スマートフォンの国内普及率は9.5%、20歳代が市場を牽引
―「携帯電話・スマートフォン“個人利用”実態調査2011」を発行―
2011年08月01日
スマートフォン利用者はこの1年で倍増し国内普及率は9.5%、市場を牽引しているのは20歳代――。日経BPコンサルティング(東京都港区)がこのほど実施した「携帯電話・スマートフォン“個人利用”実態調査2011」(報告書を2011年7月26日に発行)で明らかになった。本調査は2000年に開始して以来、12年目で今回が第17回。全130項目に対して全国の男女4400人から回答を得たもの。
携帯電話事業者各社は2010年の秋冬モデル以降、スマートフォンの製品ラインナップを拡充したことで、国内のスマートフォン市場は急速な立ち上がりを見せている。本調査でもその傾向が明らかになった。携帯電話やスマートフォンの所有状況を尋ねたところ「携帯電話(いわゆるフィーチャーフォン)を1台だけ所有」している人は79.0%で、「スマートフォンを1台だけ所有」している人が12.7%だった(図1)。携帯電話またはスマートフォンを複数台所有する、いわゆる「2台持ちユーザー」(2台以上所有している人を呼称)は全体の8.0%存在し、このうち63.4%(全体の5.1%)は少なくともスマートフォンを1台所有しているという結果だった。「2台持ちユーザー」まで含めると、17.8%がスマートフォンを所有している。
本調査では、性別と年代別の組み合わせで均等サンプリングを実施していることから、総務省による人口統計と携帯電話の世帯普及率、調査モニター属性などを考慮して国内の実態に合うように市場規模を補正して算出した。その結果、国内におけるスマートフォン所有率(普及率)は9.5%と推定できた。昨年調査ではスマートフォン所有者が約5%だったことを考えると、この1年で倍増したと言える。
今回の調査でスマートフォン所有者の3分の1は20歳代で、他の年代よりも圧倒的に高い比率だった。スマートフォン市場拡大の原動力は、20歳代の男女のニーズであり、次いで男女ともに30歳代の利用が多い。若手ビジネスパーソン世代に、いわゆる“スマホ女子”や“スマホ男子”が急増していることが、スマートフォン市場の起爆剤となっている。
スマホ効果で “携帯流通マネー”の市場規模は2兆4000億円規模に
スマートフォンの普及によって、デジタルコンテンツ関連の市場も活況を呈している。本調査では、各種コンテンツの利用料金について尋ねている。携帯電話を介したオンラインショッピング/ネットオークション、おサイフケータイを使った買い物や乗り物利用、さらに音楽、電子書籍、ゲーム、動画の各コンテンツについて利用料金を回答してもらった。
これらの回答をもとにして、携帯電話またはスマートフォンを介して流通している金額“携帯流通マネー”にも焦点を当て、年間総額を算出した(各人が支払っている通信料金は対象外)。音楽コンテンツを除く全てのジャンルで市場規模は前年調査より拡大しており、本年から調査項目に加えた「アプリ、ウィジェット」の597億円を加えると、2011年6月時点の携帯流通マネーは2兆3963億円に達すると推定できる(図2)。
総合満足度1位のauと2位NTTドコモは0.2ポイントの僅差
携帯電話通信事業者の顧客満足度にも、スマートフォン普及の影響がジワリ浸透している。今回の調査でも例年と同様、現在使用している携帯電話とスマートフォンの総合的な顧客満足度と、通話機能や料金体系、デザイン、機能、サービスなど28項目についての満足度を聞いている。総合満足度のほか、「通話品質」、「圏外の少なさ(どこでも使える/どこでもつながる)」、「本体価格」、「基本料金・通話料金」、「パケット代」の基本的な5項目についての満足度を指標化し、キャリア(通信事業者)別にレーダーチャートで表した(図3)。主要4社の「総合評価」において、1位はKDDI(au)で19.4ポイント、2位はNTTドコモで19.2ポイントとなり、両社の差は0.2ポイントで僅差だった。しかも、1位のKDDI(au)から4位ソフトバンクモバイルまでが3.0ポイント内にひしめくという状況。近年、総合満足度は上位と下位で差が縮まってきている。なお、イー・モバイルはサンプル数が少なかったため、集計対象外とした。
スマホ総合満足度1位はソフトバンク、「圏外の少なさ」ではドコモが1位
今回の調査では、スマートフォンだけを別項目で調査しているが、ソフトバンクの場合、スマートフォンに関する評価が総合満足度を押し上げた要因となっている。同社のスマートフォンの総合満足度は23.8ポイントと首位であり、2位のNTTドコモの16.9ポイントを6.9ポイント上回った。しかもソフトバンクの場合は、操作性、音楽に関する機能など端末機能に起因する個別項目に対する評価が高かった。
