データ連携ツールの導入率は17% 「導入の容易さ」が選定のポイント
―「データ連携に関するアンケート調査」―

2014年05月01日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は「データ連携に関するアンケート調査」の結果をまとめた。ビッグデータの利活用が進展するに伴い、企業内に分散しているデータやプロセスを相互に連携させて分析・活用したいというニーズが徐々に高まってきており、EAI(Enterprise Application Integration)をはじめとしたデータ連携ツールに注目が集まっている。

今回、企業内の複数のシステムを連携させて、データやプロセスを統合させる製品の利用実態や導入計画とその選定のポイント、および期待度、満足度等について、企業の情報システム部門の構築・運用に携わる方々を対象にして尋ねた。

導入済み/導入検討中は28.6%で、4社に1社は必要性を実感

EAIとは、企業内の複数のシステムを連携させ、データやプロセスを統合させること、あるいはそのためのミドルウエアの総称で、データベースや個別の業務アプリケーションがそれぞれ採用しているデータ形式を変換して、相互に受け渡しが行えるようにする役割を持つ。

こうしたデータ連携ツールの導入率は16.5%で、導入検討中は12.1%だった(図1)。導入検討中のうち、「1年以内の導入を検討中」が0.8%、「3年以内の導入を検討中」が1.8%で、導入時期を決めて検討している企業は多くはなかった。その一方で、「時期は未定だが導入を検討中」と回答した企業が9.5%だった。導入済みと導入検討中を合わせると合計で28.6%となり、4社に1社はデータ連携ツールの必要性を感じていると言える。

図1■EAIをはじめとしたデータ連携ツールの導入状況
※グラフの構成比(%)の合計が、単位繰上げにより100.0%とならない場合があります(以下同様)
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大企業で導入が進み、中小企業では検討中の比率が高まる

企業規模別で見ると、企業規模が大きいほどデータ連携ツールの導入が進んでいる(図2)。従業員数1000人以上の大企業では導入済みが28.2%で、導入検討中までを含めると43.5%となり半数近い企業が必要性を感じている。大企業ほどデータが分散していると推測されるため、データ連携が必要とされていると見てよいだろう。

300人以上1000人未満の中堅企業の導入済みは12.3%で、1000人以上の半分未満の比率である。一方、導入検討中は12.8%あり、1000人以上の導入検討中(15.3%)より若干低い程度。300人未満の中小企業においては、導入済みが5.4%であるのに対して、導入検討中が7.4%あり、導入検討中の企業の比率の方が高い。企業規模が小さくなるほど、導入済みに比べて導入検討中の比率は高まる傾向にある。

図2■企業規模別のデータ連携ツール導入状況
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金融・保険、製造業での導入が進展

業種別に見ると、金融・保険と製造業での導入が進んでいる(図3)。導入済みは、金融・保険が24.5%で、製造業のうちの原材料系が24.4%となっている。金融・保険は、導入済みと導入検討中を合わせると40.8%でデータ連携ツールに対するニーズが最も高い。

導入率が低いのは、流通業と建設・土木。特に流通業での導入率は低く、導入済みが9.5%で、導入検討中は4.8%に留まる。研究開発から製造、販売までを通して情報システムで管理すべきデータの種類が多く部門ごとにデータが分散している製造業に比べて、流通業はデータの種類が限定され、かつ集中管理される傾向にあることが背景にあると推測できる。

図3■業種別のデータ連携ツール導入状況
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システム開発面での「導入の容易さ」が選定のポイント

導入済み、または導入検討中の企業が重視する選定のポイントについても尋ねた。選択肢として、「総合的な満足度」のほか、10の具体的な項目を提示して複数選択してもらった。その結果、具体的な項目では「導入が容易」が39.6%で最も重視される選定のポイントだった(図4)。

従来、データ連携には、開発スキルが必要で労力がかかるということが課題となっていた。こうした苦労が少なくWebブラウザ上でも開発できるといったシステム導入の容易さがデータ連携ツールに求められており、製品選定の際に最も重視されている項目だ。

このほか、「接続先が多様(アダプタの種類の多さ)」「ソフトウエアの品質(不具合が少ない、安定稼動するなど)」「GUIがわかり易い。使用感が良い」といった項目が上位だった。

図4■EAIをはじめとしたデータ連携ツール選定のポイント(複数選択式)
図4■EAIをはじめとしたデータ連携ツール選定のポイント(複数選択式) クリックで拡大

調査概要

  • 調査名:
    データ連携に関するアンケート調査
  • 調査対象:
    大企業および中堅・中小企業の情報システム部門で、社内向けの情報システムの構築・運用に携わる方々(IT関連製品の選定・導入に関わる方々が中心)
  • 有効回答数:
    788
  • 調査期間:
    2014年3月18日~3月25日
  • 調査方法:
    インターネット調査

このリリースに関するお問い合わせ

株式会社 日経BPコンサルティング テクノロジーインダストリー部 担当:堀 純一郎
(Tel.03-6811-8304 Fax.03-5421-9180)
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