BtoC編:30周年のディズニー、10年ぶりの首位獲得。ヒートテックも初のトップ10入り。BtoB編:トヨタ自動車が首位を堅守。東芝、TOTO、日立製作所など、日本メーカーが復調傾向
―「ブランド・ジャパン2014」を本日リリース―
2014年03月28日
株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、今年で14回目を迎えるブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン2014」の結果をまとめ、本日(2014年3月28日)、調査報告書を発行・発売する。
「ブランド・ジャパン」は、一般消費者から企業ならびに製品・サービスの合計1,000ブランドについて評価を聞くBtoC編と、ビジネス・パーソンに500の企業ブランドについて評価を聞くBtoB編で構成される。調査は2013年11月から12月にかけて実施し、回答者数は約5万7千人だった。今回は、前回結果に比べ、両編ともにトップ10の顔ぶれが半分以上入れ替わった。
調査結果のポイント
BtoC編
■2013年に東京ディズニーランド開園30周年を迎えたディズニーが、10年ぶりに首位
■Xperia好調のソニーが、幅広い世代の支持を得て第2位へ
■ヒートテックは、製品の持つ卓越性が評価を得て、初のトップ10入り
■2大ネット通販、アマゾンと楽天市場が共にトップ10入り。セブン-イレブン、イオンなど流通大手も高評価
■SNS系が軒並み順位を落とす中、LINEが順位を大幅アップ。上昇ランキング第1位に
BtoB編
■3年連続でトヨタ自動車が首位
■通信・モバイル関連では、NTTドコモが躍進し、第4位へ
■国内製造業大手の東芝、TOTO、日立製作所、キヤノンがトップ10入り
■アディダス、ミズノ、アシックスなどスポーツ関連が上昇。2020年の東京五輪決定が影響か
調査結果より
BtoC編 一般消費者が企業ならびに製品・サービスの合計1,000ブランドを評価
TDL30周年キャンペーンを大々的に行なったディズニーが、10年ぶりの首位獲得
BtoC編「総合力」ランキングの首位は、88.0ポイントを獲得したディズニー(表1)。「総合力」を構成する4つの因子のうち、最も評価を高めたのは「フレンドリー(親しみ)」だった。東京ディズニーランドの30周年を記念する「ザ・ハピネス・イヤー」キャンペーンが奏功したといえる。ディズニーが首位を獲得したのは今回2度目であり、1度目は10年前の2004年。今回もアニバーサリーイベントの成果がブランド評価に如実に表われた形だ。
Xperia好調のソニーが、幅広い世代の支持を得て第2位へ
「総合力」ランキング第2位は、前回第22位だったソニー。NTTドコモが販売を強化する製品を2つに絞った“ツートップ”戦略の実行、そして国内販売が好調なスマートフォンXperiaの存在などが順位上昇に影響したようだ。そのXperiaは第633位から第478位に順位を上げた。一方で、iPhoneが前回の第18位から第44位に、Galaxyが第758位から第842位へ順位を下げた。また、年齢別に見ると、ソニーは29歳以下で第3位だが、40歳代と50歳以上でも第6位につけ(30歳代は第23位)、年代に関わらず、高い評価を受けている。
ヒートテックは、製品の持つ「アウトスタンディング(卓越性)」に関する評価が上がり、第44位から第9位へ
ユニクロの基幹商品であるヒートテックは第44位から第9位へ上昇した。4つの因子のうち、特に「アウトスタンディング(卓越性)」の評価が「総合力」を押し上げた。その着用により寒さを気にせずにアクティブな生活を送ることができる、アウターの着こなし幅が広がるなど、ヒートテックの個性や魅力が、実生活にもたらされる価値をさらに大きくしたようだ。
2大ネット通販、アマゾンと楽天市場が共にトップ10入り。セブン-イレブン、イオンなど流通大手も高評価
共にトップ10入りしたアマゾン(第4位)と楽天市場(第8位)の存在は、日本でのネット通販の浸透を感じさせる。また、第11位には、「イノベーティブ(革新性)」と「コンビニエント(便利さ)」の評価が高まったセブン-イレブン(前回第22位)が入った。セルフ式ドリップコーヒー「セブンカフェ」が、2013年1月末から2014年2月末までに4億5,000万杯を売り上げる大ヒットとなったことが、一因と考えられる。
また、第13位イオン(前回第33位)、第18位セブン&アイ・ホールディングス(前回第28位)、第24位イオンモール(前回第31位)と、流通大手がそれぞれ順位を上げている。
LINEが、「総合力」上昇ランキングで第1位
「総合力」の上昇ランキング第1位はLINEであった(表2)。第325位のFacebook(前回241位)、第290位のTwitter(前回251位)、第781位のmixi(前回第499位)など、他のSNS系ブランドがいずれも前回より順位を落とす中、LINEは前回の第340位から、第70位まで躍進した(図1)。これまでSNS系ブランドの「総合力」ではFacebookが前回記録した第241位が最高位だったが、LINEは初ノミネートから1年でこの壁を軽々と超えたことになる。
