アジアで伸びるSNS関連ブランド、ただし3強(Google・Apple・SAMSUNG)の地位は揺るがず
―「ブランド・アジア2016」の結果を本日リリース ―
2016年04月21日
株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、アジア12地域をカバーした、ブランド価値評価調査プロジェクト「ブランド・アジア 2016」(*)の結果をまとめた。日本では2016年4月21日に調査結果報告書を発行・発売する。
この調査は、アジア12地域にて、個々のブランドが持つ好感度、役立ち度、品質感などのイメージを測定し、地域差の有無やイメージ傾向などを把握するもの。主要なブランドの総合力を横断的に算出し、評価した。
3強(Google・Apple・SAMSUNG)の地位は揺るがず。
グローバル・ブランド80のブランド総合力平均ランキングの結果を表1にまとめた。前回同様、スマートフォンと関連のあるApple、SAMSUNG、Googleがアジア地域全般で高いブランド力を獲得している一方、日系ブランドには勢いが見られず、上位に残った日系ブランドはSONY(8位)のみとなった。
多くの地域でFacebookなどのSNS関連ブランドが上位にランクイン
調査対象とした12地域のトップ10を表2にまとめた。今回からグローバル・ブランドとしてノミネートしたFacebookは多くの地域で上位にランクインしている。特にタイでは同ブランドは総合スコア72.4で2位に入った。その他、韓国ではNAVERが総合スコア79.4でトップ、台湾ではLINEが総合スコア73.8で2位に入るなど、SNS関連のブランドが上位に多くランクインした。しかしながら、日本ではこれらのブランドは上位にランクインしておらず、SNSに対する国内外でのブランドイメージの違いが改めて浮き彫りになった。
「食」と結びついたローカル・ジャイアントの強い存在感は健在
表2からは、インドネシアのAqua(ダノン現地子会社のミネラルウォーターブランド)、フィリピンのJollibee(レストランチェーン)、台湾のi-Mei(食品メーカー)、トルコのÜLKER(総合食品メーカー)、ベトナムのVinamilk(乳製品メーカー)など、食に関しては現地ローカル・ブランドのリーダー的存在が上位に入っていることが分かる。日本ではSUNTORYとMeijiがトップ10に入った。スマートフォンに代表される情報家電はグローバル企業の寡占が進む一方で、食品はローカル・ジャイアントの存在感がいまだに強いことがうかがえる。
健闘を続ける7-ELEVEn
前回も台湾とタイで上位にランクインした7-ELEVEnは今回も健闘し、台湾で5位、タイではトップの座を獲得した。その他の店舗展開国でも30位以内に入ることが多く、都市化の進むアジア各国で好調な展開を進めているといえよう。ただし、インドネシアでは地場コンビニエンスストア・チェーンのAlfamartが3位と強いブランド力を有しており、今後の展開が注目される。
急速な経済発展に伴いアジア市場の消費者は、従来型消費社会の「モノを所有する」ことから、SNSなどのコミュニケーション・エクスペリエンスへと極めて速いスピードでその価値意識を変えてきている。その変化をブランドという側面から把握するためにも、地域横断的なブランド評価の必要性はますます高まっている。弊社では、「ブランド・アジア」プロジェクトを中心として、アジアに向けて次の一手を打とうとする企業に対して、これからも常に価値あるデータを提供していく予定である。
「ブランド・アジア 2016」について
中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、韓国、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム、トルコのアジア12地域において、一般消費者を対象とする定量アンケート調査を実施した。各地域で調査対象となるブランドは、全地域共通で調査する80のグローバル・ブランドと、地域固有のブランドを中心に各地域独自で選定した40のローカル・ブランド、併せて120ブランドである。なお、ローカル・ブランドの数はインドは80、台湾では46である。また、シンガポールではグローバル・ブランド80のみを調査した。今回はCSRイメージに関する設問や、「購入したい」「他者に勧めたい」など、ブランドに対するロイヤルティ(忠誠度)についての5設問と、各ブランドの情報にどの様なメディアで接触しているか、その経路を尋ねる設問も含まれている。2015年12月~2016年1月に実施。
日経BPコンサルティング:日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9,000万円)
今回 | |||
---|---|---|---|
順位 Rank | ブランド名 Brand | 業種 Industry | ブランド総合力平均 Average of Overall Brand Strength (score) |
1 | Internet-related | 74.6 | |