総合満足度のトップ争いを演じるKDDI(au)とNTTドコモの場合は、「通話品質」、「通話圏外の少なさ(どこでも使える/どこでもつながる)」といった、通信機器としての根幹をなす基本性能に対するユーザーからの評価が高い。総合満足度1位のKDDIは「本体価格」への満足度でも1位で、そのほかの主要4項目で2位という安定した評価を獲得した。NTTドコモは、「通信圏外の少なさ」と「通話品質」の2つの項目で評価が1位である。「通話圏外の少なさ」の項目は、スマートフォンに限ってもNTTドコモが28.7ポイントで群を抜いて高く、携帯電話、スマートフォンの生命線ともいえる電波状態に関する満足度でNTTドコモは高い評価を得ている。
ウィルコムは「パケット代」と「基本料金・通話料金」がいずれも1位であり、2位KDDI(au)をそれぞれ10ポイント以上引き離した。ユーザーのランニングコストを低減させるビジネス施策がユーザーに評価された。
- 本調査では、基本的な6項目の満足度のほか端末のデザインや操作感など合計28の満足度評価軸を設定している。携帯電話の利用満足度や利用状況のほか、スマートフォンやモバイルデータ通信端末、3G通信対応タブレット端末の利用状況、Wi-Fi(無線LAN)通信と3G通信の併用状況に加えて、11年3月11日に発生した「東日本大震災」の前後での携帯電話を利用する意識の変化にも焦点を当てている。
調査では、「2台持ち」の内訳として、「主として携帯電話を利用するが、2台目としてスマートフォンも利用」、「主としてスマートフォンを利用するが、2台目として携帯電話も利用」、「スマートフォンの2台持ち」、「携帯電話の2台持ち」――に細分化して尋ねている。
報告書では、各分野別の市場規模の金額も掲載している。
図3 キャリア別総合満足度
利用満足度は、項目ごとに選択肢として「満足」(100点)、「やや満足」(50点)、「普通」(0点)、「やや不満」(-50点)、「不満」(-100点)、「わからない」(算定外)を尋ねた。それぞれの選択肢の回答数と点数の加重平均を満足度ポイントとした。満足度ポイントが高いほど、利用者の評価が高い。
調査概要
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- 調査目的
- 携帯電話・PHS、スマートフォンの利用者(個人契約携帯電話ユーザー)のユーザー像を捉え、携帯電話やPHS、スマートフォンの利用実態と将来のニーズを探る目的で、本調査を企画。2000年7月に初めて実施して以来、2000年11月、2001年3月、2001年7月、2001年11月、2002年3月、2002年9月、2003年3月、2003年10月、2004年3月、2005年2月、2006年5月、2007年6月、2008年6月、2009年6月、2010年6月に続いて今回が17回目となる。
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- 調査方法
- Webアンケート調査 (2006年度までは郵送調査)
※ネットマイルの全国モニターを利用
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- 調査期間
- 2011年6月22日~6月27日
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- 調査対象
- 全国携帯電話ユーザー(PHSを含む)及びスマートフォンユーザー
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- 回収数
- 4400件
※男女ともに15歳以上5歳刻みで11段階(65歳以上は一括)。各段階で200件ずつの合計4400件
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- 調査機関
- 調査企画・設計・分析: 日経BPコンサルティング
※この調査での「スマートフォン」の定義:携帯電話各社が「スマートフォン」と銘打って販売する機種の内、音声通話が可能な機種を示した。スマートフォンは、タッチパネル式キーボードなどを備え、iOS(iPhone)、Android、WindowsMobile、SymbianなどのOSを搭載する、アプリケーションをダウンロードしてインストールできるなど、携帯電話機(フィーチャーフォン)よりも一般的に自由度が高く、高機能。ただし、画面サイズが7インチ以上の、いわゆる「タブレット端末」(iPadやOptimus Pad、Zoomなど)はスマートフォンから除いた。なお、本調査では「タブレット端末(3G通信対応)」についても別途、設問を用意して調査している
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- 発行日
- 2011年7月26日
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- 報告書の形態
- バインダー形式 A4レポート(530ページ)
CD-ROM(通常版には集計データと報告書PDFを収録/ローデータ版には集計データ、報告書PDF、ローデータを収録)
このリリースに関するお問い合わせ
日経BPコンサルティング コンサルティング本部 ビジネスコンサルティング部
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