日経BPコンサルティング調べ 「企業メッセージ調査2020」 報告書、10月28日発行・発売

企業名想起率のトップは、
「あなたと、コンビに、ファミリーマート」
高評価メッセージの要素に、「ジングル」「希望」「SDGs」「日本語表記」

株式会社日経BPコンサルティング
2020年10月28日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は「企業メッセージ調査 2020」の結果をまとめ、10月28日に調査結果報告書を発行・発売した。国内211社の企業メッセージ329件を、認知度、理解度、接触度、好感度のほか、16項目のイメージなど様々な角度から、一般生活者が評価した。

調査結果のポイント

  • 「企業名想起率」では、ジングル(音声、曲)付きのメッセージが、高い想起率を得やすい。

  • Withコロナの時代に、高く評価される企業メッセージの重要事項トップ3は、①希望をもてる言葉を含む、②SDGsやCSRにまつわる、③日本語表記であることが分かった。それぞれについて以下で詳述していく。

調査結果データ

企業名想起率のトップ
ファミリーマートの「あなたと、コンビに、ファミリーマート」

「企業名想起率」(メッセージのみを提示してその企業名の記入を求めた時、正しく記入できた一般生活者の比率)の首位は「あなたと、コンビに、ファミリーマート」となった(表1)。なお、調査の際は、メッセージ中に企業名を推測できる言葉や企業名そのものが入っている場合、その部分を伏せ字にして提示した。企業名想起率の全体平均は4.4%。企業名想起率が50%を超えたのは329メッセージ中、わずか4件(「あなたと、コンビに、ファミリーマート」(ファミリーマート)、「ココロも満タンに コスモ石油」(コスモエネルギーホールディングス)、「お口の恋人」(ロッテ)、「新製品が安いケーズデンキ」(ケーズホールディングス))となった。この4件のうち、「あなたと、コンビに、ファミリーマート」「ココロも満タンに コスモ石油」「新製品が安いケーズデンキ」の共通点は、ジングル(音声、曲)が付いていること。企業メッセージを浸透させるには、ジングルをつけることが有効だと考えられる。

新型コロナウイルス感染拡大の影響下で、「笑顔」や「愛」を含むメッセージが高い好感度を得る

好感を持てるメッセージかどうかを尋ねる「メッセージ好感度」のトップ20では、「笑顔(笑う)」「愛」「つなぐ」という言葉を含むメッセージが4件ランクインした(表2)。前回の2015年の結果と比較してみると、今回7位の「食でつなぐ、人と笑顔を。」(ハウス食品グループ本社)は前回70位、11位の「愛は食卓にある。」(キユーピー)は同58位、12位の「ふやしたいのは、笑顔です。」(アートネイチャー)は同38位だった。今回8位の江崎グリコのメッセージは、「あなたが笑うと、世界が変わる」だが、前回は「みんなに笑顔を届けたい。」というメッセージであり、今回同様に「笑」という言葉は含んでいたが、前回65位だった。5年前のこれらのメッセージの好感度は軒並み低かったが、今回はどれもトップ20にランクインした。新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大により、人との絆、笑顔や愛を感じさせるようなメッセージの好感度が高くなったことがうかがえる。 また、メッセージ好感度の首位は「事故のない毎日をつくりたい。」(住友ゴム工業)。まっすぐなメッセージが生活者に受け入れられたとともに、上述のようなコロナの影響が関係し、事故や不安のない日々を一般生活者がさらに期待したことが、結果に反映されたかもしれない。

