【BtoC編】セブン-イレブンが総合力で首位を獲得。コンビニエンスストアの首位は初【BtoB編】トヨタ自動車が4年連続の首位、第2位はセブン-イレブン
―「ブランド・ジャパン2015」を本日リリース―

2015年03月27日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、今年で15回目を迎えるブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン2015」の結果をまとめ、本日(2015年3月27日)、調査報告書を発行・発売する。

ブランド・ジャパン」は、一般消費者、ビジネスパーソンの声に耳を傾けるアンケート調査であるため、今現在、どのようなブランドが高い評価を受けているのかが、ランキング形式で如実に表れる。なお、今回の調査は2014年11月から12月にかけて実施され、回答者数は約5万4千人だった。

調査結果のポイント

◆ セブン-イレブンがBtoC編で首位を獲得し、BtoB編でも第2位。いずれもコンビニ業界における過去最高位

◆ BtoC編第2位のYouTube、第3位の日清食品は、共に初のトップ3入り

◆ BtoC編のトップ10内にハードウエア系ブランドはアップルのみ

◆ BtoC編「総合力」上昇ランキング首位は、「ハリー・ポッター」で勢いに乗るユニバーサル・スタジオ・ジャパン

◆ BtoB編では、トヨタ自動車が4年連続の首位。ランキング上位には「人材力」「先見力」の強い企業が並ぶ

調査結果より

BtoC編:一般消費者が企業ならびに製品・サービスの合計1,000ブランドを評価

◆ セブン-イレブンがBtoC編で首位。コンビニ業界における過去最高位を獲得

BtoC編「総合力」ランキング[表1]の首位は、91.7ポイントを獲得したセブン-イレブン。初めて首位の座に就いた。「総合力」を構成する4つの因子別スコア[図1]をみると、「フレンドリー(親しみ)」で15.4ポイント、「イノベーティブ(革新)」で13.4ポイント、「アウトスタンディング(卓越)」で12.6ポイント、それぞれ上昇し、前回から大きくスコアを伸ばした。また、「コンビニエント(便利)」で、初めて第1位を獲得した。

今回、同社のプライベートブランド「セブンプレミアム」が、「ブランド・ジャパン」に初登場。第144位を獲得した。第149位に入ったイオンの「トップバリュ」を抑え、プライベートブランドの中ではトップとなった。さらに、2013年1月から始まった「セブンカフェ」も好調。2014年度は、前年の年間販売数、約4億5千万杯を9ヵ月で突破した。同社に寄せられた回答者からのコメントを分析した「頻出単語」ランキングでは、第2位に「便利」が、第4位に「近い」が入った。同社が掲げるメッセージ「近くて便利」が、消費者からストレートに評価された結果といえそうだ。

なお、セブン-イレブンは、BtoB編の「総合力」でも第2位[表1]。これまで自身の過去最高位は、前回獲得した第14位だったが、今回、企業の「人材力」と「活力」のスコアがそれぞれ大きく上昇し、総合力順位を押し上げた[図2]。「先見力」でも第4位だった。親会社であるセブン&アイ・ホールディングスは、第9位タイに入った。

◆ BtoC編第2位はYouTube、第3位は日清食品。共に初のトップ3入り

第2位は、動画共有サービスのYouTubeが、自身の過去最高位でランクイン。「最近使っている」のポイントは53.3%で、同項目のランキングで第1位。前回の40.7%から、12.6ポイント上昇させた。「好きなことで、生きていく」というキャッチコピーとともに、誰もが発信者になれることを強く印象づけたテレビCMも奏功したようだ。

続く第3位には日清食品がランクイン。これまで食品業界のブランドでは、自身が持つ第5位(2011)が最高位。今回はそれを更新した。日清食品は2013年に、商品化を決めた後、従来は発売までに3~10ヵ月、長ければ1~2年掛かっていた製品開発プロセスを見直し、3ヵ月で発売できる体制を整えた。次々と世に送り出される新商品が「イノベーティブ」スコアの上昇につながったのではないか。また、こうした中で「カップヌードル トムヤムクンヌードル」などのヒット商品が登場。各地で品切れも起こった。ファンを惹きつける商品を生み出したことで、「フレンドリー」のスコアを高めることにも成功したようだ。

