「Webブランド調査2023-春夏」結果①

企業サイトのリニューアル傾向から見る、情報発信のトレンド

  • ブランド本部 ブランドコミュニケーション部 コンサルタント 池田 梨子

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、3万人以上のネットユーザーが国内500のサイトを評価する「Webブランド調査」の最新版となる「2023-春夏」の結果をまとめた。「Webブランド調査」は、日本国内の主要企業・団体・組織が運営する500のサイトを対象として、Webサイトのリニューアル効果や製品への関心、企業の好感度への影響等を明らかにするもので、「春夏編」は毎年4月、「秋冬編」は10月に調査を実施している。定点調査の結果から、Webサイトを通じた企業の情報発信の内容や伝え方の変化が見えてきた。

調査対象のWebサイトのうち、リニューアルを実施したサイトは約1割

「Webブランド調査」で対象とする500のサイトのうち、前回の「2022-秋冬」から「2023-春夏」の調査の間にトップページをリニューアルしたサイトは48件となっている(図1)。過去5年(「2018-春夏」以降)の調査を振り返っても、毎回概ね1割前後のサイトがリニューアルを実施していることが分かる。なお、「2020-秋冬」の調査時のリニューアル数は66件で、この時は他の回よりもリニューアルのあったサイト数が多い。2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響下で、一般生活者のWebサイトの評価傾向に変化が見られた年である*。Webサイトの見方や使い方の変化に対応するためにリニューアルを実行した企業が多かった可能性がある。

※日経BPコンサルティング調べ「Webブランド調査2020-春夏」ニュースリリース参照
https://consult.nikkeibp.co.jp/info/news/2020/0619wb/

図1 調査対象サイトのリニューアル状況推移

  • ※各調査の実査期間中に対象となるWebサイトを弊社スタッフが目視で確認し、トップページのサイトデザインが前回実査時と比較して全面的に変更となっているものを「リニューアル」と判断している。

「企業理念」「パーパス」の発信を拡充するサイトが増加

コロナ禍を経て、この3年ほどの間にリニューアルされた企業サイトの多くは、「企業理念」「パーパス(社会的存在意義)」の発信を強化しているという共通点がある。「Webブランド調査」では、企業活動訴求の評価を表す「態度変容:企業活動」を評価指標の一つとして設定している。「2023-春夏」調査において、この「態度変容:企業活動」の評価が高かったWebサイトを以下に示した(図2)。首位となった「ユニ・チャーム」は、「Kyo-sei Life Vision 2030」に基づくサステナビリティの取り組みに関する発信が豊富であり、高評価につながったと考えられる。その他の上位サイトも、メインビジュアルで企業理念のメッセージや、社会課題解決への取り組みをコンテンツとして発信しているサイトが多い。また、サイトデザインについても、リニューアルを機に、コーポレートカラーを基調とするなど「企業らしさ」が伝わる表現を取り入れるサイトが多く見られる。

図2 「態度変容:企業活動スコア」ランキング トップ10

今回
順位
前回
順位
サイト名 態度変容:企業活動スコア
2023-春夏
(今回)
前回との
スコア差
1 5 ユニ・チャーム 88.2 3.3
2 2 東芝 81.0 -4.4
3 20 シチズン時計(シチズングループサイト) 79.4 10.3
3 1 トヨタ自動車 79.4 -10.5
5 126 ダイキン工業 78.9 23.7
6 67 デンソー 78.4 18.8
7 2 トヨタ自動車 公式企業サイト 77.9 -7.5
8 67 デンソーテン 76.3 16.7
8 9 Honda 76.3 -2.2
10 91 セイコーグループ 75.3 17.6

商品情報サイトでも「企業姿勢や思い」を伝える

「Webブランド調査」の調査対象サイトには、商品情報サイトも含まれるが、製品・サービスの情報発信が主目的であっても、「企業理念」や「パーパス」と関連づけた情報を発信するサイトが増えつつある。企業の信念、思いにもとづいたビジョン、品質や研究開発の取り組みを発信することで、企業、製品・サービス双方への信頼や好感を得ることを目指していると考えられる。

あらゆるステークホルダーとの接点となるWebサイトは、コーポレートブランディングにおいてますます重要な役割を果たしている。ブランディングにおけるサイトの貢献度を調査で確認しながら、継続的にブラッシュアップを図ることが大切だといえる。

■Webブランド調査について

(URL:https://consult.nikkeibp.co.jp/branding/solutions/web-brand/

調査目的 Webサイトのブランド力を測定し、企業や団体のWebにおけるブランドコミュニケーション戦略の成果を定点観測する
調査手法 インターネット調査
調査対象 全国、20歳以上のインターネット・ユーザー
(日経BPコンサルティングの提携調査会社の調査モニター)
有効回答数 35,784件
調査対象ブランド 企業や団体が運営する日本の主要500サイト
調査実施期間 2023年4月11日(火)~2023年4月20日(木)
※半年ごとに年2回実施(春夏:4月、秋冬:10月)
調査企画・実施 日経BPコンサルティング

ブランド本部 ブランドコミュニケーション部 コンサルタント
池田 梨子(いけだ・りこ)

Webサイト評価調査「Webブランド調査」を担当するほか、各種ブランド調査やメッセージ制作などのブランディング支援に従事。周年事業センターのコンサルタントとして周年事業の支援も行う。2016年3月、日経BPコンサルティング入社。

 

※このプロフィールは、掲載時点のものです。最新のものとは異なる場合があります。

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