2 | Apple | IT/Home electronics | 71.3 |
3 | SAMSUNG | IT/Home electronics | 65.1 |
4 | Nike | Sporting goods | 64.6 |
5 | YouTube | Internet-related | 64.3 |
6 | adidas | Sporting goods | 64.2 |
7 | Internet-related | 62.6 | |
8 | SONY | IT/Home electronics | 62.3 |
9 | Microsoft | IT/Home electronics | 62.0 |
10 | Mercedes-Benz | Automakers | 58.5 |
前回 | |||
---|---|---|---|
順位 Rank | ブランド名 Brand | 業種 Industry | ブランド総合力平均 Average of Overall Brand Strength (score) |
1 | Internet-related | 72.1 | |
2 | Apple | IT/Home electronics | 70.2 |
3 | SAMSUNG | IT/Home electronics | 66.8 |
4 | Microsoft | IT/Home electronics | 63.9 |
4 | SONY | IT/Home electronics | 63.9 |
6 | Nike | Sporting goods | 63.2 |
7 | HONDA | Automakers | 61.0 |
8 | Coca-Cola | Foods/Drinks | 59.8 |
9 | adidas | Sporting goods | 59.5 |
10 | Nestlé | Foods/Drinks | 58.9 |
- 中国
CHINA - インド
INDIA - インドネシア
INDONESIA - 日本
JAPAN - マレーシア
MALAYSIA - フィリピン
Philippines - シンガポール
Singapore - 韓国
SOUTH KOREA - 台湾
TAIWAN - タイ
THAILAND - トルコ
TURKEY - ベトナム
VIETNAM
-
順位
Rankブランド名
Brandブランド総合力
OVERALL BRAND STRENGTH中国/CHINA 1 Apple 77.3 2 Alipay 77.2 3 Tencent 73.1 4 PHILIPS 72.0 5 Google 69.3 6 Microsoft 68.8 7 Haier 67.1 8 HUAWEI 67.1 9 Baidu.com 66.6 10 Lenovo 65.8
調査概要
調査名称
調査目的
- アジア12地域(中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、韓国、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、トルコ、ベトナム)における主要グローバル・ブランド80のブランド力を調査・測定。個々のブランドが持つ好感、役立ち度、品質感などのイメージや顧客ロイヤルティについて、地域差の有無やブランド力の傾向などを把握する。
- ベンチマークとして、地域固有のブランドを中心に各地域独自で選定した40のローカル・ブランド(インドは80ブランド、台湾では46ブランド。また、シンガポールではグローバル・ブランド80のみを調査/ローカル・ブランドにはグローバル展開するブランドも含まれる)も、該当地域において、調査対象とした。
- 本結果を、各企業のブランディング施策に活用できる形で提供する一方、市場内外におけるどのような事柄がブランド力に影響を与えているかなどの基礎研究に資する。
調査の方針と構成
ブランド・アジアでは、16年目を迎えた日本最大規模のブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン」の評価・分析手法を採用した。ブランド総合力の算出にあたって基礎データとなる調査項目の設定や、総合力算出のための共分散構造分析の実施などが共通しており、これまで弊社が蓄積してきたブランド力算出のノウハウを活用している。ブランド・アジアは、アジア12地域の消費者を対象にしたブランド価値評価調査であり、アジアの「生の声」を採取している。
評価・分析にあたって
ブランド総合力の算出にあたって、豊田秀樹氏(早稲田大学 文学学術院教授)のお力をお借りしている。
早稲田大学 文学学術院教授
豊田秀樹氏
心理統計学、教育測定学、マーケティング・サイエンス、統計学のエキスパートとして「ブランド・ジャパン 2002」から結果分析を担当。「ブランド・アジア」プロジェクトでも、初回調査の「ブランド・アジア 2012」から結果分析を担当する。著書に『SASによる共分散構造分析』(東京大学出版会)、『購買心理を読み解く統計学』(東京図書)などがある。