時代を反映したメッセージが上位に
「旅」に対するイメージの変化

本調査では、提示した企業メッセージを見聞きした際にどのようなイメージを持つかについても一般生活者に尋ねている(表3)。「夢がある」の項目では、「旅は魔法」(星野リゾート)、「自由闊達である」の項目では、「見つけた!私だけの旅」(阪急交通社)が首位を獲得。前回と比較すると、「夢がある」の首位は「まちに、夢を描こう。」(西日本鉄道)、「自由闊達である」の首位は「あたらしい自由。au」(KDDI)だった。どちらも、「夢」や「自由」と、各イメージ項目の言葉を含んだメッセージが当時の首位となっていた。今回は、それらの言葉を含まないメッセージが首位となった。
なお、阪急交通社の前回のメッセージ「心に届く旅 Direct to your heart」は「自由闊達である」で53位、「行きたい旅、見つかる。」は同204位だった。今回同様に「旅」という言葉が入っているにもかかわらず、前回結果では順位が低かった。コロナの影響により、社会活動の自粛が続き、「旅」に対して「夢」「自由」というイメージが強くなったことがうかがえる。

高い評価となったSDGsやCSRのメッセージ

今回のメッセージでは、SDGsやCSRにまつわる、または感じさせるメッセージも含まれている。例えば、カリモク家具の「100歳の木を使うなら、その年輪にふさわしい家具をつくりたい。」は、「伝統を感じる」「高品質、技術の高さを感じる」の2項目において首位となった。SDGsの17の目標のひとつである「陸の豊かさも守ろう」にもつながりそうなメッセージと見受けられる。このメッセージは、企業名想起率では100位圏外となっているが、各イメージ項目で軒並み高評価を得た。なお、「環境への配慮を意識させる」の項目では、首位は「木」をメッセージに含む、「木と生きる幸福。」(住友林業)となった(表4)。トップ20では、過半数のメッセージが「地球」「自然」「海」「木」「食料」という言葉を含んでいる。

理解度が高いのは、日本語表記のメッセージ

「理解度」(企業が、このメッセージによって伝えようとする内容がわかるかどうかのスコア)のトップ20には、英語のメッセージが1件もなかった(表5)。一方で、「理解度」のワースト20では、12件のメッセージが英単語を含んでいた。企業のグローバル志向から、英語の企業メッセージが増えているが、日本の一般生活者が正確に理解できるメッセージは、日本語表記であることが読み取れる。

表1. 企業名想起率トップ20

※企業名想起率
メッセージのみを提示して、その発信元である企業名を自由記述で尋ね、正しく記入できた率。
メッセージ中に、企業名を推測できる言葉や企業名自体が入っている場合は、その部分を伏せ字(文字数にかかわらず、「●●●」)にして提示。

企業名
想起率
順位
メッセージ 企業名 企業名想起率(%)
1 あなたと、コンビに、
ファミリーマート
ファミリーマート 68.5
2 ココロも満タンに コスモ石油 コスモエネルギー
ホールディングス
(コスモ石油)
67.3
3 お口の恋人 ロッテ 64.0
4 新製品が安いケーズデンキ ケーズホールディングス 53.0
5 あっという間にすぐに沸く、
ティファール
グループセブジャパン 47.9
6 ヒューマン・ヘルスケア エーザイ 37.8
7 I'm lovin' it 日本マクドナルド 37.5
8 マチのほっとステーション ローソン 36.0
9 HITACHI Inspire the Next 日立製作所 30.4
10 ひとのときを、想う。JT 日本たばこ産業(JT) 29.8
11 それ、野村にきいてみよう 野村證券 27.0
12 いいことあるぞ ダスキン
(ミスタードーナツ)
25.6
13 自然を、おいしく、楽しく。
KAGOME
カゴメ 25.2
14 窓を考える会社 YKK AP 25.1
15 トマトの会社から、野菜の会社に。 カゴメ 24.3
16 愛は食卓にある。 キユーピー 23.9
17 近くて便利 セブン‐イレブン
・ジャパン
23.8
18 日本のお茶 お~いお茶 伊藤園 22.0
19 The Power of Dreams 本田技研工業 19.6
20 Be a driver. マツダ 19.5
表2. メッセージ好感度トップ20

※メッセージ好感度
メッセージを提示し、「あなたはこのメッセージについてどのように感じましたか。」と質問。
好感度に関する 5段階の各選択肢(「とても好感が持てる」~「全く好感が持てない」)にそれぞれ加重値を与え、-100~100間でスコア化。