BtoB編 有職者がビジネス・パーソンの立場から500の企業ブランドを評価
トヨタ自動車が3年連続の首位。「信用力」ランキングでは、今回もトップの座を守る
BtoB編では、トヨタ自動車が3年連続で「総合力」首位。前回から4.4ポイント上昇し、97.6ポイントを獲得した。各因子について見ると、「ブランド・ジャパン2002」以来「信用力」ランキングでの首位を、今年も堅守している。なお、BtoC編では、小型ハイブリッド車「アクア」が「総合力」上昇ランキング第2位となった。
通信・モバイル関連では、NTTドコモが躍進の第4位
前回第61位だったNTTドコモが第4位へと躍進した。前回から21.8ポイント伸ばして83.0ポイントを獲得しており、「総合力」の上昇ランキングではトップ。 “ツートップ”戦略の強い印象や、加えて、他社に比べ遅れて始まったiPhoneの取り扱いも、同社への期待を高めていると思われる。
国内製造業大手の東芝、TOTO、日立製作所、キヤノンがトップ10入り
ソフトバンクやサントリーの他、今回のトップ10に、前回のトップ10外からランクインしたブランドは、第7位の東芝(前回第24位)、第8位のTOTO(前回第32位)、第9位の日立製作所(前回第40位)、第10位のキヤノン(前回第11位)。国内製造業大手が名を連ねた。
アディダス、ミズノ、アシックスなどスポーツ関連が上昇。2020年の東京五輪決定が影響か
トップ10圏外では、第30位のアディダス(前回第96位)、第48位のミズノ(前回108位)、第62位のアシックス(前回第175位)などスポーツ用品メーカーが順位を上げた。これは2013年9月に決定した2020年夏季オリンピックの東京開催決定を受けたものと思われる。
2014年4月より、消費税は8%へと引き上げられ、個人の消費行動に大きく影響を与えると予測されている。ブランドを“スイッチ”する契機にもつながるだろう。自社や自社の商品は継続して魅力的だろうか。自社のブランド価値を常にウォッチする必要性が増す今後、本書を年に一度の健康診断として活用されたい。
なお、来る4月18日には、パレスホテル(東京都千代田区)にて『「ブランド・ジャパン 2014」発行記念ブランドセミナー』を開催し、ヤマトホールディングス株式会社代表取締役会長の瀬戸薫氏が基調講演を行う。
(小山田 誠=日経BPコンサルティング コンサルタント)
*ブランド・ジャパン
国内で使用されているブランドを一般消費者とビジネス・パーソンが評価する、日本最大規模のブランド価値評価調査プロジェクト。2001年に第1回調査を実施し、今回が14回目。一般消費者から回答を求める「コンシューマー市場(BtoC)編」(調査対象ブランド1,000件)と、有職者にビジネス・パーソンとしての立場から回答を求める「ビジネス市場(BtoB)編」(同500件)から成る。
BtoC編では企業ブランドと製品・サービスブランド合わせて1,000ブランドを対象に調査した。ブランド価値の「総合力」を算出する際に、「フレンドリー(親しみ)」、「コンビニエント(便利さ)」、「アウトスタンディング(卓越性)」、「イノベーティブ(革新性)」という4指標を採用した。
BtoB編では500の企業ブランドを対象に調査した。ブランド価値の「総合力」を算出する際に、「先見力」、「人材力」、「信用力」、「親和力」、「活力」の5指標と「その他イメージ」を採用した。
調査の構成と概要
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- 調査の方針と構成
- ブランド・ジャパンでは、経年比較を可能にして、継続的データ価値を保つために、毎年同じフレームを採用している。すなわち、本調査は、「コンシューマー市場(BtoC)編」と、「ビジネス市場(BtoB)編」の2つの調査で構成する。また、ランキングを計算する質問項目も、個々のブランドについて尋ねる主要な設問は例年と同じものを用い、さらに総合力を算出する際の基本的な計算方法も、例年と同様の手順で行っている。なお、有意抽出であるインターネット調査の結果を補正するために、傾向スコア重み付け法を施した。
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コンシューマー市場(BtoC)編
消費者に対して、消費行動上のブランドのポジショニングを明らかにする設問への回答を求めた。調査対象ブランドは、企業ブランド(企業名・グループ名)と製品・サービスブランド、合計1,000ブランド。
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コンシューマー市場(BtoC)編
