日経BPコンサルティング調べ
「大学スマホ・サイト ユーザビリティ調査2024-2025」 10月25日発行・発売

東京工芸大学が調査初の100点満点、スマホ・サイトのユーザビリティ調査で
— 千葉大学は一気に208ランクアップ、シンプル・デザインへの変更が奏功 —

2024年10月25日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、大学のスマートフォン・サイト(以下、スマホ・サイト)を使いやすさの観点から評価する「大学スマホ・サイト ユーザビリティ調査 2024-2025」の結果をまとめた。総合ランキング1位は100点満点のスコアを獲得した東京工芸大学。今回が10回目となる本調査において同大学のサイトが今回初めて100点満点を出した。2位は北海学園大学、3位は工学院大学となり、トップ3は前回に引き続き同じ大学が占めた。新たにトップ20入りした大学は大阪電気通信大学(19位)と城西国際大学(20位)の2校。順位の上昇幅が最も大きかったのは千葉大学で、見やすく情報にアクセスしやすいシンプルなデザインにリニューアルし、前回の243位から35位へ評価を上げた。

ポイント

  • ■総合ランキング1位は東京工芸大学。調査始まって以来初となる100満点で。

  • ■新たにトップ20入りしたのは大阪電気通信大学と城西国際大学。

  • ■千葉大学は243位から35位へ。リニューアルが奏功し、今回最も大きい208ランクの上昇。

調査結果データ

東京工芸大学、最後の難関項目「トップページの表示速度」をクリア

本調査には審査項目が47項目あるが、前回の調査で東京工芸大学は46項目に合格していた。合格でなかったのは「トップページの表示速度」の1項目のみ。実はこの項目の改善は大学サイトにとって難しく、最近は合格する大学が極めて少なくなっていた(※)。トップページには複雑なレイアウトに多くの要素を詰め込む傾向が強く、加えて複数のアピール要素も盛り込みがち。動画や大きな写真を配置することになり、結果、表示されるまでの待ち時間が長くなってしまう。東京工芸大学は同審査項目改善に取り組み、動画の掲載を止めることなく合格を勝ち取った。

※ この項目の合格校は2020年と2021年が1校、2022年と2023年は0校だった

多彩になったチャットボットの掲載場所

この3年ほどの間にチャットボット(※※)を導入する大学が増えている。前回、導入を確認できた大学は約10校だったものの、今回の調査では新たに10校以上の採用が確認できた。 チャットボット導入の目的には、問い合わせに対応する職員の負担軽減のほかに、在学生や受験生など問いを発する人たちとのコミュニケーションを増やし疑問や要望を吸い上げたいという大学側の狙いがある。このため、チャットボットのボタンの掲載場所を見ると、その大学が意識している対象者が分かり興味深い。前回まではトップページや「在学生の方へ」ページに置く例が目立った。今回は入試情報サイト(獨協大学、立正大学、立命館大学)やいくつかの学部ページ(明治大学)に置く例が確認できた。明治大学の場合、ほとんどの学部は在学生向けだが、商学部は卒業生も対象にしている。 ユーザビリティを評価するうえでコミュニケーション支援は外せない要素である。現調査では「お問い合わせ」リンクの有無などを審査項目にしているものの、将来はチャットボットの有無や対応レベルの評価が重要視されるかもしれない。

※※ テキストや音声を使って人間の代わりに対話を行う自動応答システム

審査基準について

スマホは画面が小さいため文字が見にくい、あるいは操作がしにくいといったユーザビリティ上の問題が出やすい。米Appleや米Googleはスマホ・アプリ開発者向けにガイドラインを出している。スマホ・サイトを作る場合もこれらガイドラインに準じて作成されることが多い。ただし、スマホは機種が多く、すべてのスマホに該当する評価基準は提案しにくい。ましてや同じ評価基準で複数のサイトを評価する調査は極めて少なかった。日経BPコンサルティングでは、日本で普及している機種グループである4.7インチ画面のiPhoneを対象機種と定め(※※※)、これまでの大学サイト診断のノウハウを盛り込んだ独自の審査基準を作成した。8つの審査カテゴリー(指標)から成る。米Appleや米Googleのガイドラインを参考にした。詳しくは「総合スコアの算出方法」を参照。

