BtoBマーケティングの最適解シリーズ 第3回

なぜ、となりの会社の製品(ソリューション)はあなたの会社の製品より売れるのか 〜 カスタマージャーニーマップ編 〜

2018.12.28

コンテンツマーケティング

  • 前島 寛子近影。

    コンテンツコミュニケーションラボ コンサルタント 前島 寛子

コンサルタント前島寛子の答え
「Webサイトで本当に求める情報を提示できているから!」
ターゲットが欲しがるタイミングで、欲しい情報を届けるためにカスタマージャーニーマップを作ろう

迷路のようなものから、ユーザーをソリューションに導く。
「なぜ、となりの会社の製品(ソリューション)は、あなたの会社の製品より売れるのか」その答えは、CS(カスタマーサクセス)の重視を念頭に置いたコミュニケーションデザインができているから。
優れたコミュニケーションデザインには、「集客」、「接客」、「送客」、「増客」の4つの要素が不可欠です。日経BPコンサルティング・コンテンツコミュニケーションラボの4人のコンサルタントが、これらの要素をひとつずつ解説します。
第3回のテーマは「送客」。コンサルタント前島寛子が、「適切なタイミングで、ターゲットが求める情報を届けるためのカスタマージャーニーマップ」についてお伝えします。

「続きはWebで」。

このフレーズ、みなさんも必ずどこかで聞いたことがあるでしょう。このフレーズには、CX(カスタマー・エクスペリエンス)を最適化するためのヒントが隠れています。私はこの手法を、勝手に“かゆがらせマーケティング”と呼んでいます。広告、宣伝であとちょっと、というところを隠して、次のステップに強力に誘導する。期待感をあおって、Webサイトへ誘導する手法です。

期待感をあおり、Webサイトへ誘導する手法、「続きはWebで」。

とても便利な手法ですが、Webサイトに誘導された人をすべて満足させているかといえば、残念ながらそうではありません。そうなると、せっかくのマーケティング施策もがっかりマーケティングに早変わりです。そんな苦い経験、皆様もいくつか思い当たるのではないでしょうか?

テクノロジーはコモディティ化し、製品・ソリューションそのものの差別化が難しい時代です。

そんな時代に、ターゲットをがっかりさせず、引き付けるための情報をどう出すかは非常に大切です。情報の出し方ひとつで、製品の売れ行きが左右されるケースも少なくありません。

情報の出し方を考えるうえで、たいへん役に立つ方法があります。

カスタマージャーニーマップを作ることです。カスタマージャーニーマップは、ターゲットとの接点を明示したうえで、接触シナリオを見える化したものです。「どうやって情報を出すか」は情報の受け手の体験全体を考えて設計する必要があるため、とても便利な手法です。

いまは、CX(カスタマー・エクスペリエンス)の時代。“出すべき情報=本当に求める情報”をどう導き出すべきかを考えて行きましょう。

最適な情報を提供するポイントを描くジャーニーマップ

Webサイトに来た人を満足させられない、いわば「痒いところに手が届かない情報」はどうしてできてしまうのでしょう。たとえばBtoBビジネスでは、一つの案件、一人のお客様に対して、プレーヤーが多いからだと考えられます。個々の部署や担当者がよかれ、と思って提供している情報が、実は重複していたり、不足していたり、ちぐはぐだったりします。自分の部署にとっては最適でも、全体を見るとずれている場合もあります。プレーヤーが多いからこそ、情報の統一が難しいのです。

その状態のまま、個々に手当しているだけでは、せっかくWebサイトに来た人たちに、その人たちが「本当に求める情報」をあげられません。

そうすると、どうなるか。ターゲットは橋を渡りたい。でも、情報が断片的過ぎて、橋がつながっていないから渡れない。そのターゲット一人ひとりに、自社に関わりをもってもらっている間、その時間すべてを網羅して、適切な時に適切な情報を与えられるようにしなければなりません。これを怠ると、CXを考えて情報提供の全体最適をしている会社に、ターゲットはどうしても流れていってしまうでしょう。

