JIS Xを基にしたアクセシビリティ診断、中央省庁Webサイトを対象に実施。トップは国税庁サイトの60点、平均は45点─対応は不十分

2011年04月27日

日経BPコンサルティング(東京都港区)は、2011年4月27日、中央省庁が公開する23のWebサイトを対象にアクセシビリティ診断を行い、その結果を発表した。診断項目は、Webアクセシビリティに関する規格「JIS X 8341-3:2010」を参考にした。

クリアした項目数で順位付けしたところ、首位は20項目中12項目をクリアした国税庁サイト。100点満点に換算すると60点である(表1)。23サイトの平均クリア項目数は9.0項目で、100点満点換算で45点であった。JISへの対応度としては、まだ不十分であることが明らかになった。

Webアクセシビリティについては、 WCAG 2.0が2008年12月にW3Cの勧告となり、日本でもWCAG 2.0と国際協調した JIS X 8341-3:2010 が2010年8月20日に公示された。これら指針ではアクセシビリティ達成基準を明確に提示しているため、個々のWebサイトがどの程度アクセシビリティに配慮しているか、診断し、数値で示しやすくなった。

  • WCAG:Web技術の標準化団体であるW3Cが規格化した、Webページのアクセシビリティに関するガイドライン。
    Web Content Accessibility Guidelinesの略記。

ところが、JIS X 8341-3:2010公示から半年以上が過ぎた現在でも、どのサイトがどの程度のアクセシビリティ・レベルにあるのか、評価する動きが見られない。そこで、広く国民のアクセシビリティに配慮すべきサイトとして省庁のサイトを取り上げ、どの程度のアクセシビリティ・レベルなのか調査を行った。

今回、診断した項目数は20。すべてのJISの達成基準(61項目)を網羅しているわけではないが、サイトがどの程度、JISに対応しているかを把握する目安となる。

JISでは「知覚可能に関する原則」「操作可能に関する原則」などのガイドラインを定めている。「知覚可能に関する原則」には、例えば視覚障害者が画像の内容を知ることができるように画像に代替テキストを付ける、といった達成基準が入っている。テキストであれば音声読み上げソフトで内容を知ることができる。今回の診断項目では、これらガイドラインからバランスよく達成基準を選び、診断項目を作成した。

  • 関連サイト
    Webサイト・アクセシビリティ調査診断サービス
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このリリースに関するお問い合わせ

日経BPコンサルティング クロスメディア本部 Webコンサルティング部

橋本 敏彦

Tel.03-6811-8310 Fax.03-5421-9176

〒108-8646 東京都港区白金1-17-3 NBFプラチナタワー

お問い合わせ

(表1)
順位 対象サイト URL クリア
項目数
(20項目中)
点数
(100点満点)
1 国税庁 http://www.nta.go.jp/ 12 60
2 内閣府 http://www.cao.go.jp/ 11 55
2 総務省 http://www.soumu.go.jp/ 11 55
2 外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/ 11 55
2 農林水産省 http://www.maff.go.jp/ 11 55
6 文部科学省 http://www.mext.go.jp/ 10 50
6 観光庁 http://www.mlit.go.jp/kankocho/ 10 50
8 首相官邸 http://www.kantei.go.jp/ 9 45
8 内閣官房 http://www.cas.go.jp/ 9 45
8 消費者庁 http://www.caa.go.jp/ 9 45
8 法務省 http://www.moj.go.jp/ 9 45
8 文化庁 http://www.bunka.go.jp/ 9 45
8 資源エネルギー庁 http://www.enecho.meti.go.jp/ 9 45
8 中小企業庁 http://www.chusho.meti.go.jp/ 9 45
8 国土交通省 http://www.mlit.go.jp/ 9 45
8 環境省 http://www.env.go.jp/ 9 45
17 特許庁 http://www.jpo.go.jp/ 8 40
17 防衛省 http://www.mod.go.jp/ 8 40
19 警察庁 http://www.npa.go.jp/ 7 35
19 経済産業省 http://www.meti.go.jp/ 7 35
19 気象庁 http://www.jma.go.jp/jma/ 7 35
22 財務省 http://www.mof.go.jp/ 6 30
22 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/ 6 30

調査期間

2011年2月28日~3月4日

調査対象の組織

以下の府省が公開するWebサイト(合計23サイト)
首相官邸、内閣官房、内閣府、警察庁、消費者庁、総務省、法務省、外務省、財務省、国税庁、文部科学省、文化庁、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁、国土交通省、観光庁、気象庁、環境省、防衛省

調査対象のページ

診断対象ページは1サイトにつき15ページ。トップページと、同ページにリンクのあるページのなかから、多くの国民が興味を持つと思われるページを日経 BPコンサルティングが独自に選んだ。15ページにわたり診断を進めていくなかで、問題を発見した場合はそこで診断を中止し、該当する達成基準はクリアされていないと判定した。

調査方法

アクセシビリティに関する規格 JIS X 8341-3:2010 で示された達成基準 61項目のなかから 20項目を選び、これらを参考に診断項目を作成した。診断は日経BPコンサルティングの担当者が目視により診断した。

参考にしたJIS X の達成基準

【原則1:知覚可能】 等級
7.1.1.1 非テキストコンテンツに関する達成基準
7.1.3.2 意味のある順序に関する達成基準
7.1.3.3 感覚的な特徴に関する達成基準
7.1.4.1 色の使用に関する達成基準
7.1.4.3 最低限のコントラストに関する達成基準 AA
7.1.4.4 テキストのサイズ変更に関する達成基準 AA
7.1.4.5 画像化された文字に関する達成基準 AA
【原則2:操作可能】 等級
7.2.1.2 フォーカス移動に関する達成基準
7.2.2.2 一時停止,停止及び非表示に関する達成基準
7.2.3.1 3回のせん(閃)光又はいき(閾)値以下に関する達成基準
7.2.4.1 ブロックスキップに関する達成基準
7.2.4.2 ページタイトルに関する達成基準
7.2.4.3 フォーカス順序に関する達成基準
7.2.4.4 文脈におけるリンクの目的に関する達成基準
7.2.4.6 見出し及びラベルに関する達成基準 AA
7.2.4.7 視覚的に認識可能なフォーカスに関する達成基準 AA
【原則3:理解可能】 等級
7.3.1.1 ページの言語に関する達成基準
7.3.2.1 オンフォーカスに関する達成基準
7.3.2.3 一貫したナビゲーションに関する達成基準 AA
7.3.2.4 一貫した識別性に関する達成基準 AA