カリモク家具株式会社

カリモク家具は木製家具の国内トップメーカー。代表ブランド「カリモク」は品質のよさを評価する、主に50歳以上の人たちに支持されている。同社は2000年前後、突然のようにブランドへの取り組みを加速させ始めた。1998年にブランドマネジャー制を採用し、2002年にはこれまでのメーンターゲットとは異なる20~30代向けの「カリモク60」ブランドを立ち上げた。最近は学習家具も主力商品に育ってきた。同社を新たなブランド戦略に駆り立てたものはなにか。背景には業界の構造変化に直面し苦境に立たされた歴史があった。


――ブランドへの取り組みを本格的に始めた背景を教えていただけますか。

カリモク家具株式会社 営業推進部 取締役部長 山田郁二 氏 カリモク家具株式会社
営業推進部
取締役部長
山田 郁二 氏

山田:まず90年代に起きた家具業界の構造変化があります。当社は主に家庭向けの家具を製造し家具専門店に卸しています。お客様へ販売するのは家具専門店です。家具専門店が私たちとお客様との接点であり、流通ルートでした。当時はそうした形態が業界の主流だったのです。ですがバブル崩壊を機にその家具専門店が激減してしまいました(図1)。

事業拡大に失敗して倒産したところもありました。また代替わりに際して後継者がマンション経営などに転業するところもありました。いずれにしても、私たちの売り先がどんどん消えていってしまったのです。一方で大手レギュラー・チェーンのO社やN社が売り上げを伸ばす。この構造変化についていけず、当社の売り上げはバブル期の535億円から、リーマンショック後は195億円まで落ちてしまいました。

【図1】家具小売り事業所数の推移
【図1】家具小売り事業所数の推移

バブル崩壊の時期(1991~1993年)を経て、家具販売店の数は激減していった(経済産業省 商業統計より)

――それは厳しい状況ですね。どのようにして回復できたのですか。

いろいろな手を打ちました。まずはショールーム。実はショールームは社長の提案で80年代後半から全国展開していました。これを90年代、そして2000年代に加速させました。今は全国23カ所にあり、お客様の声をダイレクトに聞ける重要な場となっています。

販路拡大にも注力しました。業務用の製品を病院やオフィスに売り込みに行ったり、ハウスメーカーに家具を売ってもらうよう働きかけたりしました。今ではハウスメーカーさんのイベントにも参加させていただいています。すると、例えば内装材が変わってきたことに気付きます。新しい内装材が増えると求められる家具の色はこんな色ではないかという気づきをもらって帰って、新しい塗装色を開発できるようになりました。

また社内の組織が製造と販売に分かれていると「私、作る人、あなた、売る人」という意識があって、それがお客様に届く製品作りには良くなかったという反省がありました。そこで98年に業務改革の一環としてブランドマネジャー制を作りました。一人のカテゴリーマネジャーが商品を作るところから売るところ、そして販売終了、さらにアフターサービスに至るまで責任を持って統括する体制です。

ブランドを軸にするとお客様に対する訴求もやりやすくなりました。カリモク家具はラグジュアリーな家具からお求めになりやすい家具まで作っているため、それまではお客様ごとにカリモクのブランドイメージはバラバラでした。そこでラグジュアリーな家具はdomani、お求めになりやすい家具は2002年に立ち上げたカリモク60に担当させる。戦略アイテムであった学習家具にもブランドマネジャーを立てました。こうすることで私どもとしても、何を作りどう売るか活動が絞られて切っ先鋭い活動ができるようになったのです。

カリモク家具株式会社 営業推進部 プロモーショングループ 主任 中埜 伸宏 氏 カリモク家具株式会社
営業推進部
プロモーショングループ
主任
中埜 伸宏 氏

――ブランドジャパン(以下、BJ)を購入していただいたのは、ブランドに着目したそうした変革を進めていたときだったのですね。

はい。2004年版のBJにノミネートされたという連絡をいただきました。ちょうど自分たちのブランド力がどの程度なのか知りたいと思っていたところでしたので、どうしても欲しいと社長に頼み込んで購入しました。それからほぼ毎年、購入しています。

――BJはどのように利用されていますか。

大きく三つあります。第1に、当社の経年変化を見ること。私どもの1年間の活動をお客様はどのように評価してくださったのか確認します。当社の場合、面白いことに業績とBJの結果は連動しています。業績が上向くと、やや遅れてブランド指数も上昇する傾向があるのです。BJが「1年間の取り組みの結果を示す通信簿」というのは私たちにとってはまさに実感です。

第2は他社との比較です。競合他社の認知度や業界内のパワーバランスを知る上で有効です。

――三つ目は何ですか

BJで調査するイメージ項目です(図2)。当社の場合「アウトスタンディング因子」、なかでも「ステータスが高い」というイメージが高いのですが、いわゆる「フレンドリー因子」が低い。こうしたイメージと当社が目指しているイメージに違いがないか。本来、もっと高くあるべきイメージが低くないか。それを見つけて理由を考え、ブランド対策に役立てています。

【図2】BJのブランド評価パス図 【図2】BJのブランド評価パス図 クリックで拡大

実は2015年11月に「KITONO(キトノ)」という新しいブランドを立ち上げました(※)。このブランドで伝えたいのは身近さ。ですからフレンドリーが上がって欲しいのですが、BJの結果が今後どうなるか今から楽しみにしています。

ブランド名の由来はカリモク家具のコーポレート・メッセージである「木と人の家具」を短縮したもの。女性を意識したブランドで、長く使う家具だからこそ、ときには家具パーツを取り換え、家具のイメージを変えられるようにしている。

――各因子やイメージ項目も活用していただいているのですね。BJを購入していただいている企業のなかには、こうした数値を明確にKPI(Key Performance Indicators)として利用されているところもあります。いずれにしてもとても有効なBJの活用方法だと思います。本日はありがとうございました。

カリモク家具株式会社 中埜氏と山田氏

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