マーケティングカオスから抜け出せ 第6回

ビジネスにつながるジャーニーマップ内容を大公開

マーケティングカオスから脱却するためのジャーニーマップの作り方コラム最終回です。今回は、本連載の基礎となっている書籍「BtoBマーケティングの最適解 ビジネスにつながるジャーニーマップ」(日経BPコンサルティング刊)から、ジャーニーマップ作成の肝の部分をお見せします。本書の読み方にも触れていますので、すでに本書をお持ちの方も、このコラムと合わせてお読みください。

この記事のポイント

Point1 戦術だけを目的にしてはならない、特にツール操作の巧拙だけにこだわるな

Point2 成果に結びつく、ブレのない戦略を立てるためにジャーニーマップを活用する

Point3 読み物に限らず、必要な機能コンテンツも用意すべき

書籍「BtoBマーケティングの最適解 ビジネスにつながるジャーニーマップ」は、「ジャーニーマップ」の作り方を学ぶとともに、「ジャーニーマップ」によって、各接点で、どのようにターゲットと向かい合い、どのようなタイミングでどのような情報を提示していけばいいのかを、細かく示しています。本書は、以下の章立てとなっています。

第1章から第3章は、架空のIT機器メーカーの製品担当者、白金くんが先輩マーケターの神谷さんに仕事上の悩みを相談しながら、ジャーニーマップの作り方のコツをレクチャーしてもらう様子を描いています。

第4章では、ジャーニーマップ作成時に直面しがちな問題点をケーススタディで紹介し、解決法を探っていきます。

第5章では、ジャーニーマップに描かれたデジタル施策をどのように実施すべきか、基本事項を紹介しています。

「新しくIT機器メーカーの製品担当になった白金くん。自分の担当する製品を売ろうと張り切ってキャンペーン用のサイトを立ち上げたものの、月の問い合わせ目標が100件のところ、実際の問い合わせはたった4件という惨憺たる結果に。あわててマーケティング部の中堅社員神谷さんに泣きつきます」

扉に書かれたこの文章から始まる本書。以下のような話が展開されます。

神谷さんと白金くんの対話で進むノウハウ本

白金 神谷さん、助けてください~!

神谷 白金くん、どうしたの?

白金 僕が担当している製品の新しいサーバーをもっとお客様に使ってほしくて、今なら30%OFFのキャンペーンサイトを立ち上げたんです。僕なりに考えて、オプションを選ぶと大体の値段が分かる簡易見積もりツールも作りました。月に100件くらいは、使ってくれるかなーと思っていたんですが……。

神谷 へぇ。結構頑張ったんだね。それで、結果はどうだったの?

白金 月にたった4件です。どうしたらいんでしょう?

神谷 4件はなかなか厳しいね。アクセス数はどうだった?

白金 アクセス数も月に100件です。みんな、キャンペーンサイトにすら来てくれなくって……。

仕事上のトラブルも織り込みながら対話形式で書いているので、若干読みづらいかもしれませんが、デジマ担当者の身近な悩みに応えてくれる話がたくさん書かれています。

まだ書籍をお持ちではなく、読んでみたい方は、抽選で毎月3名様にプレゼントしています。ご希望の方は、こちらのフォームからお申し込みください。

ジャーニーマップ作成時の悩みを解決

本書の156~157ページでは、「これだけ分かれば、あなたもすぐにジャーニーマップを描くことができます。御用とお急ぎの方は、かいつまんでお読みください。」との前置きで、「ジャーニーマップ作成の流れ」をまとめています。

この部分を読んでいただければ、ジャーニーマップ作成で悩んで、立ち止まってしまうクリティカルなポイントの解決策が理解しやすくなります。もちろんジャーニーマップ作成の流れも分かります。

ジャーニーマップ作成の流れ

①ターゲットはどうやって決めればいいの?
施策が最も効果が出そうな顧客セグメントを設定しましょう。
②ジャーニーマップはどこまで描けば終わり?
ジャーニーマップに終わりはありません。まずは一連のマーケティングサイクルを考えましょう。運用フェーズを入れることも忘れずに。
③ターゲットのステータスはどう整理したらいいの?
一連のマーケティングサイクル「集客」「接客」「送客」「増客」を考えましょう。
④異なる属性のターゲットが出てきてしまったときには?
BtoBならではのプロセスに注意して、購買ステータスに関わる担当者が分かるような欄を設けましょう。
⑤ステータスの次に整理するものは?
ターゲットが取り得るであろう企業との接点(=タッチポイント)を洗い出しましょう。
⑥タッチポイントが大まかすぎて、何をしていいか分かりません
施策を考えたいタッチポイントが明記できるまでタッチポイントは詳細化しましょう。
⑦顧客はどこから自社サイトにやってくるの?
タッチポイントでは、自社以外の接点も忘れずに。もちろんリアルの接点も欠かせません。
⑧購買ステータスとタッチポイント、どうやって結びつける?
ターゲットとの接点となりそうなポイントを仮定しましょう。調査やヒアリングを参考にするとより現実的に。
⑨ジャーニーマップは現実?それとも理想?
ジャーニーマップには、データや営業担当者の経験をフル活用した「理想のルート」を描きましょう。
⑩洗い出したタッチポイント、どうやって使っていけばいいの?
タッチポイントを結びつけ、ゴールに至る道筋を可視化しましょう。