では、その全体最適をどう実現するか。第一歩目としてジャーニーマップを描くことをおすすめしています。

ジャーニーマップは、お客様を自社のロイヤルカスタマーにするための道筋を描いた“地図”です。これを描くことによって「お客様はどこから来るのか?」、「お客様をどこに導けばいいのか?」「導くために必要な情報は?」などが明確になります。では、実際にどう書いていくのかを見てみましょう。

ジャーニーマップ

ジャーニーマップの作り方

実はジャーニーマップにもいろいろなフォーマットがあります。これが正解というものはありませんが、今回はその一例をご紹介します。

特に、「つづきはWebで」で来訪したお客様に、どんな情報を出すべきか?を見やすくしたパターンです。

まず、横軸と縦軸に着目してください。横軸にあるのが購買ステータスと呼ばれる、顧客候補の購買意欲です。縦軸はターゲットとの接点。この場合、ターゲットは顧客候補になります。

横軸を書く際のポイントは、情報の受け取り手を明記することです。BtoBでは、顧客体験のステップによって、登場人物が変わる場合もあります。検討初期はIT部門担当者、決裁時にはその上長、契約は購買部門というように、立場の異なる複数のターゲットが相手になるでしょう。企業が対象であれば、すべての登場人物にいい印象を持ってもらうことも非常に重要です。情報の受け取り手=コンテンツのターゲットに関する定義づけを、事前にしっかりしておくべきでしょう。

次に縦軸のポイントです。各ステップにおいて、「自社の情報と接する点、媒体はどこか?」をプロットします。Webサイトの場合なら、どこからお客さんがやってきて、どこへ導くべきかといった要素の可視化につながります。情報接点「タッチポイント」でどんなメッセージを出しているのかを明確にするために必要なので、接点はすべて洗い出しておくことが大切です。

軸を設定したら、お客さんがどう流れるのかを可視化していきます。お客さんが何に共感して、何に興味をもってくれたのかを推察するためです。お客さんの期待、すなわち痒いところ――ここをかいてほしい、という場所――を知り、そこに的確に情報をぶつけることができるようになります。

そしてタッチポイントごとに、提示すべき情報を、内容、デザイン、演出と規定していきます。

これはそのまま、そのタッチポイント(例えばWebサイト)をどう改修すればいいか、という仕様になります。

リアルの接点が思わぬ落とし穴

ここまでジャーニーマップをお話してきましたが、特にデジタルを主体に考えると抜け落ちがちなのが「リアル」の視点です。デジタルでの情報提供を頑張るあまり、「でも、売り上げのほとんどは営業部門が既知のお客さんからとってきている」という商流のメーンルートを忘れてしまったりします。

ですから、先ほどのジャーニーマップで、タッチポイント、自社との情報接点を書き込む際には、デジタルだけではなく、リアルの接点を忘れてはいけません。展示会、紙媒体や、営業チーム、受付窓口の人々なども忘れずに書き込んで欲しいと思います。

あなたの会社の製品が響くターゲットはかならず存在します。しかし、情報の出し方、出すタイミングひとつで、ターゲットへの響きやすさは変わります。情報は、ターゲットが欲しがっているときに、欲しがっているものを出さなくては響きません。欲しがっているタイミングを見分ける第一歩は、ターゲットと情報の接点の整理です。

ターゲットが本当に求めている情報をジャーニーマップから導き、“カスタマー・サクセス“に寄与する情報、すなわちターゲットのメリットにつながる、成功へ導くことを知らせる情報を提供しましょう。

あなたの会社の製品は素晴らしい。その良さをちゃんと伝えるための整理方法、それがジャーニーマップです。

日経BPコンサルティング デジタル本部 コンテンツコミュニケーションラボ・コンサルタント
前島 寛子(まえじま・ひろこ)

大学で社会心理学、メディア論などを学んだのち、2001年、大手外資系ITベンダー入社。マーケティング業務に従事したのち、企業のオウンドメディア活用のための調査、コンサルティング、戦略企画などを担当。特にWebサイトを中心としたデジタルメディア活用、リアル施策との連携を得意分野とする。

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