アジアでのApple、SAMSUNG、Google などスマートフォン関連ブランドへの評価高まる。日本ブランドはSONY、HONDA が健闘するも、全体的に低調
―「ブランド・アジア2014」の結果を本日リリース―

2014年05月30日

株式会社日経BPコンサルティング(所在地:東京都港区、代表取締役社長:戸田 雅博)は、アジア12地域を横断する、ブランド価値評価調査プロジェクト「ブランド・アジア2014」(*)の結果をまとめ、日本では2014年5月30日に調査結果報告書を発行・発売する。アジア各地の個々のブランドが持つ好感度、役立ち度、品質感などのイメージを測定し、地域差の有無やイメージ傾向などを把握し、主要なブランドの総合力を横断的に評価した調査である。

本調査は、新調査対象地域のトルコのほか、中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、ミャンマー、シンガポール、韓国、台湾、タイ、ベトナムのアジア12地域において、一般消費者を対象とする定量アンケート調査を実施した。各地域で調査対象となるブランドは、全地域共通で調査する60のグローバル・ブランドと、地域固有のブランドを中心に各地域独自で選定した40のローカル・ブランド(シンガポールは除く/グローバル展開するブランドも含まれる)、あわせてのべ1,160ブランドである。なお、今回調査では、ブランド総合力の算出に関係する16項目のほか、「購入したい」「他者に勧めたい」など、ブランドに対するロイヤルティ(忠誠度)についての4設問と、各ブランドの情報にどの様なメディアで接触しているか、その経路をたずねる設問も加えた。

ASEAN地域におけるスマートフォン関連ブランドに対する評価の高まりを追い風に、アジア全域で、Apple、SAMSUNG、Googleが高い評価を受けたほか、ミャンマーでもLGが第2位に急浮上。
日本勢では、SONYとHONDAが健闘しているが、全体的に低調に終わった。

アジア全域で、Apple、SAMSUNG、Googleなどスマートフォン関連ブランドに高い評価、
日本勢はSONYとHONDAが健闘するものの、総合力平均ランキングトップ20にはわずか5ブランド

ブランド総合力ランキングの地域別トップ10を表1に、またグローバル・ブランド60のブランド総合力平均ランキングの上位20を表2にまとめた。Apple、SAMSUNG、Googleなど、スマートフォンと関連のあるブランドがアジア地域全般で高いブランド力を獲得していることが分かる。また、総合力平均ランキングからは、SONYとHONDAの日本勢がアジア地域で平均的に広く評価されていることがうかがえるが、トップ20の中で日本ブランドは、TOYOTA、Canon、TOSHIBAを含む5つのみとなり、アジア地域における日本ブランド全体に対する評価の底上げが、課題として残った。

タイでは、スマートフォン関連ブランドが大きく躍進

Appleがトップ10入りした地域数は、インドとミャンマーを除く10となり、60ブランド中、最多となった。ブランド総合力平均ランキングでも首位であり、アジア地域において最もブランド力が高いグローバル・ブランドといえる。新対象地域のトルコを除くと、新たにタイとベトナムでも10位以内に入った。トップ10入りの数で続くのは、9地域のSAMSUNG。トルコ以外では新たに中国とタイが加わった。Googleも8地域でトップ10にランクインし、トルコ以外では新たにタイが加わった。

タイでは、今回、Googleが第3位、Appleが第4位、SAMSUNGが第5位。また、ローカル・ブランド枠で今回新しく調査対象に加えたメッセンジャーアプリLINEが第9位にランクインした。前回タイでは、スマートフォンと関連のあるブランドはトップ10内に1つもなく、上位6ブランド中5ブランドが自動車だった。今回も、首位のHONDA、第2位のTOYOTAと、トップ2には自動車ブランドが並ぶが、第3位以降のランキングでは大きな様変わりを見せた。これまでタイでは、パソコンの利用がビジネスシーンに限られており、一般へは普及していなかった。こうした中、急速にデジタル化や、インフラ環境の整備が進んだことで、インターネットへの接続手段として、年代を問わずスマートフォンやタブレット端末への需要が高まっており、今回の結果はそれを反映したものとなった。

