データ連携ツールが必要な企業は7割に上昇
導入率は過去最高で4社に1社が導入済み
日経BPコンサルティング調べ 「データ連携に関するアンケート調査」
2020年9月2日
株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、「データ連携に関するアンケート調査」の結果をまとめた。本調査は、2014年から毎年実施しており第7回目。今回、データ連携ツールの導入率は24.9%で過去最高となり、4社に1社が導入済みという結果だった。
新規事業創出、社内業務の高効率化のために、デジタル技術で企業変革を促すDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する動きが加速している。このDXを実施していく際には、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)、AI(人工知能)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)といったデジタル技術の活用が欠かせなくなってきている。こうしたデジタル技術の利活用が進展するに伴い、企業内に分散しているデータやプロセスを相互に連携させて分析・活用したいというニーズが徐々に高まってきており、EAI(Enterprise Application Integration)をはじめとしたデータ連携ツールに注目が集まっている。
そこで今回も従来と同様に、企業内の複数のデータやプロセスを統合させる製品の利用実態や導入計画とその選定のポイント、および期待度、満足度などについて、企業・団体の情報システム部門の構築・運用に携わる方々を対象にして調査した。
72%が“データ連携ツールは必要”と回答
EAIとは、企業内の複数のシステムを連携させ、データやプロセスを統合させること、あるいは、そのためのミドルウエアの総称である。データベースや個別の業務アプリケーションがそれぞれ採用しているデータ形式を変換して、相互に受け渡しが行えるようにする役割を持つ。
特に、様々な形式の異なるデータを連携させて処理する際に、連携ソフトを手作りでゼロから開発するのに比べて、データ連携ツールを活用することで時間とコストを圧縮できるため、データ連携ツールに対するニーズが高まっている。“DXを裏で支えるプラットフォーム”としてデータ連携ツールが不可欠になってきている。
実際、データ連携ツールの必要性が近年ますます高まっていることが調査から読み取れる。データ連携ツールを「必要だと思う」が2018年の33.8%から2019年は37.0%、2020年は38.4%と増加し、「やや必要だと思う」を加えると2020年は72.0%となり7割に達した(図1)。
導入済みは24.9%、導入検討中を含めると44.5%でいずれも過去最高に
今回の調査では、データ連携ツールの導入率は24.9%(前回22.3%)だった(図2)。4社に1社が導入済みという結果である。過去6回実施した調査では、「導入済み」は16.5%(2014年)、20.4%(2015年)、21.3%(2016年)と3年連続で増加し、2017年は19.8%で1.5ポイント減となったが、2018年は22.7%、2019年は22.3%となり22%台で推移した。2020年は前回より2ポイント以上増加し、過去最高となった。
なお、「1年以内の導入を検討中」「3年以内の導入を検討中」「時期は未定だが導入を検討中」を合わせた導入検討中は19.6%だった。導入済みと導入検討中を合わせた「導入済み/導入検討中」は合計で44.5%となり、こちらも過去最高を記録した。データ連携ツールを導入する企業は確実に増えている。
1000人以上では約4割が導入済みで検討中まで含めると過半数
企業規模別で見ると、企業規模が大きいほどデータ連携ツールの導入が進んでいる(図3)。この傾向は過去6回の調査と同様である。
従業員数1000人以上の大企業では、導入済みが37.7%(前回34.8%)で、導入検討中までを含めると55.4% (前回47.3%)で過半数だった。大企業ほどデータが分散し、かつ、ビッグデータ、IoT、AI、RPAの進展に伴いデータ形式の種類とデータ量が増えていると推測されるため、データ連携ツールが従来以上に求められているとみてよいだろう。この傾向は従来以上に顕著である。
一方、300人以上1000人未満の中堅企業の導入済みは26.5%(前回19.3%)で、300人未満の中小企業の導入済みは8.2%(前回10.4%)だった。中堅企業での導入も進展している。
製造業で導入が一層進展、公共系は依然として導入進まず
業種別に見ると、製造業の導入が最も進んでいる(図4)。導入済みは、製造業のうちの原材料系が38.6%(前回28.8%)で最も高く、電気・機械系が31.3%(前回28.8%)と高かった。次いで、サービス業・その他23.4%(前回21.1%)、流通業23.1%(前回18.0%)、建設・土木20.0%(前回16.1%)、金融・保険・不動産が20.0%(前回14.3%)となっている。
導入済み/導入検討中で見た場合でも、製造業のうちの原材料系が65.8%(前回50.8%)で最も高い。製造業での導入が進んでいるという傾向は昨年までと変わらない。むしろ、導入率がますます高まっている。
導入率が最も低いのは昨年と同様に公共系(官公庁・自治体・教育機関・病院等)で、導入済みが3.0%(前回10.8%)に留まる。導入済み/導入検討中で見ても24.2%と全業種で最も低い比率となっており、導入しないとの回答が51.5%で半数に上る。公共系でのデジタル化の遅れと関係している可能性がある。
重視するのは「接続先が多様(アダプタの種類の多さ)」「安定的に稼働すること」
導入済み企業、導入検討中企業に対して、製品を選定する際の重視項目についても尋ねた。選択肢として、「総合的な満足度」のほか、12の具体的な項目を提示して複数選択してもらった(図5)。
その結果、導入済み企業が最も重視したのは「接続先が多様(アダプタの種類の多さ)」で46.0%(前回42.9%)だった。次いで、「安定的に稼働すること」が38.1%(前回38.3%)で、2番目までの順位は前回と同じ。3番目は「導入が容易(開発スキルや労力のハードルが低い、Webブラウザでも開発できるなど)」が31.9%で、前回の5番目から上昇した。前回3番目の「GUIが分かり易い、使用感が良い」は30.1%で4番目だった。
一方、導入検討中企業が重視するのは「安定的に稼働すること」で59.6%(前回57.0%)で他の項目よりも圧倒的に高い比率で、最重視項目は前回と同じ結果だった。検討中企業が次に重視するのは、「GUIが分かり易い、使用感が良い」と「データ加工が容易」で、いずれも47.2%だった。
「DataSpider Servista」が7年連続で総合満足度1位に
今回も、主要なデータ連携ツール(製品)について、導入前の期待度、導入後の満足度についても尋ねた。重視項目で取り上げた「総合的な満足度」と12の具体的な項目の計13項目ついて、各ツールの「導入済み」企業を対象にして、5段階で評価してもらい、100点満点でスコア化した。
その結果、総合満足度は7年連続でセゾン情報システムズの「DataSpider Servista」が最も高かった(誤差の関係で、有効としたのは導入数25件以上の製品)。また、データ連携ツールの導入済み企業のうち同製品を導入していると回答したのは24.8%で、全製品の中で最も高い比率だった。
- 調査概要
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- 調査名:
データ連携に関するアンケート調査
- 調査対象:
大企業、中堅・中小企業、および公共系組織(官公庁・自治体・教育機関・病院等)で、社内(または所属組織)向けの情報システムの構築・運用に携わる方々(IT関連製品の選定・導入に関わる方々が中心)
- 有効回答数:
453件
- 調査実施期間:
2020年7月15日~8月3日
- 調査方法:
インターネット調査
- 関連リンク:
前回の結果(2019年9月2日 ニュースリリース)
https://consult.nikkeibp.co.jp/info/news/2019/0902df/ - 調査企画・実施:
日経BPコンサルティング
- 調査名:
日経BPコンサルティング:日経BP全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9000万円)
このリリースに関するお問い合わせ
株式会社 日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部
担当:池田 梨子
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