以上のポイントさえ押さえれば、ジャーニーマップを作ることができます。

問題は、どのようなコンテンツを作り、どのタイミングで閲覧できるようにするかです。コンテンツは読み物だけではありません。動画はもちろん、見積もり機能や最適な情報への振り分け機能など、ターゲットビジターが利便性を感じるものも必要です。

御社の事情に合わせてどんなコンテンツを用意すべきかについては、弊社のスタッフがご相談に乗ります。もちろんジャーニーマップを作るお手伝いもいたします。そして非常に大切な、ターゲットを集める策は日経BPグループの得意とするところです。

また、意外に知られていませんが、日経BPグループはターゲットの見える化も50年来続けています。対象市場のユニバースや規模、ターゲットリードを確定し、そこに情報を届けるためのマーケティング活動を、創業当初から繰り返して、専門雑誌を創刊してきました。

マーケティングに関するお悩みがあればご遠慮なくお問い合わせください。

ジャーニーマップで戦略を

最後にネタ本の説明かよ、といぶかしく思われる方もいらっしゃるかもしれません。理由は以下の通りです。

その昔、1980年代に「じょうずなワニのつかまえ方」という本が評判になりました。うふふとにやにやしながら読めるこの本、私は大好きで本棚のよく見えるところにずっと置いてあります。

使われている紙は厚地のザラ紙のようなもので軽く、さまざまなフォント(書体)が使われている「書体みほん」みたいな趣味的な作りです。こういった触感にも訴える遊び心は、デジタルではできない紙の書籍ならではの味わいです。

内容は「ベッドメーキング」、「ハムスターの扱い方」が載っているページから始まって、2ページ目が「ポートワインのすすめ方」、なかには「盆栽の手入れ」、「ウシをまる焼きにする方法」など実務的な(?)テーマもありますが、「びんで“ネコ”を釣る法」や「ノミの跳躍力の測り方」、「野鳥用ケーキの作り方」など、およそ役には立たなそうな情報が、320ページにわたって450以上も並んでいます。

役には立たないが雑学としては興味を持てる内容が列挙され、最後のページには「何か忘れてやしませんか、と言いたそうなあなたに……」、えへへ、こういう仕掛けなんですよと言わんばかりに、表題の「ワニをつかまえる方法」がちゃんと書かれていました。

私の大好きな「じょうずなワニのつかまえ方」にならって、このコラムでも最後に、「BtoBマーケティングの最適解 ビジネスにつながるジャーニーマップ」の内容をお伝えした次第です。

もうひとつだけ付け加えます。連載初回の冒頭に書いたように、戦略のない戦術はカオス、戦術に欠ける戦略はファンタジーです。戦術を生かすためには、揺るぎない戦略が重要です。特に戦術を構成する戦法だけに目が行きがちな状況は、改めなければなりません。

一方、「手段が目的となることを趣味という」というオーディオ評論家の故・長岡鉄男さんの言葉もあります。オーディオなら音楽を楽しむだけでなく、音を出す手段である機器にこだわったり、音響を重視した部屋の壁や天井などの環境に凝ったりするのも楽しいでしょう。

しかしマーケティングは業務を遂行する手段です。仕事ですから、必ず成果に結びつけることが求められます。

マーケティングの戦術、手段であるツールのオペレーションやKPI達成だけを目的として、戦術におぼれることがなく、求められる成果を出せるように、ジャーニーマップでまず、しっかりした戦略を練っていきたいものです。

(コンテンツコミュニケーション・ラボ)

連載:マーケティングカオスから抜け出せ

このコラムは、
日経BPコンサルティング発行の書籍
「BtoBマーケティングの最適解 ビジネスにつながるジャーニーマップ」
に基づいています。書籍を読みたい方は、抽選で毎月3名にプレゼントします。ご希望の方は、こちらの応募フォームからお申込みください。

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