日経BPコンサルティングと電子情報技術産業協会調べ ライフスタイルでは「現実のふれあい」を重視。ネットの利用は進展するが、リアルとのバランスで悩む
―将来のライフスタイル、社会、企業に関する調査―

2012年03月30日

日経BPコンサルティング(東京都港区)と一般社団法人電子情報技術産業協会は共同で、ビジネスパーソンがライフスタイル、社会、企業の3分野でどのような将来像を抱いているかを明らかにする調査を2012年1月に実施した。その結果によると、将来のライフスタイルでは、「現実のふれあい」を重視し、ネットとリアルのバランスを試行錯誤している姿が明らかになった。

調査では、回答者に「出来事や状態」を表現した文章を提示し、「将来はそうなってほしいか」(期待度)と「いつごろまでに実現すると思うか」を尋ねた。提示した「出来事や状態」は、ライフスタイル(25項目)、社会(23項目)、企業(24項目)の合計72項目である。

3分野の主要ポイントは、以下の通り。

ライフスタイルの将来は・・・「現実のふれあい重視」、8割が期待

将来のライフスタイルでは、「現実のふれあい」を重視し、ネットとリアルのバランスを図ろうとする姿勢が明らかになった。

「現実世界のふれあい・体験重視が一般的になる」は、8割以上が期待していた。一方で、「コミュニティサイトで過ごす時間が2倍以上になる」は約3分の2が否定した(図1)。回答者の属性によらず、過度なネット依存に対する強い拒否感がある。自由記述では「ネットとリアルのバランスを求める」との声も上げられた。

また、ネットの利用は好むと好まざるとに関わらず進展し、手段としてのネット活用は着実に進むと見ている。「一般の人のネットでの意見表明が普通になる」や「考えや知識などのネットでの共有が一般的になる」、「ネットを通じて社会活動・貢献が一般的になる」は、いずれも10年以内に実現すると見る人が全体の6割から7割と高い。

このうち、「ネットを通じて社会活動・貢献」は、現在、実現できている人は2割に満たない。しかし今後社会貢献することを期待する人は6割もおり、さらに拡大することが予想される。

ライフスタイルでは、男性と女性で回答の傾向が大きく異なる項目があった。「大家族・多世代家族の比率が2倍に増える」ことを期待する男性は多いが、女性は「血縁を越えた家族形態が珍しくなくなる」を支持している。男性は、かつての家族に憧れを抱き、女性は、血縁を超えた関係を求めているようである。

社会の将来は・・・教育や社会参加の機会均等、行政などの可視化にICTの出番か

将来の社会に対する設問では、そうなってほしいとの期待度が高いものの、10年以内の実現率は低く、あまり実現しないだろうという項目が複数見られた。特に日本の国力に関する項目の多くが、期待はするが実現は難しいとの回答が多かった。日本の社会構造に対する冷めた目線が感じられる。

期待度が高いものの、10年以内の実現度がそれほど高くはない項目の中に、ICTによる課題解決が可能と思われるものがある(図2)。「収入や居住地域によらず、高度な教育や社会活動が可能になる」や「行政の判断基準・プロセスが可視化される」だ。期待度が8割を超える一方で、10年以内の実現率は4割台、3割台にとどまった。ICTへの期待に関する自由記述には、「地方と中央の差の解消が必要である」という回答もあった。

国や行政など公的機関のかかわりを尋ねた「国・自治体が個人の統一IDでサービス提供」や「行政等による、『人が集まる場、仕組み作り』への投資が倍増する」は、「強くそうなってほしい」が全体では3割前後だが、若年層の期待度が4割程度とほかの世代と比べて高かった。行政と人の関係について、実利的なことであれば受け入れるという姿勢が若年層には強い。

企業の将来は・・・企業活動における「顧客志向」や「個人の関与」は強く肯定

企業活動における顧客との関係性重視や個人の影響力拡大に関する項目、例えば「顧客の声や考えの把握、理解が一般的になる」や「顧客と共にサービス・製品開発に取り組む」は、期待度が7~8割、10年以内の実現率も6割台と高かった(図3)。

一方で、マーケティング活動の進化にはもろ手を挙げて賛成できないが、実現するとの見方が強い。「マーケティング活動にソーシャルメディアを活用する」や「個人情報に基づいたマーケティングが普通になる」は、期待する人は半数を超えないものの、10年以内の実現率は6~7割台と高かった。企業のマーケティング活動が進化することについては、年代別で見ると、20歳代が期待度と実現率共に高く、肯定的にとらえている。

身の回りの変化を尋ねる項目の回答を世代別で見ると、40歳代の回答がほかの世代と大きく異なることが多かった。例を挙げると、「日本企業で外国人従業員数が現在の2倍になる」は、回答者全体でも期待しない人が約3割と期待する人をやや上回ったが、中でも40歳代で期待しない(避けたい)人が4割近くあり、ほかの世代よりも多かった。他の項目も含めて、40歳代の回答には保守的、現実的な傾向が見られた。

この調査は、電子情報技術産業協会の次世代IT利活用検討専門委員会が、今後のICTの役割を明らかにする活動の一環として調査した。委員会ではこの調査結果をもとに将来のICTの役割を分析、報告書をまとめる予定。

図1 ライフスタイルに関する期待度と10年以内実現率
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図2 ライフスタイルに関する期待度と10年以内実現率
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図3 企業に関する期待度と10年以内実現率
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調査概要

調査名称 将来の社会に関するアンケート
調査対象
  • 日経BPコンサルティングの調査モニターなどのうちの有職者
  • 事前調査で将来の社会や個人、企業の在り方に関心の高い方を選んだ
調査手法 インターネット調査
調査期間 2012年1月12日から1月24日まで(事前調査と本調査)
有効回答数 500件(20歳代100件、30歳代150件、40歳代150件、50歳代100件)
  • 日経BPコンサルティング
    日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」、「企画・編集」、「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9000万円)
  • 一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA: Japan Electronics and Information Technology Industries Association)
    電子機器、電子部品の健全な生産、貿易及び消費の増進を図ることにより、電子情報技術産業の総合的な発展に資し、我が国経済の発展と文化の興隆に寄与することを目的とした業界団体。

このリリースに関するお問い合わせ

株式会社 日経BPコンサルティング コンサルティング本部 ビジネスコンサルティング部

シニアコンサルタント 松井一郎、佐藤昭彦

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