BtoC編でGoogleが初の首位に、ブランド力上昇率の第1位はTwitter。BtoB編は7年ぶりにトップに変動、パナソニックが第1位に
―「ブランド・ジャパン2011」の結果を本日リリース―
2011年04月15日
株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、今年で11年目を迎える日本最大のブランド評価調査プロジェクト「ブランド・ジャパン2011」の結果をまとめ、本日(2011年4月15日)、調査結果報告書を発行・発売すると同時に、東京コンファレンスセンター・品川にて「ブランド・ジャパン 発行11周年記念ブランドセミナー~『雑多な時代』に対応できるブランド、できないブランド~」を開催する。本プロジェクトでは、一般消費者とビジネス・パーソンへのアンケート調査から、企業や商品延べ1500のブランド力を評価した。調査は2010年11月に実施し、回答者は約5万6000人となった。
BtoC編のブランド総合力ランキングでは、91.2ポイントを獲得したGoogleが初の首位に。「イノベーティブ(革新性)」ポイントの高さが光った。BtoB編では、2004 から第1位を堅守してきたトヨタ自動車に代わり、パナソニックが首位の座に。ポイントも唯一100の大台を超え、102.3と高ポイントを獲得。
BtoC編:Googleが初の首位、「イノベーティブ(革新性)」因子のポイントの高さが起因
今回の結果の最大の特徴は、「ネット・デジタル関連ブランドの上昇と定着」である。BtoC編のブランド総合力ランキングでは、91.2ポイントを獲得したGoogleが、初めて首位となった(表1)。ブランド・ジャパンでは、2002に初登場し、その時は第426位。以降、ブランド力は上昇を続け、「ブランド・ジャパン2006」からはトップ10前後に顔を出すようになった。2009、2010では、第2位につけ、足掛け10年でついに首位の座を奪取した。
Googleの特徴は「イノベーティブ(革新性)」ポイントの高さにあり、このランキングにおいて第1位となった。「イノベーティブ」を構成する3つのイメージ項目では、「時代を切りひらいている」が前回に続き第1位、「勢いがある」が第2位、「旬である」が第8位となった(図1)。
Googleのもう1つの特徴は、10年分のデータを経年で見ると明らかになる。当初は、「便利さ」を表す「コンビニエント」なブランドとして登場したが、年を追うごとにイノベーティブ的な要素が強くなっていった。つまり、Googleのイメージが、検索などによる単なる「役立ち感」から、「勢いや開拓精神のある注目すべき企業」のイメージに変化していった。また、時間の流れとともにコモディティ化して、「親しみ」が強くなるブランドが多い中、ベクトルを逆に持ち、さらに「注目度や勢い」が増すブランドは稀で、Googleのブランド力向上の原動力となっている。2010年10月には、ソニー米法人が「Google TV」プラットフォームを搭載したインターネットテレビを発表した。まさにICT時代を先導するブランドの代表と言えよう。
この流れを受けて、全体的に「デジタル・ネット系ブランド」や、「Apple、ソフトバンク勢の上昇」が目立った。ブランド総合力第7位にはYouTube、第9位には楽天市場、そして第17位にはAmazonがそれぞれランクインした。
さらに、Appleは前回、ブランド総合力第40位だったが、今回は第11位と急伸した。「イノベーティブ(革新)」因子が飛躍的な伸び(22.9ポイント上昇)を示したほか、「アウトスタンディング(卓越)」因子においても9.1ポイント伸びたことが起因している。また、iPodが第50位、iPhoneが第73位、iPadが第90位となり、主力3商品もすべてトップ100位内にランクインした。
また、ソフトバンクは第39位から第33位に上昇、ソフトバンクモバイルは第141位から第66位となった。ソフトバンクモバイルは、「革新性」と「卓越性」のポイントが伸びたことが大きい。なお、他の携帯キャリアは停滞しており、NTTドコモが第147位、auが第261位に留まった。その他、Twitterがブランド総合力の上昇ランキングで第1位となったほか、同ランキングで、Amebaが第4位となった。
