周年を機に創業者の考えを理論化(5)
アクティオ創業者 小沼理論「マーケティングとは」前編
2017年設立50周年を迎えたアクティオ。同社では周年を機に創業者・小沼光雄氏の知の体系化、見える化を実施し、ビジョンの浸透を社員に促した。当連載ではその「アクティオ50周年史」に掲載された「小沼理論 創造のセオリー」を再録。売り上げ2400万円の機械修理会社から、いまやグループ全体で約3000億円企業へと成長させた源泉を紹介する。
第5回は、マーケティング前編。世の中を読み、事業を開発する。情報を整理し、競合戦略も立てる。マーケティングの成功には、ことさらセンスが必要に見える。果たしてそうか。
業績を倍増させる方程式
創業から50余年にわたって成長を続け、3000億円企業をつくり上げた業績倍増の方程式は、「市況(Z)」という変数を組み込んだところがポイントだ。
これまでの経営実績を振り返り、XとYに実際の当時の数値を代入。そこで得られた数値と現実の数値の違いが、「市況(Z)」の影響になる。こうした過去の実績と経験から今度は未来の「市況(Z)」を仮定することにより、目標業績に到達するための「商品単価(X)」と「販売量・稼働数(Y)」の数値が導き出される。
2013年の排ガス規制直前の約100億円規模の追加機械購入、2016年の東京DLセンター竣工といった強気の投資は、この方程式から導き出された必然的で確信のある経営判断だった。これからは、東京オリンピック開催、グローバル化、IoT時代到来といった変数「Z」をセットしてから「X」と「Y」を当てはめていく。
市況を読み取るための4つのポイント
「商品単価(X)」×「販売量・稼働数(Y)」×「市況(Z)」という方程式で最も重要なのが「市況(Z)」を読み取ることだ。そのために必要な第1のポイントが「“臨床経営”から得られた経験値」だ。
臨床経営とは経営において直面してきた数々の事態への臨機応変な対応を意味する。第2が「現場動向」。常に“現場”を見ていると、その動向が正確につかめる。この2つの要素に第3の「数値化・理論化」、第4の「政治・社会情勢」を掛け合わせることで、「市況(Z)」を分析する。
アクティオ 代表取締役社長(現・代表取締役会長)
小沼 光雄(こぬま・みつお)
株式会社アクティオ代表取締役会長兼CEO。大学卒業後、大手建設会社に入社。技術者として活躍したのち、独立。1台の水中ポンプを顧客に貸し出したことがきっかけとなり、レンタルが秘めるビジネスの可能性に気づき、建設機械レンタルを開始。