コロナ禍の影響が見える2022年2023年のICT投資
「クラウドサービス」など基盤となる技術へのICT投資が引き続き拡大
「人工知能(AI)」への事業活用に5割の企業が関心 過半数の企業が活用意向を示す
日経BPコンサルティング調べ 「DX時代のモバイル“法人利用”実態調査2022」

2022年9月9日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)はこのほど、「DX時代のモバイル “法人利用”実態調査2022」の結果をまとめた(2022年9月9日報告書発行)。モバイルの法人における利用実態と利用意向を探る本調査は、2005年に開始してから今回で15回目である。

2023年のモバイル・ソリューションへの投資に関する重点投資分野の1位は「クラウドサービス」、次いで「情報セキュリティ」という結果になった(図1)。「クラウドサービス」として、今後注目/期待されるサービスは「メール、グループウェアなどのアプリケーションサービス」、次いで、「在宅勤務などを実現するリモートワーク/テレワークサービス」となった。最も注目/期待されるサービスとしては、「メール、グループウェアなどのアプリケーションサービス」に次いで、「人工知能(AI)の活用」が高く、今後、企業のクラウドサービスへの投資として、AI活用の期待が高まる(図2)。

また、コロナ禍で最も導入されたモバイルを活用した業務ソリューションは「オンライン・コミュニケーション」で、今回の回答企業の6割を超える企業が導入をした。

今回、ICT分野で注目の「IoT」、「ロボット/ドローン」、「人工知能(AI)」、「VR/AR/MR」、「5G」の事業への活用の関心度、また活用状況や各関心/活用における具体的な項目についても調査した。調査の結果、それぞれに対する事業活用への企業の関心度は、「IoT」が49.5%、「ロボット/ドローン」が32.5%、「人工知能(AI)」が53.2%、「VR/AR/MR」が25.1%、「5G」が31.7%という結果で、関心度が大きく高まってきた(図3)。

2022年、2023年とICT投資の中心は「クラウドサービス」、「情報セキュリティ」
ICT投資は多くの項目が縮小傾向
新規技術よりも基盤となる技術へのICT投資が引き続き拡大

2022年~2023年のモバイル・ソリューションへの投資として、「クラウドサービス」への投資が最も高い。次いで「情報セキュリティ」への投資となっている。2022年の投資の注力度(指数)は対2021年で24項目中9項目が拡大し、2023年の注力度は対2022年についても9項目が拡大(図1)。コロナ禍の影響から、テレワークなどを行うための業務のアプリケーションを活用するための基盤となる前述のクラウドサービス、セキュリティの他、デバイス(スマートフォン、タブレット、データ端末)、NW環境(無線LAN、5G等の高速データ通信)、「モバイルの業務アプリケーション連携」といったICT環境を整える投資が引き続いて行われている傾向にある。

一方、ICTの応用/発展的な「人工知能(AI)活用」、「ロボット/ドローン活用」、「IoT/M2Mソリューション」、「ビッグデータ活用」、「VR/AR活用」といったDXにおいて注目される新規領域への投資は進んでいない傾向にある。

モバイルを活用したクラウドサービスとして過半数の企業が「メール、グループウェアなどのアプリケーションサービス」に注目
「リモートワーク/テレワークサービス」には4割が選択

ICT投資の中心となっているモバイルを活用したクラウドサービスとしては、「メールやグループウェアなどのアプリケーションサービス」が今後注目/期待するサービスとして最も選択されており、52.4%と過半数の回答を得ている。次いで、「在宅勤務などを実現するリモートワーク/テレワークサービス」が引き続き注目されており、40.0%が今後注目/期待するサービスとして選択している。その他、今後注目/期待するサービスとして3割以上の回答を得たものには、「BCP対策としてのサーバやストレージ」、「人工知能(AI)の活用」、「社内サーバとしてのサーバやストレージ」、「保守・監視サービス」、「SFAなどの企業システム」がある(図2)。

「最も注目/期待するもの」としても、「メールやグループウェアなどのアプリケーションサービス」が最も高く、20.4%が選択している。次いで、「人工知能(AI)の活用」が、12.1%の選択率でとなっている。新規技術分野では、AIに対する注目/期待が高くなっており、現時点の投資としては低いものの、将来的な投資の拡大が期待できる。

