多いので、内容がギュッと詰まっている感じがします。だから、気軽に開催できるからといってWeb会議の予定を入れすぎると、集中力が続かなくなって大変です。会議への準備時間も十分に確保できる頻度を保つことが、会議の生産性を高めるための大事なポイントですね(図5)。

西村 なるほど。会議をこなすのが目的になったら本末転倒だもんな。

図4:「3分前までにはログイン」が約7割

全体では約半数弱が5分前までに、7割近くが3分前までにはログインしている。Web会議ツールによっては主催者が案内するまで参加できない場合もあるが、早めにログインして待機時間をアジェンダの再確認に使うのも一つの手だ。

図5: 「1日3回以上」は1割以下

「1日1~2回」「週に2~3回」が多いが、「1日5回以上」という強者も。最小限の時間の中で最大限の効果を上げるためにも、Web会議疲れにならない適度な間隔をもって設定したい。

音の不備に「不快」が集中

西村 Web会議では自分が話している内容が相手に伝わっているのか、一方通行になっていないかと不安になることがあるのだけれど、中川さんは発言にうなずいてくれるから安心できる。それは意識してやっているのかい?

中川 はい、実際に目の前に相手がいないからこそ、私はリアクションを大きくするようにしています。自分がメインではない会議や参加者が多いときは、最初に伝えたうえでビデオを切って、画面に顔が表示されないようにしています。

西村 なるほど。他には何を押さえておけばいい?

中川 「発言しないときはマイクはオフ」です。周囲の雑音が聞こえたり、発言の声が不明瞭だったりするといった音の問題については、比較的シビアな意見が多いです(図6)。実際、音の問題が起きないように気を付けている人は多いようですね(図7)。

西村 発言が聞き取れないと、イライラしてしまうこともあるしな。

中川 リアルの会議なら、仮に聞き取れなくても隣の人に聞くことができますが、オンラインではそれはできません。Web会議自体が成立するには、参加者一人ひとりが発言をしっかり聞き取れるという大前提があってこそ、ですね。

西村 音の問題、改めて重要だと心に刻んだよ。

中川 ちなみに、画面を通してプライベートな室内が見えたり背景がバーチャルだったりすることについては、特に気にならないという人が多いみたいですよ。

西村 そうなのか? でも明日は初めてのお客さんだからな。在宅勤務だが、ネクタイは締めたほうがいいのかな。

中川 そういうところって、意外と気になりますよね。身だしなみについては……すみません、1時間後ぐらいでもよろしいでしょうか。実は次の予定が入っておりまして。終わり次第ご連絡しますね。

第2回に続く

図6:音の不備には7割が不快感

不快感を覚える行為としては、「周囲の雑音が聞こえる」「発言の声が不明瞭」という音の問題が、他の項目より突出して高い。音への配慮はWeb会議を円滑に進めるための重要項目といえそうだ。

図7:Web会議で心がけている行動、トップは音対策

他の項目に比べ、音の問題に注意して行動している割合は高い。「発言時以外はマイクをOFFにしている」人は6割を超え、Web会議における「ニューノーマル」になりつつある。

連載:みんなどうしてる!? Web会議のニューノーマル

調査担当:日経BPコンサルティング 調査部 杉山 陽一朗、浅見 剛司
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

竹下 誠氏

サステナビリティ本部 コミュニケーション企画部
竹下 誠(たけした・まこと)

ライフスタイル誌の編集等を経て、2019年6月に日経BPコンサルティング入社。企業広報誌や周年誌、記事広告等の編集に従事した後、サステナビリティ本部に異動。現在は統合報告書作成を中心に顧客企業のサステナビリティ情報開示を支援する。

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