―「ブランド・アジア2017」―
アジアでのブランド力評価、Googleが首位
デジタル・モバイルブランドが上位をキープ
2017年07月07日
株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、アジア10地域をカバーした、ブランド価値評価調査プロジェクト「ブランド・アジア 2017」(*)の結果をまとめた。日本では2017年6月30日に調査結果報告書を発行・発売した。
この調査は、個々のブランドが持つ好感度、役立ち度、品質感などのイメージを測定し、地域差の有無やイメージ傾向などを把握するもの。主要なブランドのブランド力をアジア10地域にて、横断的に算出し、評価した。
グローバルブランドランキングのトップは、3年連続でGoogle
今回もアジア全域で、デジタル・モバイル系のブランドの勢いが衰えなかった。アジア10地域にて、調査対象とした80のグローバルブランドのブランドスコア平均の上位は、Google、Apple、SAMSUNGなどが並んでおり、前回と同様の傾向である(表1)。また、YouTubeやFacebookなどのSNSやコミュニケーションツールのスコアも高く、消費市場のデジタル化がアジアでも急速に進んでおり、それらのブランドに対する消費者からの評価も高いことが分かった。また、東アジアにおいては、中国でBaidu.com、Alipay、Tencent、韓国でNAVER、DaumKakao、SUMSUNG、LGなどのデジタル系ブランドが上位を占めた。
HUAWEI、Aqua、Jollibee、NAVERといったローカルの巨大企業が首位を獲得
表2は、地域別ブランド力ランキングトップ10である。地域のローカルブランドで首位となったのは、中国の通信機器メーカーHUAWEI、インドネシアのウォーターブランドAqua、フィリピンのレストランチェーンJollibee、そして韓国のインターネット検索サービスNAVERの4ブランド。これらは、その地域でしかノミネートが無いものの、グローバル企業を押しのけ、その地域で確固たる存在感を示している。本調査では、ブランド力を「フレンドリー」「コンビニエント」「アウトスタンディング」「イノベーティブ」の4つの要素で規定するが、認知率はどれもほぼ100%で、親しみ度合いを示す「フレンドリー」が高い他、ブランドの革新性を示す指標「イノベーティブ」も高いスコアを誇った。
日系のブランドではSONYがトップに
ブランド総合力平均ランキングの中で、トップ10にランクインした日系の企業は、SONYのみであった。それ以降上から、TOYOTA、HONDA、7-ELEVEnの順となった。この4ブランドはどれも卓越性や差別性を表す、「アウトスタンディング」が一番高いスコアを獲得した。
この度、アジア開発銀行(ADB)は、2017年のアジア各国のGDP伸び率が、5.7%になる見通しだと発表した。企業の投資意欲が高まりつつあるインドの後押しもあり、総じて成長が進む。その中で、消費者とのコミュニケーションのデジタル化はさらに拡大するだろう。今回の結果は、デジタルブランドそのものの評価が高かったが、今後、WebやSNSといったデジタルツールを使いこなす一般企業の評価の高まりに期待したい。
■「ブランド・アジア 2017」について
中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、韓国、台湾、タイ、ベトナムのアジア10地域において、一般消費者を対象とする定量アンケート調査を実施した。各地域で調査対象となるブランドは、全地域共通で調査する80のグローバル・ブランドと、地域固有のブランドを中心に各地域独自で選定した40のローカル・ブランド、併せて120ブランド(インドは200ブランド)である。ブランド・イメージに関する設問の他、CSRイメージ、「購入したい」「他者に勧めたい」など、ブランドに対するロイヤルティ(忠誠度)関連の5設問、接触経路などを尋ねている。2017年2月~2017年3月に実施。
日経BPコンサルティング:日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9,000万円)
今回(2017) | |||
---|---|---|---|
順位 | ブランド名 | ブランド総合力平均 (ポイント) |
|
1 | 72.6 | ||
2 | YouTube | 68.2 | |
3 | Apple | 66.0 | |
4 | SAMSUNG | 64.2 | |
5 | 63.4 | ||
6 | Nike | 62.3 | |
7 | adidas | 61.9 | |
8 | SONY | 61.6 | |
9 | Microsoft | 59.8 | |
10 | Coca-Cola | 59.6 |
前回(2016) | |||
---|---|---|---|
順位 | ブランド名 | ブランド総合力平均 (ポイント) |
|
1 | 74.6 | ||
2 | Apple | 71.3 | |
3 | SAMSUNG | 65.1 | |
4 | Nike | 64.6 | |
5 | YouTube | 64.3 | |
6 | adidas | 64.2 | |
7 | 62.6 | ||
8 | SONY | 62.3 | |
9 | Microsoft | 62.0 | |
10 | Mercedes-Benz | 58.5 |
- 中国
CHINA - インド
INDIA - インドネシア
INDONESIA - 日本
JAPAN - マレーシア
MALAYSIA - フィリピン
Philippines - 韓国
SOUTH KOREA - 台湾
TAIWAN - タイ
THAILAND - ベトナム
VIETNAM
-
順位
Rankブランド名
Brandブランド総合力
OVERALL BRAND STRENGTH中国/CHINA 1 HUAWEI 79.5 2 Alipay 77.0 3 Haier 71.6 4 Microsoft 70.9 5 Baidu.com 68.3 6 Tencent 68.1 7 Nike 66.5 8 L'ORÉAL 65.5 9 Google 64.7 10 PHILIPS 64.5
