サステナビリティ関連資料の現状
企業が自社のサステナビリティに関する取り組みを開示するために発行する資料には、主に「統合報告書」「ESGデータブック」などが存在します。
このうち統合報告書は、業績などの財務情報と環境・社会に対する取り組みなどを含む非財務情報を併せて記載したもので、2023年には約1000社もの企業が発行しています。
第1回:統合報告書作成のポイント | CCL. | 日経BPコンサルティング (nikkeibp.co.jp)
一方ESGデータブックは、財務情報は記載せず、企業の環境・社会・ガバナンスに関する取り組みやデータの開示に特化したものです。企業によって「サステナビリティレポート」や「ESGレポート」など呼称は様々です。日経BPコンサルティングが2023年に実施した「ESG経営への取り組み状況調査」では、売上高3000億円以上の企業ではすでに50%以上が発行しています。
なぜESGデータブックを作成するのか?
なぜ世の企業は統合報告書以外にもいろいろと報告書を出しているのか、統合報告書一つ出せば事足りるのではないか…こんな素朴な疑問を抱かれると思います。しかしESGデータブックには、以下のようなメリットがあります。
①ESGデータを一括管理できる
・企業サイトや統合報告書などに散在しているESGデータを1カ所にまとめることで、情報管理を効率化
・年次で発行すればデータ更新漏れのリスクも低減
②第三者にも見やすい・分かりやすい
・投資家やその他ステークホルダーの情報収集負担を低減
・FTSEやMSCI等の評価機関に開示情報を見つけてもらいやすくなり、スコアアップにも寄与
③比較的スピーディーかつ手軽に発行できる
・基本的に統合報告書よりも短い期間で作成可能
・年度の締めから早い段階で公開することで、統合報告書の発行時期では間に合わない外部評価にもデータが反映される可能性あり
こんな企業におすすめ!
以下のようなお悩みを持つ企業には、特にESGデータブックがおすすめです。
・企業サイトや各種発行物にサステナビリティ情報が点在しており、管理が難しい
・自社の情報開示を進めたいが、いきなり統合報告書を作るのは少し荷が重い
・すでに統合報告書を発行しているが、内容が盛りだくさんすぎて整理したい
ESGデータブック作成のポイント
すでに情報開示に取り組んでいる企業もそうでない企業も、気軽に着手しやすいESGデータブック。より効果的な開示をするために、押さえておきたい2つのポイントを紹介します。
①統合報告書やその他媒体との線引きを明確にする
まず資料ごとの役割分担を明確にし、どの資料でどんな情報を開示するかを決めることが重要です。不要な記載内容の重複をなくすことで、読みやすくするとともにデータの更新漏れやページ数の増加を防ぐことができます。
②連結・単体の別が分かるように記載する
グループ会社がある場合、連結と単体のデータが混在することがあります。記載方法や注釈などで工夫し、分かりやすく開示することが重要です。
ESGデータブックを単なる発行物のうちの一つで終わらせず、ぜひ企業の取り組みを最大限アピールするためのツールとして活用してみてください。
一度「型」さえ決まれば以降は繰り返し更新していけるESGデータブックは、初期段階で外部コンサルタントのアドバイスを取り込むというのも有効な手段の一つです。日経BPコンサルティングでは、お客様の作業負担を軽減しつつ、評価機関や投資家の目線を意識したご提案をさせていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。
資料ダウンロード
日経BPコンサルティングが2023年11月に実施した「ESG経営への取り組み状況調査」の調査結果(一部抜粋)や、ESGデータブック制作に関するサービス内容についてまとめました。
ESGデータブック作成時に役立つ内容もありますので、ぜひご活用ください。
※資料のダウンロードには個人情報取得に関する同意が必要です。サステナビリティ本部コンサルティング部
西尾 理紗
アナリストとしてCDP、FTSEなどESG評価のスコアアップ支援を始めとする非財務情報開示アドバイザリーを担当。ESGデータブックやサステナビリティレポート等の発行物制作にも携わる。
※肩書きは記事公開時点のものです。