キリンビールが初の1位に躍進、サントリーが僅差の2位に。約7割が「食ブランドの安心イメージ」を気にすると回答
―食の安全・安心ブランド調査2012―
2012年09月21日
日経BPコンサルティング(東京都港区)は、「食の安全・安心ブランド調査」を実施し、2012年9月21日に調査結果報告書を発行・発売した。本調査は、食べ物や飲み物を製造・販売する企業や、外食関連企業・店舗など300ブランドの「安全・安心」イメージを消費者に聞いた。
1位となったのは、昨年の20位から躍進したキリンビール。「認知度」を除く5つの指標が昨年の結果を上回り、初のトップとなった。2位は昨年1位のサントリー。6指標の結果はいずれも昨年と同レベルを維持し、0.1ポイントという僅差でキリンビールに続いた。
また、66.8%が食関連のブランドが持つ「安心」というイメージを気にすると回答。消費者に対して「安心」イメージを伝える事の重要性が明らかになった。
調査は2012年6月27日(水)~7月22日(日)に実施し、22,253人から回答を得た。2012年10月17日(水)に開催する「食の安全・安心ブランド調査セミナー」にて調査結果報告を行う。
企業、商品、流通、外食・中食の主要300ブランドを調査対象として、各ブランドの「認知度」「利用度(どの程度購入/利用しているか)」「イメージ(15項目)」「利用意向度(今後(も)購入/利用したいか)」「推薦意向度(友人・知人に勧めたいか)」「安心度(安心して食べる/購入/利用できるか)」の6指標についてたずねた。その結果から「食の安全・安心ブランドスコア」を算出した(すべて平均50、標準偏差10の偏差値)。
キリンビールが2011年の20位から1位に躍進
6指標中、5指標で昨年を上回る
「食の安全・安心ブランドスコア」トップとなったのは、2011年20位のキリンビール。「認知度」を除く5指標が昨年の結果を上回った。「利用意向度」「推薦意向度」「イメージ」は、10ポイント以上昨年結果を上回る結果となった。30代以下の若年層の評価が上がった点も特徴的。
イメージ項目では「品質管理がしっかりしている」「衛生管理がしっかりしている」が、3ポイント上昇した。「何度か工場見学会に参加した事がある。工場内もとても綺麗でいろいろ説明も聞いて安心できる。(29歳、男性)」「工場見学したことがあり、とても清潔で素晴らしい施設だった(42歳、女性)」など、工場見学という接触ポイントでキリンビールの取り組みを知り、高く評価した回答者からの声も多く寄せられた。
2位は昨年1位のサントリー。6指標の結果はいずれも昨年と同レベルを維持し、0.1ポイントという僅差でキリンビールに続いた。上位20位の顔ぶれをみると、ヱビスビールが14位(2011年:27位)、サッポロビールが15位(同:35位)と、アルコール飲料系のブランドが昨年からスコアを上げてラインクインした。他にも、ヤクルト(6位、2011年:19位)、モスバーガー(10位、同:45位)、セブン-イレブン(11位、同:44位)、ハウス食品(18位、同:29位)などが順位を上げた。
企業、商品、流通、外食・中食の4分野別の「食の安全・安心ブランドスコア」トップは、企業ブランドでは全体ランキングでもトップのキリンビール。商品ブランドは明治ブルガリアヨーグルト(明治)が首位に立ち、昨年1位の伊右衛門(サントリー)を上回った。流通ブランドのセブン-イレブン、外食・中食のモスバーガーは昨年と同様トップとなり、引き続き、強さを見せた。
食品購入時、外食時の重視点トップは「味がよい」(85.2%)
「衛生管理がしっかりしている」(51.6%)が過半数で続く
食品購入時や外食時など、店舗や商品を選択する際に重視することは、当然ともいえるが「味がよい」が突出。「衛生管理がしっかりしている」「割安である」「品質管理がしっかりしている」「原材料にこだわりがある」が5割前後で第2グループを形成。消費者は「味がよく」「割安」であるものを求めつつ、安全・安心であることも期待するということが本調査結果でも明らかになった。
66.8%が「食ブランドの安心イメージ」を気にすると回答
54.1%が外食・中食で提供される食品の原材料を気にする
食品関連の企業、メーカー、商品、スーパー、コンビニエンスストアなどの店舗、外食・中食店のブランドが持つ「安心」というイメージを気にするかどうかを尋ねた結果が図2である。66.8%が「気にする」(非常に気にする+気にする)と回答。「気にしない」(全く気にしない+気にしない)は1割未満にとどまった。毎日口にするものについて、「安心」イメージを伝えることは、そのブランドが受け入れられるために重要かつ必要なことだと言ってよいだろう。
さらに、回答者の54.1%が、外食するお店や惣菜などを持ち帰りする店(中食店)を選ぶ際に、提供する料理や飲み物の原材料について「気にする」(非常に気にする+気にする)と回答。店舗の原材料へのこだわりを、消費者に伝えることも重要と言える。
38.5%が震災・原発事故後に「購入する食品の産地や製造場所を確認」するように
2011年調査と同様に、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故後に、「食」に対する考え方・行動に変化があったかどうかを尋ねた結果が図4である。2011年調査は、2011年6~7月に実施したが、その時と比較して「購入する食品の産地や製造場所を確認」「東北の産品・食品を購入・飲食しない」「汚染を検査している商品やサービスを利用」との回答率が高い。震災後、時間が経つにつれて、放射能汚染に対する不安が高まったことも影響しているのかもしれない。
上述の「食」に対する考え方・行動に変化があったという人に対して、今でも、考え方・行動を続けているかを尋ねたところ、37.5%が「続けているが直後ほど気にしなくなった」、6.1%が「今は続けていない」と回答した。大震災以前の状態にはまだ遠いが、一部の消費者の意識に変化が生まれつつあるようだ。
調査概要
- 調査手法:インターネット調査
- 調査対象:日経BP/日経BPコンサルティング 調査モニター、日経BP社が運営するネットメディア登録者など、約53万人(延べ)
- 有効回答数:22,537件(日本の人口の性・年代の比率に合わせて補正して集計)
- 回答者属性:
・性別:男性50.3%、女性49.7%
・年齢:29歳以下16.1%、30歳代19.9%、40歳代20.0%、50歳代18.0%、60歳代21.1%、70歳以上4.9%。平均年齢46.8歳。
・居住地域:北海道・東北6.9%、関東49.7%、中部13.8%、近畿18.1%、中国・四国5.6%、九州
・沖縄5.8% - 調査対象ブランド:国内の主要な食品関連の企業、商品、店舗など 計300ブランド
- 調査実施期間:2012年6月27日~2012年7月22日
- 調査企画・実施:日経BPコンサルティング