マレーシア、インドネシア、ベトナムでもAppleが健闘、ミャンマーではLGが急浮上

スマートフォン関連ブランドに高い評価が集まる傾向は、マレーシアでも見られるほか、インドネシア、ベトナム、ミャンマーなど、その他のASEAN地域でも同様である。

マレーシアでは、今回、第1位にGoogle、第2位にSAMSUNG、第4位にAppleがランクインしている。前回のトップ4は銀行と自動車ブランドのみであり、第7位にSAMSUNG、第8位にGoogle、第9位にAppleが並んでいた。インドネシアでは、毎年評価を高めてきたAppleが今回第1位。一方で、前回まで2年連続で第1位だったNokiaは、今回第20位まで大幅に順位を落とした。ベトナムではNokiaが第2位と、依然として高いブランド力を誇っているが、これまでトップ10には入っていなかったAppleがここでも評価を高め、今回は第8位にランクイン。これまでAppleは、中国、日本、台湾、韓国といった東アジアでのみ高い評価を受けてきたが、この力がASEAN地域にも浸透してきたといえる。

また、ミャンマーでは、LGが躍進し、第2位となった(前回第24位)。SAMSUNGは第4位である(前回第5位)。LGは「LG loves Myanmar」という名称で2013年8月から、またSAMSUNGは「Samsung Myanmar」という名称で2012年10月から、ミャンマーでのFacebookを開設。サイトに対する「いいね!」の数は、LGが77,300余りに対し、SAMSUNGが76,100余りで、開設後の期間が短いLGの方がやや上回る(2014年5月23日現在)。このほか、ミャンマーでは、今回、テレビやラジオの放送局などメディア系ブランド3つがトップ10内にランクイン(前回は1ブランドのみ)。生活水準の変化とともに、情報機器を介して気軽に楽しめるコミュニケーションやエンタテインメントに注目が集まっている。

購入の対象は自動車、自信を持って勧められるのはスマートフォン

今回調査から加えたロイヤルティに関する4設問のうち、「購入したい」と「他者に勧めたい」の2つについて、各地域のトップ3(各ブランドの認知者内における集計)を表3に示した。目に付くのは自動車やスマートフォンに関連するブランド。自動車関連は、「購入したい」で10地域中7地域において首位であり、トップ3内には9つが並ぶ(「他者に勧めたい」でもトップ3内に5つ入る)。

一方、スマートフォン関連は、通信事業者やインターネットサービスも含め、「他者に勧めたい」でトップ3に15ブランドが並び、「購入したい」でもトップ3内に8つある。製品やサービスに実際に触れた経験や実用性など、回答者がより深みのある情報を持っていてこそ初めて評価されるこの項目の結果から、アジア全体におけるスマートフォンやタブレット端末の浸透が感じられる。

2015年には、ASEAN全域での関税撤廃が予定されており、経済面ではお互いがより近づこうとしているアジア。これに加え、今回の結果にも見られるASEAN地域におけるスマートフォンやタブレット端末の急速な普及は、ASEAN地域とその他のアジア、そして全世界との距離を益々縮めるものとなり得る。こうした環境変化は、アジアにおけるブランドづくりのあり方にも大きな影響を与えることだろう。変化を続けるアジアの中でのブランド評価に、今後も大きな注目が集まる。弊社では、「ブランド・アジア」プロジェクトを中心として、アジアに向けて次の一手を打とうとする企業に対して、これからも、価値あるデータを提供していく予定だ。

表1:ブランド総合力ランキング(地域別トップ10)
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表2:グローバル・ブランド60のブランド総合力平均ランキング(上位20)
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表3:ブランドロイヤルティランキング(地域別トップ3、日本と韓国を除く)
表3:ブランドロイヤルティランキング(地域別トップ3、日本と韓国を除く)クリックで拡大

「ブランド・アジア 2014」

2013年12月~2014年1月に実施。分析方法としては、弊社が手がける日本最大規模のブランド評価調査「ブランド・ジャパン」の手法を用いた。15項目によるブランドイメージを4つの因子にまとめ、ブランド力を算出・分析。12の地域間でブランド力を同一の尺度で分析している。

日経BPコンサルティング:日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9,000万円)

調査概要

  • 調査名称:
    ブランド・アジア 2014
  • プロジェクト企画および結果データ分析:
    日経BPコンサルティング
  • 調査目的:

    ・アジア12地域(中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、ミャンマー、シンガポール、韓国、台湾、タイ、トルコ、ベトナム)における主要グローバル・ブランド60のブランド力を調査・測定。個々のブランドが持つ好感、役立ち度、品質感などのイメージについて、地域差の有無やブランド力の傾向などを把握する。

    ・ベンチマークとして、地域固有のブランドを中心に各地域独自で選定した40のローカル・ブランド(シンガポールは除く/グローバル展開しているブランドも含まれる)も、該当地域において、調査対象とした。

  • 調査の方針と構成:
    ブランド・アジアでは、14年目を迎えた日本最大規模のブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン」の評価・分析手法を採用した。ブランド総合力の算出にあたって基礎データとなる調査項目の設定や、総合力算出のための共分散構造分析の実施などが共通しており、これまで弊社が蓄積してきたブランド力算出のノウハウを活用している。ブランド・アジアは、アジア12地域の消費者を対象にしたブランド価値評価調査であり、アジアの「生の声」を採取している。
  • 評価・分析にあたって:

    「ブランド・ジャパン」の評価・分析手法を踏襲するにあたり、ブランド総合力の算出にあたって、豊田秀樹氏(早稲田大学 文学学術院教授)のお力をお借りしている。

    早稲田大学 文学学術院教授
    豊田秀樹 氏

    心理統計学、教育測定学、マーケティング・サイエンス、統計学のエキスパートとして「ブランド・ジャパン 2002」から結果分析を担当。「ブランド・アジア」プロジェクトでも、初回調査の「ブランド・アジア 2012」から結果分析を担当する。著書に『SASによる共分散構造分析』(東京大学出版会)、『購買心理を読み解く統計学』(東京図書)などがある。

  • 調査対象地域:
    中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、ミャンマー、シンガポール、韓国、台湾、タイ、トルコ、ベトナム
  • 調査対象者:
    20~50代の男女(中国、インド、ベトナムでは20~40代のみ、インドネシアとミャンマーでは「50代」の代わりに「50代以上」)
  • 調査期間:
    2013年12月~2014年1月
  • 調査対象ブランドについて:

    ・各地域において、合計100ブランドを調査対象とした
    全12地域・・・共通して調査する60のグローバル・ブランド
    シンガポールを除く11地域・・・地域固有のブランドを中心に各地域独自で選定した40のローカル・ブランド
    (グローバル展開しているブランドも含まれる)

    ・共通する60ブランドの業種は、下記の10カテゴリーに限定している
    1 食品・飲料、2 日用品、3 衣料・ファッションアイテム、4 自動車、5 IT・家電、6 インターネット関連、7 金融、8 飲食店、9 スポーツ関連用品、10 多角化経営
    ※ローカル・ブランドでは、上記の業種以外に、「情報通信」「メディア・エンタテインメント」「小売」「運輸・物流」「その他」の分類がある

〔全12地域に共通する60のグローバル・ブランド〕
〔全12地域に共通する60のグローバル・ブランド〕クリックで拡大
調査手法、回収数など
調査手法、回収数などクリックで拡大
調査設問

ノミネートブランド1つ1つについて、以下の質問項目を用意し、YesかNoかで回答を得ている。

  1. 「ブランド総合力」の算出に関係する設問
    知っている/興味がある/好きである、気に入っている/親しみを感じる/なくなると寂しい/共感する、フィーリングが合う/最近使っている/役に立つ、「使える」/品質が優れている/ステータスが高い/かっこいい、スタイリッシュ/他にはない魅力がある/際立った個性がある/いま注目されている(旬である)/時代を切りひらいている/勢いがある
  2. ブランドへのロイヤリティに関係する設問 (今回2014から新たに追加、韓国を除く)
    最近使っており、満足している/購入したい/他者に勧めたい/大ファンである、あこがれている
  3. ブランドの認知経路(情報接触メディア)に関係する設問 (今回2014から新たに追加)
    テレビ/ラジオ/新聞/雑誌/Webサイト/SNS/ポスター・看板・交通広告/店頭・営業スタッフ

このリリースに関するお問い合わせ

株式会社 日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部
小山田 誠
〒108-8646 東京都港区白金1-17-3 NBFプラチナタワー

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