◆ BtoC編のトップ10内にハードウエア系ブランドはアップルのみ

トップ10内にランクインするハードウエア系ブランド(家電、AV・IT機器、自動車など)の数がここ最近減っている。2010(2009年調査)以前は4~6ブランドが登場したが、2011以降は、1~2ブランド程度。そして今回は、第9位タイにアップルがランクインしたのみ。ハードウエア系ブランドの多くが、消費者の興味、関心を、うまく惹きつけられていない現状が浮き彫りになったともいえる。

◆ BtoC編「総合力」上昇ランキング首位は、「ハリー・ポッター」で勢いに乗るユニバーサル・スタジオ・ジャパン

前回から今回にかけて最も「総合力」を高めたのは(表2を参照)「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」。前回から19.0ポイント上昇し、79.5ポイントを獲得。第12位となった。因子別にみても、「イノベーティブ」と「アウトスタンディング」の2因子において、対象ブランドの中でスコアを最も上昇させており、「イノベーティブ」では首位を獲得した。

2014年7月にオープンした新アトラクション「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」は、米国に続き世界で2カ所目。映画「ハリー・ポッター」シリーズの世界を魅力的に忠実に再現し、消費者の注目を集めた。

BtoB編:有職者がビジネス・パーソンの立場から500の企業ブランドを評価

◆ BtoB編では、トヨタ自動車が4年連続の首位。ランキング上位には「人材力」「先見力」の強い企業が並ぶ

BtoB編の第1位はトヨタ自動車。第2位を20.6ポイント引き離して4年連続で首位を堅守した。2009以来6年ぶりに「人材力」でも首位を獲得し、「先見力」でも第2位に入っている。

BtoB編の第2位は前述の通りセブン-イレブン。「先見力」で第4位となり、「人材力」と「活力」での評価も向上した。そして、BtoB編の第3位は全日本空輸。前回の第12位が自身の過去最高位であったが、今回「人材力」の評価が28.3ポイント上昇。トヨタ自動車に次ぐ第2位を獲得したことが「総合力」向上の決め手となった。

企業活動全体のイメージを評価するBtoB編の結果を俯瞰すると、社会の変化に対する適応力ともいえる、「先見力」と「人材力」で先頭を走る企業が「総合力」トップでも名を連ねた。

また今回は、消費税率引き上げ(2014年)後の調査。BtoC編、BtoB編共に、消費マインドや社会の変化にあわせて、いち早く柔軟に対応し、変化・成長した企業が、魅力的なブランドとして消費者に映ったのではないかと考えられる。

(小山田 誠=日経BPコンサルティング コンサルタント)

表1■「ブランド・ジャパン 2015」の「総合力」ランキング 上位50ブランド
表1■「ブランド・ジャパン 2015」の「総合力」ランキング 上位50ブランド クリックで拡大
表2■「ブランド・ジャパン 2015」の「総合力」上昇ランキング 上位10ブランド
表2■「ブランド・ジャパン 2015」の「総合力」上昇ランキング 上位10ブランド クリックで拡大
図1■BtoC編:「セブン-イレブン」4因子スコア(偏差値)
図1■BtoC編:「セブン-イレブン」4因子スコア(偏差値) クリックで拡大
図2■BtoB編:「セブン-イレブン」5因子スコア(偏差値)
図2■BtoB編:「セブン-イレブン」5因子スコア(偏差値) クリックで拡大

ブランド・ジャパン:国内で使用されているブランドを一般消費者とビジネス・パーソンが評価する、日本最大規模のブランド価値評価調査 プロジェクト。2001年に第1回調査を実施し、今回が15回目。一般消費者から回答を求める「BtoC(コンシューマー市場)編」(調査対象1,000ブランド)と、有職者にビジネス・パーソンとしての立場から回答を求める「BtoB(ビジネス市場)編」(同500ブランド)から成る。第2回から調査フレームを固定しているため、過去14年分について同一観点で比較可能である。

BtoC編では企業ブランドと製品・サービスブランド合わせて1,000ブランドを対象に調査した。ブランド価値の「総合力」を算出する際に、 「フレンドリー(親しみ)」、「コンビニエント(便利さ)」、「アウトスタンディング(卓越性)」、「イノベーティブ(革新性)」という4指標を採用した。

BtoB編では500の企業ブランドを対象に調査した。ブランド価値の「総合力」を算出する際に、「先見力」、「人材力」、「信用力」、「親和力」、「活力」の5指標と「その他イメージ」を採用した。

