「節電対策」、「人材不足」が100名以下企業の経営課題、最重要課題8分野を解決できるサービスに大きな商機あり
―「中小企業経営課題実態調査2011」より―

2011年07月22日

従業員数100名以下の中小企業は、「節電対策」、「人材不足」が大きな経営課題となっており、逆に、こうした課題を解決できるサービスに商機がありそうだ。日経BPコンサルティング(東京都港区、戸田雅博社長 http://consult.nikkeibp.co.jp/)が6月に実施した「中小企業経営課題実態調査2011」で明らかになった。

この調査は、従業員数100名以下の中小企業/小規模企業、13業種3,213企業に対し、現在抱える様々な課題を15の大項目、46の中項目、265の小項目に分類し調査し、100名以下の中小企業/小規模企業の現在の事業・業務課題について明らかにしたもの。今回、震災後の影響も併せて調査した。

中小企業/小規模企業にとっては、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の構築やクラウド等の最新サービスを導入する以前に、まず目の前にある課題を解決することが重要となっている。こうした課題を解決できるサービスを提供すれば、受け入れられる可能性が高い。

「一般経費」、「人材開発・教育」など8分野が最重要課題

本調査で対象とした46の中項目の課題のうち、100名以下の企業が共通的に抱える大きな課題は以下の8分野であることが明らかになった。(1)「一般経費(人件費/光熱費/通信費等)」、(2)「人材開発・教育」、(3)「人材採用」、(4)「情報のセキュリティ対策」、(5)「顧客満足度の向上」、(6)「コンプライアンス」、(7)「従業員の業務管理(勤怠管理、給与、福利厚生等)」、(8)「新規顧客獲得」・・・の8分野である。特に、「一般経費」と「人材」に関しては特に大きな課題となっている(図1)。

このうち「一般経費」に関しては、特に「光熱費の削減/消費電力の抑制」が課題として挙げられた。この課題に対して企業が今後取り組みたいことは何かという質問に対しては、クラウド等の新たなサービスの利用よりも「節電対策」が1番で、26.9%の企業がこの項目を選択した。この夏の節電にどう対応したら良いかという現実的な問題が経営に影響を与えていると言えそうだ。

8つの課題において、「人材開発・教育」、「人材採用」が挙がっているように、求める人材を雇用できない点が問題となっており、集約すると「人材不足」が非常に大きな問題となっている点も浮かび上がった。特に障害となっているのが、「対応できる人材がいない」という点である。また採用後も「従業員の仕事に対するモチベーションの向上」が大きな課題となっており、「人材」面の課題を抱えている企業の実に46.3%がこの項目を選択している(図2)。

このほかの特徴として、「コンプライアンス」に関しては、「金融業・保険業」の課題意識が高く、52.6%の企業が課題として抱えている。この課題に対して「従業員の啓蒙・教育」の強化が重要としている企業が過半数となっている。

震災後は「緊急事態時の対策」の必要性が13.0%上昇

中小企業/小規模企業において、震災後に課題としての認識が高まったのは「天変地異・災害等の緊急事態時の対策」である。この項目を課題として挙げた企業は19.5%(図1)だった。この内訳を、震災前と震災後での意識の変化で見てみると、震災後に課題と感じた企業は13.0%(図3)で、震災前の6.5%から13.0%上昇したと見ることができる。

また従業員規模が大きいほど、この課題に対する意識が高く、1~10名の企業では9.2%、51~100名の企業で16.2%で、7ポイントの差がある。また業種では「医療、福祉」の19.7%が早急の対策が必要と感じており、最も高い比率となっている(図3)。「医療、福祉」では、今後の取り組みとして「節電対策」、「停電時対応の構築」の意向も高く、震災の停電などによる医療機器等への影響などから、その必要性を強く感じている受け取れる。

(藤澤 一郎=ビジネスコンサルティング部 シニアコンサルタント)

図1 事業・業務課題(上位20課題)
図1 事業・業務課題(上位20課題)クリックで拡大

:事業・業務課題で25.0%以上の企業が選択している課題
:事業・業務課題の中で重要なものから5つ選択してもらった場合の選択率が10.0%を超える課題
:選択した事業・業務課題の課題のレベルとして「大きな課題である」、「課題である」、「やや課題である」の中で「大きな課題である」を選択した企業が7.0%以上の課題

図2 「人事・教育(人材採用、開発、教育 等)に関する課題」で改善・解決の対象・視点となっている項目>
図2 「人事・教育(人材採用、開発、教育 等)に関する課題」で改善・解決の対象・視点となっている項目クリックで拡大
図3 東日本大震災により「天変地異・災害等の緊急事態」の早期解決・対応・準備が必要と感じた企業
図3 東日本大震災により「天変地異・災害等の緊急事態」の早期解決・対応・準備が必要と感じた企業クリックで拡大

調査概要

「中小企業経営課題実態調査2011」: 本調査は、100名以下の13業種の中小企業/小規模企業3,213社(1~10名:n=1,072、11~30名:n=882、31~50名:n=618、51~100名:n=641)に対し、2011年6月8日~6月15日にWebアンケートにより調査を実施したものである。

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藤澤 一郎

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