ランキング1位は大阪府立大学。レベルは全体に向上。ただしトップページの見やすさは年々低下
―「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2011/2012」―

2011年11月28日

ランキング・トップ3校は大阪府立大学(公立)、岡山大学(国立)、電気通信大学(国立)の国公立大学が独占――。過去8回の調査でベスト3を国公立が占めたのは初めてで、独立法人としての意欲の表れかもしれない。また、広島工業大学(私立)、大谷大学(私立)、国学院大学(私立)の3校が新たにベスト10入りした(参考資料:スコア・ベスト10)。
日経BPコンサルティング(東京都港区、戸田雅博社長)は、大学サイトのユーザビリティ(使いやすさ)を評価した「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2011/2012」の結果をまとめた。

今回、国立・公立・私立を合わせて211大学のサイトを調査対象とした。全体の傾向をみると、平均スコアは前回の53.79点から55.68点へと上がっており、大学サイトのユーザビリティは着実に向上している(参考資料:全大学 平均スコアの推移)。

一方で、個々の診断項目のなかにはユーザビリティが悪化している項目もあった。特に今回、目立ったのは「トップページの長さ」である。ページが長くなるとスクロールが必要になり、情報が見渡しづらくなる。このため、ユーザビリティ上は減点の対象となるのだが、トップページの長さは年々、長くなっている。本調査で定めた長さの基準をクリアしていないトップページは、前回の115サイト(57.5%)から、今回は155サイト(73.5%)へと大幅に増えた。

長くなったトップページの構成を見てみると、最初に表示される画面(ファーストビュー)には動きのあるFlashコンテンツや大きなイメージ画像を表示させ、続いてその下にニュース/トピックス欄を掲載する例が多い。特にニュース/トピックス欄は年々、長くなっている。これがトップページを長くしている大きな要因となっている。

イメージ画面やニュース/トピックス欄が目立つ場所を占めるようになってきたため、それ以外の大学情報は探しにくくなってきている。なかには「大学概要」や「入試情報」といった、大学サイトにとって最も重要と思われるリンクまでもがファーストビューに表示されないサイトも散見されるようになってきた。

大学サイトでイメージ作りに注力したい気持ちは分かる。しかし、Webサイトはイメージ以上にコンテンツへの誘導や機能の利便性が重要である。本末転倒の傾向は改める必要がありそうだ。

(橋本 敏彦=日経BPコンサルティング Webコンサルティング部次長)

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  • *調査概要
    Forrester Research Inc.(米国)が開発したサイトのユーザビリティ診断ツール「ウエブサイト・スコアカード」をベースに、日経BPコンサルティングが大学サイトに必要な項目を考慮に入れて、審査基準を作成。審査基準に従い、調査員が実際に大学サイトを閲覧しながら調査した。審査対象ページは、原則としてトップページおよびトップページにリンクのあるページ。調査対象サイトは、全国の国公立大学85校(国立大学68、公立大学17)と私立大学126校。対象サイトは、国立大学、公立大学、私立大学のそれぞれについて、学部学生数の上位大学を中心に、日経BPコンサルティングの判断で独自に選定した。なお、医科大学、歯科大学、薬科大学、獣医大学、畜産大学、保健大学、芸術大学、体育大学などは対象から外した。調査実施期間は2011年9月1日~10月31日。
  • *スコアの算出方法
    各審査項目について、問題がなければ「1」点、問題がある場合には「0」点と採点。65ある審査項目を七つのカテゴリー(診断軸)に分類し、採点後、「トップページ・ユーザビリティ」「サイト・ユーザビリティ」「メインコンテンツへのアクセス」「アクセシビリティ」については、スコアが10点満点となるように、「ブランディング」「インタラクティブ」「プライバシーポリシー」については、スコアが5点満点となるように 重み付けを行った。さらに、「トップページ・ユーザビリティ」「サイト・ユーザビリティ」「メインコンテンツへのアクセス」は、スコアに2を乗じ、「アクセシビリティ」「ブランディング」「インタラクティブ」「プライバシーポリシー」については、スコアに1.6を乗じ、合計100点満点でスコア化した。
  • *カテゴリー(診断軸)について
    ・「トップページ・ユーザビリティ」は、トップページの使い勝手を評価するカテゴリー
    ・「サイト・ユーザビリティ」は、サイト全体が使いやすい構造になっているかどうかを評価するカテゴリー
    ・「メインコンテンツへのアクセス」は、受験生を中心にした大学サイトのターゲットの関心が高いコンテンツにつき、トップページから探しやすいかどうかを評価するカテゴリー
    ・「アクセシビリティ」は、視覚障害者を中心に誰にでもサイトが使いやすいかどうかを評価するカテゴリー
    ・「ブランディング」は、Webサイトをブランドメッセージのサポート媒体として、有効に働かせているかどうかを評価するカテゴリー
    ・「インタラクティブ」は、大学への訪問がしやすいか、大学への問い合わせがしやすいかどうかを評価するカテゴリー
    ・「プライバシーポリシー」は、サイト利用者が提供する個人情報について、サイト運営者(大学)の保護方針を評価するカテゴリー

参考資料

スコア・ベスト10
スコア・ベスト10
全大学 平均スコアの推移
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