日経BPコンサルティング:日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連の マーケティング・ソリューション提供企業。(平成14年3月1日設立。資本金9,000万円)

調査の構成と概要

  • 調査の方針と構成
    ブランド・ジャパンは、「コンシューマー市場(BtoC)編」と、「ビジネス市場(BtoB)編」の2つの調査で構成されている。また、本調査では、毎年同じフレームを採用することで、過去から継続的にブランドを評価できるようにしている。主要な設問は例年と同じものを用い、さらに総合力を算出する際の基本的な計算方法も、例年と同様の手順で行っている。なお、有意抽出であるインターネット調査の結果を補正するために、傾向スコア重み付け法を施した。
  • コンシューマー市場(BtoC)編
    消費者に対して、消費行動上のブランドのポジショニングを明らかにする設問への回答を求めた。調査対象ブランドは、企業ブランド(企業名・グループ名)と製品・サービスブランド、合計1,000ブランド。
  • ビジネス市場(BtoB)編
    有職者に対して、ビジネスパーソンとしての立場からブランドのポジショニングを明らかにする設問への回答を求めた。調査対象ブランドは企業ブランド(一部、事業含む)のみ500ブランド。

調査概要

  • 調査名称:
    ブランド・ジャパン 2015
  • 調査目的:
    日本の市場で使用されている主要なブランドについて、ブランド力とそれぞれの特徴を明らかにする。このデータを企業のブランドづくりに活用できる形で提供する一方、市場内外のどのような事柄がブランド力に影響を与えているかなどの基礎研究に資する。
  • 調査機関:
    日経BPコンサルティング
  • 調査方法:
    調査方法 クリックで拡大

特別顧問およびブランド・ジャパン企画委員会

正確な集計・分析を行うために、ブランド理論、マーケティング、統計学の第一線で活躍している諸氏によるブランド・ジャパン企画委員会を設置。公正で高度な調査結果を目指し、調査手法や分析について随時委員会を招集し協議を重ねてきた。

ブランド・ジャパン特別顧問
  • プロフェット社副会長 デービッド・A・アーカー氏
    ブランド論の第一人者として知られ、『ブランド・エクイティ戦略』(1994年)、『ブランド・リーダーシップ』(2000年)、『ブランド・ポートフォリオ戦略』(2005年、以上ダイヤモンド社)、『カテゴリー・イノベーション』(2011年、日本経済新聞出版社)、などの著書や論文を多数送り出している。2014年には、その集大成ともいえる『ブランド論』(ダイヤモンド社)を上梓した。ブランド・ジャパンには、第1回から特別顧問として参加。
ブランド・ジャパン企画委員会
  • 企画委員長 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授 阿久津聡氏
    カリフォルニア大学バークレー校にて博士号(Ph.D.)を取得。専門はマーケティング、消費者行動論、ブランド論、文化心理学、実験経済学。著作に『ブランド戦略シナリオ―コンテクスト・ブランディング』(ダイヤモンド社:共著)、『ソーシャルエコノミー』(翔泳社:共著)、『ブランド論』(ダイヤモンド社:訳書)、『ドラゴンフライエフェクトソーシャルメディアで世界を変える』(翔泳社:監訳)などがある。
  • 企画委員 早稲田大学 文学学術院教授 豊田秀樹氏
    心理統計学、教育測定学、マーケティング・サイエンス、統計学のエキスパートとして2002年版より結果分析を担当。著書に『SASによる共分散構造分析』(東京大学出版会)、『購買心理を読み解く統計学』(東京図書)などがある。
  • 企画委員 慶應義塾大学 総合政策学部教授 桑原武夫氏
    コロンビア大学ビジネススクール客員研究員を務める。ポストモダンマーケティングの旗手、モリス・B・ホルブルック教授と共同研究を行う。著書に『ポストモダン手法による消費者心理の解読』(日本経済新聞社:共著)などがある。
  • 企画委員 法政大学 経営学部教授 西川英彦氏
    神戸大学大学院博士号(商学)。ユーザー・イノベーションや、インターネット・マーケティングをテーマに研究。最近の著書に『ネット・リテラシー:ソーシャルメディア利用の規定因』(白桃書房:共著)、『1からの商品企画』(碩学舎:編著)などがある。

このリリースに関するお問い合わせ

株式会社日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部 小山田 誠

Tel.03-6811-8308 Fax.03-5421-9176

〒108-8646 東京都港区白金1-17-3 NBFプラチナタワー

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