法人利用総合満足度、NTTドコモが2年連続1位に。音声端末とデータ端末の両部門で
―「携帯電話・スマートフォン"法人利用"実態調査2012」より―

2011年12月20日

日経BPコンサルティング(東京都港区、戸田雅博社長)はこのほど、「携帯電話・スマートフォン”法人利用”実態調査2012」の結果をまとめた(報告書として2011年12月20日に発行)。携帯電話の法人利用の実態と利用意向を探る本調査は、2005年に開始してから今回で7回目である。

通信事業者別の顧客満足度を比較したところ、音声端末とデータ端末のいずれの部門でも、主契約(主として契約している通信事業者)の総合満足度でNTTドコモが2年連続で1位となった(図1)。モバイル・ソリューションを提供する事業者としての観点で見た場合の企業イメージの総合評価でもNTTドコモが1位だった。

今回、企業の導入意欲が高まっているスマートフォン、タブレット端末に対する利用意向にも焦点を当てた。調査結果では、「スマートフォン」、「タブレット端末」に対する投資注力度の高さが際立つ結果となった。「高速モバイルデータ通信」に対する企業の投資意欲が急速に高まっていることも明らかになった。

図1 法人主契約企業の通信事業者満足度

<音声端末>
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<データ端末>
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【算出方法】
※「満足度ポイント」: 非常に満足(n1):100ポイント、どちらかといえば満足(n2):50ポイント、どちらともいえない(n3):0ポイント、どちらかといえば不満(n4):-50ポイント、不満(n5):-100ポイントとして、各満足度のn数(n1~n5)をかけ、全体のn数で割った値
「満足度ポイント」=(100×n1+50×n2+(-50)×n4+(-100)×n5)/n  (n=n1+n2+n3+n4+n5)

データ端末の満足度1位の項目数で、NTTドコモが躍進

音声端末の総合満足度スコアは、NTTドコモが37.9となり1位で、次いでKDDI(au)が34.1、ウィルコムが21.1、ソフトバンクが11.0という結果だった(イー・アクセスは回答数が1桁だったので本リリースでは除外)。音声端末に対するNTTドコモの評価は、総合満足度以外の個別の11項目中、昨年と同じ内容の7項目で1位を獲得している。1位の項目は、「通話エリア(屋内外の2項目)」、「通話品質」、「電話機(スペック/機能等)」、「法人営業対応」、「販売店・ショップ店員の対応」、「アフターサービス・サポート体制」の7つ。「端末の価格」、「月々の料金」以外の項目での満足度が非常に高い。特に、「通話エリア(屋内外の2項目)」、「通話品質」と「法人営業担当者の対応」の3項目での満足度は非常に高かった。

データ端末の総合満足度スコアは、NTTドコモが33.9となり1位で、次いでKDDI(au)が23.8、ウィルコムが20.7、イー・アクセス(イー・モバイル)が16.7、ソフトバンクが9.1という結果だった。総合満足度以外の個別の12項目中、NTTドコモが1位を獲得した項目が昨年の7項目から9項目に増えた。一昨年が3項目だったことから、NTTドコモがこの2~3年でデータ通信に対する取り組みを強化した成果が表れたと言える。具体的には、昨年1位の「通信エリア(屋内外の2項目)」、「通信品質」、「データ通信の速度」、「法人営業対応」、「販売店・ショップ店員の対応」、「アフターサービス・サポート体制」の7項目に加え、「法人サービス・ソリューション」、「端末(性能、機能等)」の2項目で1位となった。

モバイル・ソリューションの「提案力」に優れているというイメージ、1位はソフトバンク

モバイル・ソリューションを提供する事業者としての観点で、各通信事業者(5社)の企業イメージについても尋ねている。「総合評価」のほか、「提案力(顧客ニーズへの対応に熱心/営業・販売力が強い)」、「技術力(研究開発力・商品開発力が旺盛である)」、「人材(法人向けソリューションに関して優秀な人材が多い)」、「信頼性(安心して任せられる/アフターサービスに優れる)」、「将来性(新分野進出に熱心で成長力がある)」・・・の計6項目に関して、どの程度優れているかのイメージについて5段階で回答を求めてスコア化した。