さて、2010年は、リーマンショック以降のデフレの影響で、経済が停滞した年である。前回の2010では、「低価格戦略」に舵を取る企業がブランド力を強めた。今回は、前回順位を伸ばしたブランドが一服し、順位を保持したか若干下がったケースが多い。しかしそんな中、マクドナルドはさらに順位を上げた。「フレンドリー(親しみ)」因子が3.2ポイント上昇、「コンビニエント(便利)」因子が3.2ポイント上昇したとともに、「アウトスタンディング(卓越)」因子が4.3ポイント、「イノベーティブ(革新)」因子が4.4ポイント上昇した。この結果、直近5年間でブランド総合力順位は常に上がり続け、2007の第81位から、第42位、第16位、第7位となり、今回は第4位となった。マクドナルドは2010年、東京都内に、居心地の良さを追求した「新世代デザイン店舗」をオープンした。また「BigAmericaシリーズ」を展開して、単に安い商品だけではなく、多少高くても人に選ばれる商品をラインアップした。その結果、「フレンドリー」と「イノベーティブ」という一見、両立しえないイメージを共にパワーアップさせ、ブランド総合力は過去最高位をマークした。
BtoB編:パナソニックが、初の首位を獲得
BtoB編では、2004 から第1位を堅守してきたトヨタ自動車に代わり、パナソニックがはじめて首位の座を得た(図2)。ポイントも唯一100の大台を超え、102.3と高ポイントを獲得した。パナソニックは、「この企業を高く評価している」で46.3%を獲得し、この項目で首位となったほか、「一流である」「日本経済を支えている」「この企業から学びたい」「この企業で働いてみたい」「人材が優れている」の計6項目で第1位となった。2008年10月の社名変更以降、松下、ナショナル、パナソニックの3つの看板を1つに束ね、ブランド戦略が効率化したことが奏功した。
トップ5をみると、第2位にトヨタ自動車、第3位に日産自動車、第5位に本田技研工業と、日本を代表する3大自動車メーカーがランクインした。日産自動車はブランド・ジャパンが始まって以来、最高位を獲得。各イメージ項目別でみても2項目を除いて、前回の得票率を上回った。また、第4位にソニー、第6位に任天堂、第7位はBtoC編で第1位のGoogleがランクインした。
ブランド総合力の上昇ランキングをみると、第2位にタニタ、第8位に三洋電機が入った。計量器メーカーのタニタは、2010年に「体脂肪計タニタの社員食堂 ~500kcalのまんぷく定食~」など、ダイエットができるレシピ本が話題となり、「人材力」が前回に比べ23.2ポイントも上昇した。またBtoC編でも、ブランド総合力上昇ランキングで第9位となった。三洋電機は、ホームベーカリー「GOPAN(ゴパン)」のヒットを背景に、「エネルギッシュである」「時代を切りひらいている」「好感を持っている」などでポイントが上昇した。
(吉田健一=日経BPコンサルティング ブランド・ジャパン プロジェクト・マネージャー)
表1 「ブランド・ジャパン 2011」の上位50ブランド(60KB)
ブランド・ジャパン: 国内で使用されているブランドを消費者とビジネス・パーソンが評価する、日本最大のブランド評価調査プロジェクト。2001年に第1回調査を実施し、今回が11回目。調査は、消費者としての立場から回答を求める「コンシューマー市場(BtoC)編」(調査対象ブランド1000件)と、ビジネス・パーソンとしての立場から回答を求める「ビジネス市場(BtoB)編」(同500件)とから成る。調査概要は、「ブランド評価手法(BtoC編)」「ブランド評価手法(BtoB編)」と「特別顧問およびブランド・ジャパン企画委員会」を参照
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ブランド・ジャパン プロジェクト・マネージャー 吉田 健一
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