マーケティングカオスから抜け出せ 第3回

購買ステータスに合わせ、デジマのメインルートに着眼

ジャーニーマップ全体をいきなり作ることは至難の業です。潜在リードから優良顧客まで全体を見渡して、ビジネスを展開しているビジネスマンなど、存在するわけがないからです。
まずは自分の業務範囲、担当分野から描き始めましょう。その際にも、担当分野以外で、マーケティング戦術に役立つことは何かを意識することが大切です。想像力を働かせましょう。

この記事のポイント

Point1 自分の担当分野を出発点として考える
Point2 担当分野以外で、マーケティング戦術に役立つことは何かを意識する
Point3 イケスに釣り糸を垂らす集客、丁寧な接客、営業への送客、リピーターにする増客に分けて考える

自分の業務範囲から始めよう

ジャーニーマップ作成の折には、自分の業務範囲、担当分野から考え始めると着手しやすいと思います。デジタルマーケティングの業務範囲から入りましょう。

自社のWebサイトに入ってくるところから始めて、Webサイトを舞台にターゲットのニーズに合ったコンテンツを出し分けること。そして多くの人に「購入」ボタンを押してもらう、というルートを考えるとよいでしょう。

これはデジマ担当者のみなさんがイメージする、MAツールのシナリオのようなものです。ジャーニーマップ作成の出発点となります。MAツールで面倒を見られる、Webサイトやメールマガジン、営業チームへのアラートメールをどう設計するかを考えるところから始めてもよいでしょう。

その考察を踏まえて、担当分野以外における課題解決に役立つ戦術は何かを意識していくことです。狭い範囲で思考してしまうと、泥沼にはまることがあります。

キャンペーンサイトにアクセスさせることが課題であれば、「Webサイトへのアクセス」をスタート地点にすると、たとえば以下のようなことを考えるでしょう。まずはキャンペーンサイトに来てもらう戦術はどうすべきか、次に見積りツールを使ってもらう戦術は何か、などなど。今保持している小さなハウスリストをどう売り上げに結びつけるかという、小さな世界での改善を一生懸命考えなければなりません。

しかし、ジャーニーマップでは、もっと広い視野でゆるく全体をとらえていきます。ターゲットがサイトを開く前に、企業に対してどういうイメージを抱くのか。そのイメージはどういうタッチポイントで生じるのか。テレビのCMなのか、新聞なのか、雑誌広告なのか。このように「Webサイトへのアクセス前」から始めると泥沼から抜け出せます。どこから呼び寄せようか、リアルの展示会に出て新たなお客さんからもらった名刺を出発点にしようか、営業担当が持っていくチラシの内容を変更しようかと考えていきます。

キャンペーンサイトを何とかすることが目的であっても、範囲をもっと広めて、リアルも含めて、サイトを見てもらうための戦術を合わせて考えたほうが効果的です。サイトに来るところから始めるのではなく、その前から考えたほうがよいのはこのためです。

広告施策や展示会など、リアルも巻き込んだジャーニーマップを見ていけば、いやがうえにも考えは広がっていくでしょう。

集客、接客、送客、増客の購買ステータスを設定

購買ステータスとしては、一連のマーケティングサイクル「集客、接客、送客、増客」を考えましょう。キャンペーンサイトに来る前から描き始めて、購買までのステータスを考えます。どのような流れで購買を決めるかという気持ちや、判断、行動の流れを考えます。自分がものを買うときのことを想定してみましょう。

いきなりBtoB商材のことを考えることは難しいので、たとえば自転車を買うケースを想定してみましょう。

自転車を買う前に、どうやって情報収集して、何が決め手でメーカーを選び、どうやって型番を決めて、なぜ購入店舗を決めたかを考え、同じ流れを売りたい商材に当てはめて考えてみましょう。自転車の場合は、マニアの友達に薦められた車種のサイトを見て、比較サイトを見て、口コミを見て、その友達は、雑誌を買ってという具合です。一連のマーケティングサイクル「集客、接客、送客、増客」を一つの区切りとして、考えていくとよいでしょう。

もう少し丁寧に書くと、イケスに釣り糸を垂らす「集客」、Webサイト上での丁寧な「接客」、営業が動きやすくなるリード情報を獲得する「送客」、リピーターにして収益源とする「増客」に分けて考えます。