その結果、NTTドコモは、これらの6つの項目のうち、「提案力」を除く5項目で1位となった(図2)。しかもこの5項目は、NTTドコモの評価が抜きん出ている。この傾向は、ここ数年変わっていない。一方、「提案力」に優れているというイメージでは、ソフトバンクが僅差でNTTドコモを上回り前回に続き1位だった。iPad、iPhoneを活用したモバイル・ソリューションの提案など、積極的な取り組みも評価に表れていると言える。

図2 法人モバイル・ソリューションにおける通信事業者イメージ
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【算出方法】
「総合評価」「提案力」「技術力」「人材」「信頼性」「将来性」の6つの項目に対し、各通信事業者について1~5(弱い~強い)の5段階で評価してもらった。この5段階を1=0ポイント、2=25ポイント、3=50ポイント、4=75ポイント、5=100ポイントと重み付けし、回答比率を掛け合わせた値をスコアとした。

2012年の重点投資分野は「スマホ」、「タブレット端末」、「高速モバイルデータ通信」

モバイル・ソリューションへの投資に関しては、「スマートフォン」、「タブレット端末」に対する注力度の高さが際立つ(図3)。次いで「クラウドコンピューティング」、「高速モバイルデータ通信」、「モバイル・セキュリティ」、「SaaS」、「無線LAN」の7分野が重点投資テーマと言える。アンケート調査では、20分野の投資注力度を調べたが、この7分野と他の項目の投資注力度の差が開いた。

今回新たに追加した分野である「高速モバイルデータ通信」については、LTE、WiMAXのエリア拡大やスマートフォン、タブレット端末への対応、さらに下りの伝送速度が110Mbpsで国内最速を掲げて「SoftBank 4G」という名称でソフトバンクが2012年2月に開始するXGPなど、高速モバイルデータ通信への企業の対応が進むと考えられる。

図3 モバイル・ソリューションに関する投資の注力度
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※図の見方
各企業に対し、前年に比べ投資の度合いについて2011年はどうだったか、2012年はどう考えているかを聞いた。 前年に比べ投資を拡大するものを+3ポイント、変わらない+1ポイント、縮小する-3ポイントとして算出し、各項目の平均ポイントをプロット 平均ポイントが1以上の場合、拡大傾向、1以下だと縮小傾向となる。またブルーの対角線よりも上部にプロットされているものは、前年よりも投資の対前年比が高まっているものとなる。

(藤澤 一郎=日経BPコンサルティング シニアコンサルタント)

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*調査概要
「携帯電話・スマートフォン”法人利用”実態調査2012」は、今回が7回目。調査方法は、企業へのアンケート調査とモバイル・キャリア5社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセス、ウィルコム)へのヒアリング調査。アンケート調査は、全上場企業と非上場の優良企業の合計5000社の情報システム部門を対象に調査票を郵送し、642社の情報システム部門、総務部門などから回答を得た(回収率:12.8%)。調査期間はアンケート調査が2011年10月24日~11月10日、ヒアリング調査が2011年11月28日~12月9日。携帯電話/PHSの法人利用の実態と、今後3年間の企業の導入計画、さらに経年での比較も含めた法人利用・ニーズの変化を分析した。音声通信とデータ通信の両面で調査している。

*調査報告書
日経BPコンサルティングは2011年12月20日に、調査結果をまとめた「携帯電話・スマートフォン”法人利用”実態調査2012」を発行した。通常版総ページ数は約900ページ。業種や売上規模、従業員数別の全集計結果を収録したCD-ROM付き。またローデータ版もある。詳しくは、下記サイトへ。

http://consult.nikkeibp.co.jp/research/reports-and-data/keitai_hojin/

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