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ビジネス市場(BtoB)編
有職者に対して、ビジネス・パーソンとしての立場からブランドのポジショニングを明らかにする設問への回答を求めた。調査対象ブランドは企業ブランドのみ500ブランド。
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ビジネス市場(BtoB)編
調査概要
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- 調査名称:
- ブランド・ジャパン 2014
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- 調査目的:
- 日本の市場で使用されている主要なブランドについて、ブランド力とそれぞれの特徴を明らかにする。このデータを企業のブランドづくりに活用できる形で提供する一方、市場内外のどのような事柄がブランド力に影響を与えているかなどの基礎研究に資する。
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- 調査機関:
- 日経BPコンサルティング
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- 調査方法:
特別顧問およびブランド・ジャパン企画委員会
正確な集計・分析を行うために、ブランド理論、マーケティング、統計学の第一線で活躍している諸氏によるブランド・ジャパン企画委員会を設置。公正で高度な調査結果を目指し、調査手法や分析について随時委員会を招集し協議を重ねてきた。
ブランド・ジャパン特別顧問
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- プロフェット社副会長 デービッド・A・アーカー氏
- ブランド論の第一人者として知られ、『ブランド・エクイティ戦略』『ブランド・ポートフォリオ戦略』(日本語版はダイヤモンド社刊)などの著書や論文を多数送り出している。ブランド・ジャパンには、第1回から特別顧問として参加。
ブランド・ジャパン企画委員会
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- 企画委員長
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授
阿久津聡氏 - カリフォルニア大学バークレー校にて博士号(Ph.D.)を取得。専門はマーケティング、消費者心理学、ブランド論、行動経済学、文化心理学。著書、監訳に『ブランド戦略シナリオ―コンテクスト・ブランディング』(ダイヤモンド社:共著)、『ソーシャルエコノミー』(翔泳社:共著)などがある。
- 企画委員長
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- 企画委員
早稲田大学 文学学術院教授
豊田秀樹氏 - 心理統計学、教育測定学、マーケティング・サイエンス、統計学のエキスパートとして「ブランド・ジャパン 2002」から結果分析を担当。著書に『SASによる共分散構造分析』(東京大学出版会)、『購買心理を読み解く統計学』(東京図書)などがある。
- 企画委員
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- 企画委員
慶應義塾大学 総合政策学部教授
桑原武夫氏 - コロンビア大学ビジネススクール客員研究員を務める。ポストモダンマーケティングの旗手、モリス・B・ホルブルック教授と共同研究を行う。著書に『ポストモダン手法による消費者心理の解読』(日本経済新聞社:共著)などがある。
- 企画委員
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- 企画委員
法政大学 経営学部教授
西川英彦氏 - 神戸大学大学院博士号(商学)。マーケティングを専門とし、ユーザー・イノベーションや、インターネット・マーケティングをテーマに研究を行っている。 最近の著書に『ネット・リテラシー:ソーシャルメディア利用の規定因』(白桃書房:共著)、『1からの商品企画』(碩学舎:編著)などがある。
- 企画委員
日経BPコンサルティングについて
日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(平成14年3月1日設立。資本金9,000万円)
このリリースに関するお問い合わせ
株式会社日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部 小山田 誠
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