ランキング1 位は大阪府立大学―2年連続―。動画・SNS・スマホ対応も同時調査/Facebook、twitterへの対応は2割強
―「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2012/2013」―

2012年10月31日

ランキング1位は大阪府立大学(公立)で、昨年に引き続きトップの座を保った。これに2位福岡工業大学(私立)、3位電気通信大学(国立)が続く。前回28位から新たにベスト10入りした愛知教育大学(国立)は7位に付けた(参考資料:スコア・ベスト10)。日経BPコンサルティング(東京都港区、戸田雅博社長)は、大学サイトのユーザビリティ(使いやすさ)を評価した「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2012/2013」の結果をまとめた。

今回、国立・公立・私立の211大学サイトを調査対象とした。全体の傾向をみると、平均スコアは前回の55.68点から56.57点へと約1ポイント上がっており、大学サイトのユーザビリティは着実に向上している。

一方で、個々の診断項目のなかにはユーザビリティが悪化している項目もあった。特に今回、目立ったのはトップページに「動く要素」を置くサイトが増えたことだ。動く要素があると視線が奪われて、ナビゲーションの妨げになってしまうのだが、この傾向はここ数年加速しており、今回は、動き・点滅・スクロールのある要素を掲載しているサイトが6割を超えた。

また今回の調査では、ユーザビリティに加えて、動画の掲載状況やSNS、スマートフォンへの対応についても調査した。大学はこれまでの情報発信にとどまらず、もっと受験生にアピールするメディアや、学生とのつながりを密にできるチャネルを探しているといわれている。その実態を調べた。

動画については、大学紹介ビデオ、キャンパス紹介ビデオ、クラブ活動ビデオ――などに分けて掲載状況を調べた。大学紹介ビデオは国公立大学と私立大学で大きな差があった。私立大学の掲載率が3割強にとどまっているのに対して、国公立大学は6割弱と高い(参考資料:大学紹介ビデオの掲載率)。一方、キャンパス紹介やクラブ活動は私立の掲載率が高かった。

SNSのアカウントを取得している大学は、Facebookが全体の21.8%、twitterが全体の24.2%だった(参考資料:SNSへの対応状況)。国公立と私立では、私立がやや積極的だ。

発信している情報を見るとニュースリリースと同じ内容である場合が多いのだが、一方で工夫を凝らしている大学もある。Facebookでは、関西学院大学、上智大学、早稲田大学、慶應義塾大学、立命館大学、立教大学などが写真を使ってクラブの試合やイベントの様子を伝え、独自の情報発信をしていた。これらの大学では4000以上の「いいね!」を獲得している。

Twitterは140文字という制限があるが、リアルタイムなツイート感覚が特徴。龍谷大学ではこれを生かして、野球部の試合実況をツイートしていた。「5回裏は3ランを浴びて3点リードされた」「6回表は追いつきたいが無得点」といった具合だ。フォロワーになればリアルタイムに近い感覚で結果を知ることができる。

スマートフォンの画面サイズに合わせてデザインしたページを用意している大学は全体の16.6%。常に携帯しているスマートフォンから見やすくすることで、大学のサイト情報をより身近に感じてもらおうという試みだ。対応には国公立と私立で大きな差があり、国公立の6.0%に対して私立は23.6%が対応していた(参考資料:スマートフォン向け画面を用意しているサイトの比率)。

(橋本 敏彦=日経BP コンサルティング Web コンサルティング部次長)

*調査概要

Forrester Research Inc.(米国)が開発したサイトのユーザビリティ診断ツール「ウエブサイト・スコアカード」をベースに、日経BPコンサルティングが大学サイトに必要な項目を考慮に入れて、審査基準を作成。審査基準に従い、調査員が実際に大学サイトを閲覧しながら調査した。審査対象ページは、原則としてトップページおよびトップページにリンクのあるページ。調査対象サイトは、全国の国立大学67校、公立大学17校、私立大学127校。対象サイトは、国立大学、公立大学、私立大学のそれぞれについて、学部学生数の上位大学を中心に、日経BPコンサルティングの判断で独自に選定した。なお、医科大学、歯科大学、薬科大学、獣医大学、畜産大学、保健大学、芸術大学、体育大学などは対象から外した。調査実施期間は2012年7月20日~9月20日。

*スコアの算出方法

各審査項目について、問題がなければ「1」点、問題がある場合には「0」点と採点。64ある審査項目は七つのカテゴリー(診断軸)に分類されている。診断軸は、「トップページ・ユーザビリティ」「サイト・ユーザビリティ」「メインコンテンツへのアクセス」「アクセシビリティ」「ブランディング」「インタラクティブ」「プライバシーポリシー」――である。総合スコアは、これら審査項目の点数に重み付けをして、合計100点満点でスコア化した。

*カテゴリー(診断軸)について

「トップページ・ユーザビリティ」は、トップページの使い勝手を評価するカテゴリー
「サイト・ユーザビリティ」は、サイト全体が使いやすい構造になっているかどうかを評価するカテゴリー
「メインコンテンツへのアクセス」は、受験生を中心にした大学サイトのターゲットの関心が高いコンテンツにつき、トップページから探しやすいかどうかを評価するカテゴリー
「アクセシビリティ」は、視覚障害者を中心に誰にでもサイトが使いやすいかどうかを評価するカテゴリー
「ブランディング」は、Web サイトをブランドメッセージのサポート媒体として、有効に働かせているかどうかを評価するカテゴリー
「インタラクティブ」は、大学への訪問がしやすいか、大学への問い合わせがしやすいかどうかを評価するカテゴリー
「プライバシーポリシー」は、サイト利用者が提供する個人情報について、サイト運営者(大学)の保護方針を評価するカテゴリー

参考資料

●スコア・ベスト10
スコア・ベスト10
●大学紹介ビデオの掲載率
大学紹介ビデオの掲載率
●SNS への対応状況
SNS への対応状況1 SNS への対応状況2
●スマートフォン向け画面を用意しているサイトの比率
スマートフォン向け画面を用意しているサイトの比率

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