好感度
順位
メッセージ 企業名 好感度(pt)
1 事故のない毎日をつくりたい。 住友ゴム工業 36.6
2 あなたと、コンビに、
ファミリーマート
ファミリーマート 34.0
3 ココロも満タンに コスモ石油 コスモエネルギー
ホールディングス
(コスモ石油)
33.6
4 こころとからだにおいしいものを ダイドードリンコ 33.3
5 すべては、お客様の
「うまい!」のために。
アサヒビール 31.5
6 日本の野菜をおいしく食べる! リンガーハット 31.2
7 食でつなぐ、人と笑顔を。 ハウス食品グループ本社 30.8
8 あなたが笑うと、世界が変わる 江崎グリコ 29.9
9 おいしい瞬間を届けたい ニチレイ 29.7
10 明日をもっとおいしく 明治ホールディングス 29.0
11 愛は食卓にある。 キユーピー 28.6
12 ふやしたいのは、笑顔です。 アートネイチャー 28.4
13 あったらいいなをカタチにする 小林製薬 28.2
14 近くて便利 セブン‐イレブン・ジャパン 28.1
15 マチのほっとステーション ローソン 27.9
16 ニッポンの野菜不足をゼロにする。 カゴメ 27.8
17 お口の恋人 ロッテ 27.7
18 自然を、おいしく、楽しく。
KAGOME
カゴメ 27.6
19 子どもたちに誇れるしごとを。 清水建設 27.4
20 こころ、はずむ、おいしさ。 エバラ食品工業 26.8
表3.イメージ項目別の首位
イメージ項目 メッセージ 企業名
夢がある 旅は魔法 星野リゾート
親しみやすい マチのほっとステーション ローソン
信頼できる 正直品質。 ファンケル
インパクトがある 安さ実感!今こそ現金値引 ケーズホールディングス
ビジョンがある 赤ちゃんを育てることが楽しく幸せだと思える社会をつくる コンビ
ゴロがよい ココロも満タンに コスモ石油 コスモエネルギーホールディングス(コスモ石油)
覚えやすい ココロも満タンに コスモ石油 コスモエネルギーホールディングス(コスモ石油)
エネルギッシュである とどけ!熱いエネルギー ENEOS
時代を切りひらいている 次の常識をつくる ソースネクスト
伝統を感じる 100歳の木を使うなら、その年輪にふさわしい家具をつくりたい。 カリモク家具
チャレンジ精神がある たどり着けない場所など、ない。 大和証券グループ本社
正直である わけあって、安い。 良品計画(無印良品)
自由闊達である 見つけた!私だけの旅 阪急交通社
ユニークである 知的な変わり者 ヤッホーブルーイング
環境への配慮を意識させる 木と生きる幸福。 住友林業
高品質、技術の高さを感じる 100歳の木を使うなら、その年輪にふさわしい家具をつくりたい。 カリモク家具
表4. イメージ項目「環境への配慮を意識させる」のトップ20
環境へ
の配慮
を意識
させる
順位
メッセージ 企業名 環境への
配慮 を
意識させる
(%)
1 木と生きる幸福。 住友林業 30.6
2 人も地球も健康に ヤクルト本社 28.2
3 人と自然をつなぐ 竹中工務店 27.5
4 海といのちの未来をつくる マルハ
ニチロ
27.2
4 人と地球を健康にする ユーグレナ 27.2
6 自然が好きです。 伊藤園 26.7
7 人と地球がともに豊かになる社会をめざして &EARTH 三井不動産 24.5
8 食料・水・環境 クボタ 23.9
9 人と、地球の、明日のために。 東芝 23.4
10 地球に笑顔を 大林組 22.2
11 植物のチカラ 日清オイリオグループ 21.0
12 地球を、キモチいい家に。 アース製薬 20.6
13 For Earth, For Life クボタ 19.2
14 アルプスアルパインは人と地球に喜ばれる
新たな価値を創造します。
アルプス
アルパイン
16.1
15 木と人の家具 カリモク カリモク家具 15.2
16 Innovation for the Earth 積水化学
工業
14.3
17 私たちは、大地の恵みを大切に、お客様の「おいしい」「うれしい」の期待にこたえ続けます。 小岩井乳業 12.8
18 100歳の木を使うなら、
その年輪にふさわしい家具をつくりたい。
カリモク家具 12.6
18 堀りだそう、自然の力。 カルビー 12.6
20 空気で答えを出す会社 ダイキン工業 12.5
表5.理解度トップ20

