地球規模でのさまざまな社会課題に対する懸念が高まる中、企業が今後も長期にわたり持続的な成長を続けるためには、E=環境(Environment)、S=社会(Social)、G=ガバナンス(Governance)の3つの観点が必要という考え方が、ESGです。
Eの環境については、地球規模の気候変動が大きな要因として存在します。産業革命以降大量に排出され続けたCO2により、地球温暖化とそれに伴うさまざまな気候変動を引き起こしていると指摘されています。国連などの機関で議論が重ねられた結果、放置すると世界経済の持続的成長を保つことは難しく、資本主義や金融市場の存続にとって大きなリスクになると判断されたことから、企業の環境問題への配慮が重視されています。
Sの社会においては、とくに発展途上国における児童労働・奴隷労働などビジネス上の人権問題が注視されています。企業には、自社だけにとどまらず、原料調達先も含めたサプライチェーン全体に責任を持つことが求められています。
Gは、経営の独立性を筆頭に、腐敗問題、ダイバーシティ推進などコーポレートガバナンスにしっかり取り組んでいるか、企業の姿勢が問われています。
企業の責任をあらゆるステークホルダーが注視
資本主義のひずみから生み出されたグローバルの諸課題を解決する責任は、企業にこそあると投資家たちは考えました。そこで、企業の本業におけるESG課題への取り組みから、企業価値を評価し、投資していこうという動きが出てきたのです。逆の見方をすれば、企業が投資家に評価されるためには、この3つの観点に沿った施策がもはや不可欠です。
企業がESG課題に取り組み、情報開示をすることは、環境や人権といった諸課題の解決に加えて、自社の価値を向上させ、サステナビリティを実現するためにも欠かせないものになってきています。