調査概要
調査名称
調査目的
- アジア10地域(中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、韓国、台湾、タイ、ベトナム)における主要グローバル・ブランド80のブランド力を調査・測定。個々のブランドが持つ好感、役立ち度、品質感などのイメージや顧客ロイヤルティについて、地域差の有無やブランド力の傾向などを把握する。
- ベンチマークとして、地域固有のブランドを中心に各地域独自で選定した40のローカル・ブランド(インドは120ブランド。ローカル・ブランドにはグローバル展開するブランドも含まれる)も、該当地域において、調査対象とした。
- 本結果を、各企業のブランディング施策に活用できる形で提供する一方、市場内外におけるどのような事柄がブランド力に影響を与えているかなどの基礎研究に資する。
調査の方針と構成
ブランド・アジアでは、17年目を迎えた日本最大規模のブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン」の評価・分析手法を採用した。ブランド総合力の算出にあたって基礎データとなる調査項目の設定や、総合力算出のための共分散構造分析の実施などが共通しており、これまで弊社が蓄積してきたブランド力算出のノウハウを活用している。ブランド・アジアは、アジア10地域の消費者を対象にしたブランド価値評価調査であり、アジアの「生の声」を採取している。
評価・分析にあたって
ブランド総合力の算出にあたって、豊田秀樹氏(早稲田大学 文学学術院教授)のお力をお借りしている。
早稲田大学 文学学術院教授
豊田秀樹氏
心理統計学、教育測定学、マーケティング・サイエンス、統計学のエキスパートとして「ブランド・ジャパン 2002」から結果分析を担当。「ブランド・アジア」プロジェクトでも、初回調査の「ブランド・アジア 2012」から結果分析を担当する。著書に『SASによる共分散構造分析』(東京大学出版会)、『購買心理を読み解く統計学』(東京図書)などがある。
調査対象ブランドについて
- 各地域において、合計120ブランドを調査対象とした。(インドは200ブランド)
- 共通する80ブランドの業種は、下記の11カテゴリーに限定している。
1 食品・飲料、2 日用品、3 衣料・ファッションアイテム、4 自動車、5 IT・家電、
6 インターネット関連、7 金融、8 飲食店、9 スポーツ関連用品、10 小売、 11 運輸・物流
ローカル・ブランドでは、上記の業種以外に、「情報通信」「メディア・エンタテインメント」「その他」の分類がある
7-ELEVEn | EPSON | LG | PHILIPS |
Acer | LION / Southern Lion | Redbull | |
adidas | FamilyMart | L’ORÉAL | RENAULT / Renault Samsung |
AEON | GAP | Louis Vuitton | SAMSUNG |
Air Asia | MAZDA | SHISEIDO | |
AJINOMOTO | H&M | McDonald’s | SONY |
Amazon | Haier | meiji | STARBUCKS COFFEE |
Apple | HITACHI | Mercedes-Benz | SUZUKI / Maruti Suzuki |
ASUS | HONDA | Microsoft | TOSHIBA |
AVON | hp | MITSUBISHI ELECTRIC | TOYOTA |
BMW | HUAWEI | Mizuno | |
BOSCH | HYUNDAI / HYUNDAI KIA | MUJI | unicharm |
Canon | IKEA | Nestlé | Unilever |
CASIO | Johnson&Johnson | Nike | UNIQLO |
Coca-Cola | kao | Nikon | Volkswagen |
Colgate | Kellogg’s | NISSAN | Xerox / Fuji Xerox |
DANONE | KFC | Nissin (Cup noodles) | YAHOO! |
DELL | KIKKOMAN | Nivea | YAMAHA MOTOR |
Domino’s Pizza | Kleenex / Kimberly-Clark | P&G | YouTube |
Electrolux | Lenovo | Panasonic | ZARA |
調査手法、回収数など
地域名 | 調査実施都市 | 調査手法 | 回収数 |
---|---|---|---|
中国 | 北京,上海 | ネット調査 | 1,200 |
インド | デリー,ムンバイ,チェンナイ,コルカタ,ルディヤーナー, ナグプール,バンガロール,パートナ,カーンプル, アーメダバード,ハイデラバード,グワーハーティー |
3,219 | |
インドネシア | ジャカルタ | 電話調査 | 1,200 |
日本 | 東京,大阪,名古屋 | ネット調査 | 2,120 |
マレーシア | クアラルンプール,ペナン,ジョホール | 725 | |
フィリピン | マニラ | 735 | |
韓国 | ソウル | 803 | |
台湾 | 台北,台中,高雄 | 1,200 | |
タイ | バンコク | 751 | |
ベトナム | ハノイ,ホーチミン | 773 |
このリリースに関するお問い合わせ
株式会社 日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部
担当:吉田 健一
Tel.03-6811-8308 Fax.03-5421-9176
〒108-8646 東京都港区白金1-17-3 NBFプラチナタワー