法人利用総合満足度、KDDI(au)が1位に。音声端末とデータ端末の両部門で
~「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2013」より
2012年12月21日
日経BPコンサルティング(東京都港区、戸田雅博社長)はこのほど、「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2013」の結果をまとめた(報告書として2012年12月21日に発行)。携帯電話の法人利用の実態と利用意向を探る本調査は、2005年に開始してから今回で8回目である。
通信事業者別の顧客満足度を比較したところ、音声端末とデータ端末のいずれの部門でも、主契約(主として契約している通信事業者)の総合満足度でKDDI(au)が1位となり、2年連続1位だったNTTドコモを逆転した(図1)。
企業の導入意欲が高まっているスマートフォン、タブレット端末に対する利用意向にも焦点を当てた。特に企業の「タブレット端末」に対する利用意向が高くなってきており、「スマートフォン」を上回る結果となった。また、「高速モバイルデータ通信」に対する企業の投資意欲が急速に高まっていることも明らかになった。
全項目で弱点が少なかったKDDI(au)
音声端末の総合満足度スコアは、KDDI(au)が36.1となり1位で、次いでNTTドコモ35.6、ウィルコム22.0、ソフトバンクモバイル21.6という結果だった(イー・アクセス[イー・モバイル]は回答数が1桁だったので本リリースでは除外)。音声端末に対するKDDI(au)の評価は、総合満足度以外の個別の11項目中、「法人割引サービス」、「法人向けサービス/ソリューション」、「電話機(スペック/機能等)」の3項目で1位。一方のNTTドコモは個別項目のうち6項目で1位を獲得した。具体的には、「通話エリア(屋内外の2項目)」、「通話品質(音質、途切れ等)」、「法人営業担当者の対応」、「販売店・ショップ店員の対応」、「アフターサービス・サポート体制」の6項目でNTTドコモがKDDI(au)を上回ったものの、「端末の価格」、「月々の料金」、「法人割引サービス」という料金面での満足度が全事業者中最も低いことがNTTドコモの満足度に影響したといえる。1位のKDDI(au)は、全項目に関して、スコアが極端に低い項目がなく、弱点が少なかった総合満足度の高さにつながっているといえる。
データ端末の総合満足度スコアは、KDDI(au)が28.0となり1位で、次いでNTTドコモ26.4、ソフトバンクモバイル20.9、ウィルコム15.9、イー・アクセス(イー・モバイル)13.9という結果だった。総合満足度以外の個別の12項目中、NTTドコモが1位を獲得した項目が7項目で最も多かった。NTTドコモが1位の項目は「通信エリア(屋内外の2項目)」、「通信品質(通信の安定等)」、「端末(性能、機能等)」、「法人営業担当者の対応」、「販売店・ショップ店員の対応」、「アフターサービス・サポート体制」の7項目。一方、KDDI(au)は個別項目において1位の項目はなかったものの、音声端末同様、弱点が少なかった点が総合満足度1位につながったといえる。
また、今回ソフトバンクモバイルの場合、音声端末、データ端末いずれの満足度においても昨年より10ポイント以上もスコアが上がった。特にデータ端末においては、「端末の価格」、「月々の利用料金」、「法人割引サービス」、「法人向けサービス/ソリューション」の4項目で1位となった。LTEで話題の「データ通信速度の速さ」に関しては、イー・アクセス(イー・モバイル)が1位という結果だった。
業務利用のモバイルデータ通信端末の主流は「タブレット端末」にシフト
2013年のモバイルデータ通信端末の主流は、「タブレット端末」にシフトする。今後主流となる端末は「タブレット端末」と回答した企業が52.1%で過半数に及んだ(図2)。昨年調査時は「タブレット端末」の選択率は39.3%であったのに対し、今年は12.8ポイント拡大の52.1%となった。「スマートフォン」と回答した企業は28.0%で、昨年の39.7%から11.7ポイント縮小している。
「タブレット端末」へのシフトを加速する要因として、7インチ型タブレット端末の機種の拡大がある。モビリティに優れ、ディスプレイの大きさから、ビジネスツールとして、スマートフォンとは異なり、よりPCに近い利用用途として普及が加速すると考えられる。
2013年の重点投資分野は「タブレット端末」、「スマートフォン」、「高速モバイルデータ通信」
モバイル・ソリューションへの投資に関しては、「タブレット端末」、「スマートフォン」に対する注力度の高さが際立つ(図3)。次いで「高速モバイルデータ通信」、「クラウドサービス」、「モバイル・セキュリティ」、「モバイルの業務アプリケーション連携」、「無線LAN」が重点投資テーマと言える。アンケート調査では、20分野の投資注力度を調べたが、以上の7分野と他の項目の投資注力度の差が開いた。
これらの7項目の中でも、特に今回注目する項目としては、「タブレット端末」と「高速モバイルデータ通信」である。2013年において「タブレット端末」が「スマートフォン」よりも高い投資注力対象になっている。「高速モバイルデータ通信」に関しては、2012年9月に各通信事業者のLTEサービスが出揃い、定額料金プランなどを提供したことから、2013年はさらにLTEを中心としたモバイルブロードバンドに対する利用拡大が予想される。
(藤澤 一郎=日経BPコンサルティング シニアコンサルタント)
調査概要
「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2013」は、今回が8回目。調査方法は、企業へのアンケート調査とモバイル・キャリア4社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ウィルコム)へのヒアリング調査。アンケート調査は、全上場企業と非上場の優良企業合計5000社の情報システム部門を対象に調査票を郵送し、655社の情報システム部門、総務部門などから回答を得た(回収率:13.1%)。調査期間はアンケート調査が2012年11月2日~11月20日、ヒアリング調査が2012年11月26日~12月7日。携帯電話/PHSの法人利用の実態と、今後3年間の企業の導入計画、さらに経年での比較も含めた法人利用・ニーズの変化を分析した。音声通信とデータ通信の両面で調査している。
調査報告書
日経BPコンサルティングは2012年12月21日に、調査結果をまとめた「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2013」を発行。通常版総ページ数は約800ページ。業種や売上規模、従業員数別の全集計結果を収録したCD-ROM付き。またローデータ版もあり。詳しくは、下記サイトへ。
http://consult.nikkeibp.co.jp/research/reports-and-data/keitai_hojin/
【算出方法】
※「満足度ポイント」: 非常に満足(n1):100ポイント、どちらかといえば満足(n2):50ポイント、どちらともいえない(n3):0ポイント、どちらかといえば不満(n4):-50ポイント、不満(n5):-100ポイントとして、各満足度のn数(n1~n5)をかけ、全体のn数で割った値
「満足度ポイント」={100×n1+50×n2+(-50)×n4+(-100)×n5}/n (n=n1+n2+n3+n4+n5)
※図の見方
各企業に対し、前年に比べ投資の度合いについて2012年はどうだったか、2013年はどう考えているかを聞いた。 前年に比べ投資を拡大するものを+3ポイント、変わらない+1ポイント、縮小する-3ポイントとして算出し、各項目の平均ポイントをプロット
平均ポイントが1以上の場合、拡大傾向、1以下だと縮小傾向となる。またブルーの対角線よりも上部にプロットされているものは、前年よりも投資の対前年比が高まっているものとなる。
本件の問い合わせ
日経BPコンサルティング
ビジネスコンサルティング部
(2013年1月より「テクノロジーインダストリー部」と名称変更)
担当:藤澤、堀
(Tel.(03)6811-8304 Fax.(03)5421-9180)