調査対象ブランドについて
- 各地域において、合計120ブランドを調査対象とした。(インドは160ブランド、シンガポールは80ブランド、台湾は126ブランド)
- 共通する80ブランドの業種は、下記の10カテゴリーに限定している
1 食品・飲料、2 日用品、3 衣料・ファッションアイテム、4 自動車、5 IT・家電、 6 インターネット関連、7 金融、8 飲食店、9 スポーツ関連用品、10 小売、11 運輸・物流
ローカル・ブランドでは、上記の業種以外に、「情報通信」「メディア・エンタテインメント」「その他」の分類がある
7-ELEVEn | EPSON | LG | PHILIPS |
Acer | LION / Southern Lion | Redbull | |
adidas | FamilyMart | L’ORÉAL | RENAULT / Renault Samsung |
AEON | GAP | Louis Vuitton | SAMSUNG |
AirAsia | MAZDA | SHISEIDO | |
AJINOMOTO | H&M | McDonald’s | SONY |
Amazon | Haier | meiji | STARBUCKS COFFEE |
Apple | HITACHI | Mercedes-Benz | SUZUKI / Maruti Suzuki |
ASUS | HONDA | Microsoft | TOSHIBA |
AVON | hp | MITSUBISHI ELECTRIC | TOYOTA |
BMW | HUAWEI | Mizuno | |
BOSCH | HYUNDAI / HYUNDAI KIA | MUJI | unicharm |
Canon | IKEA | Nestlé | Unilever |
CASIO | Johnson&Johnson | Nike | UNIQLO |
Coca-Cola | kao | Nikon | Volkswagen |
Colgate | Kellogg’s | NISSAN | Xerox / Fuji Xerox |
DANONE | KFC | Nissin (Cup noodles) | YAHOO! |
DELL | KIKKOMAN | Nivea | YAMAHA MOTOR |
Domino’s Pizza | Kleenex / Kimberly-Clark | P&G | YouTube |
Electrolux | Lenovo | Panasonic | ZARA |
調査手法、回収数など
地域名 | 調査実施都市 | 調査手法 | 回収数 |
---|---|---|---|
中国 | 北京,上海 | ネット調査 | 1,200 |
インド | デリー,ムンバイ,チェンナイ,コルカタ,ルディヤーナー, ナグプール,バンガロール,パートナ,カーンプル, アーメダバード,ハイデラバード,グワーハーティー | 3,181 | |
インドネシア | ジャカルタ | 1,200 | |
日本 | 東京,大阪,名古屋 | 1,887 | |
マレーシア | クアラルンプール,ペナン,ジョホール | 742 | |
フィリピン | マニラ | 729 | |
シンガポール | シンガポール | 486 | |
韓国 | ソウル | 720 | |
台湾 | 台北,台中,高雄 | 1,260 | |
タイ | バンコク | 電話調査 | 720 |
トルコ | イスタンブール,アンカラ,イズミル | 対面調 | 720 |
ベトナム | ハノイ、ホーチミン | ネット調査 | 731 |
調査設問
各ノミネートブランドについて、以下の質問項目を用意し、YesかNoかで回答を得ている。
- 「ブランド総合力」の算出に関係する設問
知っている / 興味がある / 好きである、気に入っている / 親しみを感じる / なくなると寂しい 共感する、フィーリングが合う / 最近使っている / 役に立つ、「使える」 / 品質が優れている / ステータスが高い かっこいい、スタイリッシュ / 他にはない魅力がある / 際立った個性がある / いま注目されている(旬である) 時代を切りひらいている / 勢いがある - ブランドのCSR意識に関係する設問
地域や社会に貢献している / 環境に配慮している - ブランドへのロイヤリティに関係する設問
最近使っており、満足している / 購入したい / 他者に勧めたい / 大ファンである、あこがれている / 生活を豊かにしてくれる - ブランドの認知経路(情報接触メディア)に関係する設問
テレビ / ラジオ / 新聞 / 雑誌 / Webサイト / SNS / ポスター・看板・交通広告 / 店頭・営業スタッフ
このリリースに関するお問い合わせ
株式会社 日経BPコンサルティング
ブランドコミュニケーション部 菅原 啓
Tel.03-6811-8308 Fax.03-5421-9176
〒108-8646 東京都港区白金1-17-3 NBFプラチナタワー