① 【集客】

見てもらいたいコンテンツ、この場合はキャンペーンサイトにお客さんを集めてくるフェーズです。見てくれる数、ページビュー数を稼げばいいというわけではありません。アクセスログを見たら競合他社ばかりがアクセスしているようでは、集客が成功しているとは言えないからです。

お客さんを集めてくるために、広告を使ったり、セールスにチラシを配ってもらったりして、本当にこの商材を欲しているだろう人に届けるような戦術を考えます。専門誌に広告を出すとか、専門サイトに記事体広告を載せるなどの手法もあります。

その商材を欲していると思われる人が集まるサイト、よく読んでいる雑誌や記事を狙って広告を打つ。その誘導先としてキャンペーンサイトを案内します。魚がたくさん集まっているイケスをつくり、そこに狙いの魚種が好む餌を付けた釣り糸を垂らすようなものです。

② 【接客】

いろいろな方法で集めたお客さんをおもてなしするのがこのフェーズです。

キャンペーンサイトの中で、どんな情報をどんな順番に見せるとよいかを、この接客フェーズでは考えます。

ただし動画を流したり、コンテンツをリッチにしたりに凝りすぎると、ダウンロードに時間がかかることがあります。それが原因で待ちが発生するようなことを避けるのも、この時点では大事なポイントです。コンテンツの構造が整理されていなくて、お客さんが売り場で迷子になるような情報設計も避けましょう。基礎的なユーザビリティの上に、初めて魅力的なコンテンツやデザインが乗ってきます。

③ 【送客】

買おうかなという気になったお客さんを、つまり購入の検討に入っているリードを、実際にレジまで運ぶのがこのフェーズです。多くのBtoB商材はWebサイトのECでは売れないので、セールスにつなぐところがこのフェーズに当たります。

どこの誰が相手で、どのようなニーズを持っているかが分からないとセールスも売り込みに行けません。最低限どんな会社の、誰にコンタクトすればいいか、加えてどのようなビジネス上の課題を解決するために購入したいのかを情報収集しておくことが必要です。

このためには、資料やホワイトペーパーのようなものをダウンロードしてもらえるようなコンテンツを作り、ダウンロードの際に社名、名前、メールアドレスを入力してもらうようにするとよいでしょう。Cookieごとにアクセスログを解析して、どんなコンテンツを閲覧しているかを調べると、抱えているビジネス上の課題や探している解決策を探ることもできます。

営業を動かすためには、上記の情報に加えて、そのお客さんが急いでいるのかいないのか、どのくらいの規模で導入してくれそうかなどの補足情報を取ることも大切です。BANT情報と呼ばれる情報です。

  • B:Budget(予算)
  • A:Authority(権限)
  • N:Need(必要性や緊急性の強さ)
  • T:Timeframe(急ぎかどうか)

これを取得できるようにするためには、サイトの問い合わせフォームの設計が重要になります。

予算の規模、購買権限の有無やニーズの強さ、購入希望時期が分かったら、動かない営業はいません。かと言って、BANTのすべてをデジタル戦術で取得できるとは限りません。いや、むしろ難しいでしょう。SAL、つまり営業が引き継いで、できれば動きたくなるリード情報(Sales Accepted Lead)の条件を営業側と詰めておいた方がよいでしょう。

④ 【増客】

「増客」とは、導入後の運用フェーズです。
サポートの窓口が的確な回答をすれば、次も買おう、契約を更改しようと考えてもらいやすくなります。もし、最初の契約窓口の人が異動や転職してしまっても、次の部署や次の会社でも第一候補として検討してくれるかもしれません。他の人に薦めてくれることもあるでしょう。その人のライフタイムバリューを考える上ではこの運用フェーズはとても重要です。

この4つの「客」の中をプロセスで細分化すると、お客さんがどんな検討ステータスを経て製品を買ってくれるのかよく分かると思います。

このやり方で購買ステータスが見えてきたら、その内容をジャーニーマップの横軸に並べてみましょう。もし、全部を連番にするのが分かりづらかったら、大きなかたまりごとにまとめてもよいでしょう。

(コンテンツコミュニケーション・ラボ)

連載:マーケティングカオスから抜け出せ

このコラムは、
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