※理解度
メッセージと発信元企業名双方を提示し、「このメッセージによって伝えようとする内容がわかったか」と質問。 理解度に関する5段階の各選択肢(「よくわかる」~「全くわからない」)にそれぞれ加重値を与え、0~100間でスコア化

理解度順位
(pt)
メッセージ  企業名 理解度
1 近くて便利 セブン‐イレブン・ジャパン 61.0
2 新製品が安いケーズデンキ ケーズホールディングス 58.0
3 あっという間にすぐに沸く、
ティファール
グループセブジャパン 56.1
4 あなたと、コンビに、
ファミリーマート
ファミリーマート 55.3
5 お口の恋人 ロッテ 52.6
6 おいしい瞬間を届けたい ニチレイ 52.5
7 ニッポンの野菜不足をゼロにする。 カゴメ 52.2
8 自然を、おいしく、楽しく。
KAGOME
カゴメ 50.7
9 すべては、
お客様の「うまい!」のために。
アサヒビール 50.5
9 マチのほっとステーション ローソン 50.5
11 乾杯をもっとおいしく サッポロビール 50.4
11 おいしく、たのしく、すこやかに 森永製菓 50.4
13 食でつなぐ、人と笑顔を。 ハウス食品グループ本社 50.3
14 ココロも満タンに コスモ石油 コスモエネルギー
ホールディングス
(コスモ石油)
49.2
15 日本のお茶 お~いお茶 伊藤園 47.7
16 ふやしたいのは、笑顔です。 アートネイチャー 47.6
17 おいしさと健康 江崎グリコ 47.4
18 子供向けに高品質な
アニメーション映画を提供
スタジオジブリ 46.7
19 愛は食卓にある。 キユーピー 46.1
20 もっと安全に、もっとスムーズに 中日本高速道路
(NEXCO中日本)
46.0

調査概要

調査名 企業メッセージ調査2020
調査機関 日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部
調査対象 ・一般生活者の企業メッセージへの認知、接触、理解、好感とイメージを測定する
・企業メッセージがその企業を象徴したもの、代表性のあるものになっているか、また、効果的で適切なものかを判断する指標を提供する
・効果を上げている企業メッセージに共通する要素や使用法を明らかにする
・基本的なデータと、効果的な企業メッセージの選定、使用を考える上で役立つ情報を提供する
※企業メッセージについて
この調査では、『企業や企業グループが、自社のコンセプトや理念、姿勢、方針などを社外(消費者や取引先など)や社内(自社及びグループ企業の従業員)に伝え、浸透させるために全社的に一貫して使用しているフレーズや文言』という定義づけをしている
調査内容 ・各企業メッセージに対応する企業名を自由記入式で尋ねる設問
・各企業メッセージの認知度、接触、好感、イメージ等の設問
・一般生活者の属性(年齢、性別、職業)
調査対象 329メッセージ(企業数:211社)
メッセージ 「企業メッセージ調査2020」の「事前調査」にご協力いただいた企業のメッセージの中から選出
※特定の事業のメッセージを含む場合もある
※調査票及び報告書では、調査時点での企業名を用いた
調査方法 インターネット調査
調査対象者 全国の一般生活者(インターネットユーザー)
調査期間 2020年8月21日 ~8月30日
告知方法 調査協力依頼メールを配信
回収数 29,245件
企業メッセージ調査について

企業メッセージ調査2020

日経BPコンサルティング:日経BP全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9000万円)

このリリースに関するお問い合わせ

株式会社 日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部
担当:大平 望実
〒105-8308 東京都港区虎ノ門4-3-12

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