※※※ iOS17を搭載したiPhone 8、およびSE(第2~3世代)が該当機種

参考資料

《総合ランキング》
●総合ランキング、上位20 (2024年)

順位 大学名 総合スコア 前回の順位
1 東京工芸大学 100.00 1位
2 北海学園大学 97.33 2位
3 工学院大学 93.33 3位
4 名古屋市立大学 92.44 5位
5 明治学院大学 86.22 13位
6 東京工科大学 84.56 4位
7 東京都市大学 84.22 12位
8 西日本工業大学 83.33 8位
9 駒沢女子大学 83.11 10位
10 大妻女子大学 82.89 8位
11 青山学院大学 81.56 7位
12 北海道科学大学 81.22 6位
13 帝京大学 80.22 15位
13 崇城大学 80.22 14位
15 神戸学院大学 80.00 20位
16 静岡県立大学 78.78 16位
17 日本女子大学 75.67 18位
18 福岡教育大学 75.33 19位
19 大阪電気通信大学 74.89 47位
20 城西国際大学 74.22 30位

《順位の上昇幅ランキング》
●順位の上昇幅ランキング、上位21 (100位以内に入ったサイト限定、2024年)

上昇幅
ランキング
大学名 今回の
順位
前回の
順位
1 千葉大学 35位 243位
2 広島工業大学 47位 200位
3 武蔵野大学 28位 115位
4 京都外国語大学 89位 149位
5 成蹊大学 62位 121位
6 関西大学 87位 145位
7 県立広島大学 60位 111位
8 同志社女子大学 55位 97位
9 明星大学 66位 103位
10 都留文科大学 74位 107位
11 金沢学院大学 94位 123位
12 大阪電気通信大学 19位 47位
12 札幌大学 89位 117位
14 大阪教育大学 49位 76位
14 九州工業大学 58位 85位
16 東北福祉大学 41位 64位
16 明海大学 94位 117位
18 昭和女子大学 36位 58位
18 神田外語大学 39位 61位
18 大阪産業大学 76位 98位
18 室蘭工業大学 79位 101位
  • ■総合スコアの算出方法:

    以下に示す8つの審査カテゴリー(指標)の下、合計で47の審査項目を用意した。

    1.通信への配慮:表示は速いか、通信量は多くないか確認するカテゴリー
    2.見やすさ : 文字の大きさ、表や画像の見やすさなどを評価するカテゴリー
    3.操作のしやすさ : タップ領域やスクロールのしやすさを評価するカテゴリー
    4.トップページ・ユーザビリティ : トップページのナビゲーション機能を評価するカテゴリー
    5.サイト・ユーザビリティ : サイト内を巡るときのサポート機能を評価するカテゴリー
    6.メインコンテンツへのアクセス : 主要コンテンツの有無とアクセスのしやすさを評価するカテゴリー
    7.サイト内検索 : 検索の精度を評価するカテゴリー
    8.インタラクティブ : 交通アクセスや問い合わせ案内を評価するカテゴリー

    審査項目ごとに、クリアすれば「1」点、そうでなければ「0」点と採点。総合スコアは、これら審査項目の点数に重み付けをして、合計100点満点でスコア化した。

  • ■調査対象サイト:
    調査対象はスマホ・サイトを提供している国立大学、公立大学、私立大学のうち、学部学生数の多い大学(国公立大学で2,000人以上、私立大学で3,000人以上)。これに一部大学を含め、トータルで265サイトとした。内訳は国立大学64校、公立大学18校、私立大学183校。医科大学や薬科大学などの単科大学は除いた。
    (調査実施期間:2024年6月上旬~9月上旬)
    →(報告書の内容) https://consult.nikkeibp.co.jp/branding/solutions/univ-sp-site-ux/
  • ■日経BPコンサルティング:
    日経BP全額出資子会社。「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(本社:東京、設立:2002年3月1日。資本金:9,000万円)

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