コロナ禍で回答企業の6割がオンライン・コミュニケーションを導入
最も利用されているのは「グループウェアアプリ」で7割超の企業が利用

コロナ禍で最も導入されたモバイルを活用した業務ソリューションは「オンライン・コミュニケーション」で、今回の回答企業の6割を超える企業が導入をしている。そのオンライン・コミュニケーションの種類で、最も利用されているのはGoogle Workspace, Microsoft Teams, Garoonなどの業務アプリケーションとしてのニーズの高い「グループウェア」で、回答企業の74.0%が利用している。次いで、「Web会議に特化したシステムでの通話」、「会社支給のモバイル端末による音声通話」で6割を超える。

IoT、人工知能(AI)に対して活用中から活用意向のある企業を含めると過半数を占める
関心度は、「5G」は減少、「VR/AR/MR」は微増
活用/活用に向けた検討中はいずれも拡大

注目される新規領域の技術として、関心度、活用/活用意向が最も高いものは、人工知能(AI)で、関心がある企業は53.2%。また活用中の企業は14.5%であり、「将来に向け検討する方向」までを含めた活用/活用意向企業は64.2%であった。次いで、IoTで、関心がある企業は49.5%。また活用中の企業は18.5%で「将来に向け検討する方向」までを含めると60.3%の企業が選択している(図3)。人工知能(AI)、IoTに対して、回答企業の過半数が将来的に投資し、活用していくと想定される。

5Gに対しては、関心がある企業は31.7%。現状で活用中の企業は5.6%と少ないものの、「将来に向け検討する方向」までを含めた活用/活用意向企業は52.5%と半数を超えており注目度は高い。

前回の2020年の調査と比較すると、関心度に関して、最も拡大したのはVR/AR/MRで、2.9ポイント拡大の25.1%となった。一方、「5G」に対する関心度は、8.3ポイント減少と減少している。活用中の企業は全項目で拡大。AIは4.3ポイント、5Gは3.8ポイント、IoTは3.7ポイントの拡大となっている。AI、IoT、5Gは、将来に向けての検討まで含めると、過半数を占める。

■「DX時代のモバイル“法人利用”実態調査2022」について
  • 調査概要:

    「DX時代のモバイル“法人利用”実態調査2022」は、今回が15回目。携帯電話/スマートフォンなどのモバイルの法人利用の実態と、今後3年間の企業の導入計画、さらに経年での比較も含めた法人利用・ニーズの変化を分析した。またICTで注目されているIoT、ロボット/ドローン、人工知能(AI)、VR/AR/MR、5Gに関する活用についても調査。

  • 調査手法:

    企業への郵送調査(調査票を郵送し、インターネットで回答)

  • 調査対象:

    全上場企業約3,500社と非上場の優良企業約1,500社の合計5000社の情報システム部門、総務部門など(携帯電話、社内システム等に携わっている方)

  • 有効回答数:

    622社(回収率:12.4%)

  • 調査期間:

    2022年6月20日~7月26日

  • 調査報告書:

    2022年9月9日発行
    報告書と、業種や売上規模、従業員数別の全集計結果を収録したCD-ROM付き。価格は33万円(税込)。ローデータ版も提供している。詳しくは、下記サイトへ。
    https://consult.nikkeibp.co.jp/research-advisory/research/keitai_hojin/

図1 モバイル・ソリューションに関する投資の注力度
図1 モバイル・ソリューションに関する投資の注力度クリックで拡大

<注力度(指数)>

■ 投資の注力度の回答に重み付け(「拡大」3ポイント、「横ばい」1ポイント、「縮小」マイナス3ポイント)した合計値を有効回答数(無回答を除外)で除した値。注力度指数が1の場合、前年との投資が同じということを示す。1より大きい場合、投資拡大傾向、1より小さい場合、投資縮小傾向となる。ピンクとブルーのセルにある項目は、前年よりも投資が拡大。特にピンクのセルは2年続けて前年より投資が拡大。また赤い斜線より上に位置する場合、前年よりも投資幅が拡大していることを示す。

図2 注目するモバイルを活用したクラウドサービス(上位10項目)
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図3 各注目技術に対する事業への関心度/取り組みの変化
図3 各注目技術に対する事業への関心度/取り組みの変化

日経BPコンサルティング:日経BP全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9000万円)

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