垂直記録とビッグデータ
豊かな文明を築いた日本の独創技術
- 岩崎俊一 著
- B6変
- 164ページ
- 価格:1,650円(税込み)
- ISBN:978-4-864431-14-9
- 発行元:日経BPコンサルティング
- 発行日:2016/12/02
内容紹介
情報通信技術の発展によって生まれたビッグデータ革命が、医療、気象、災害、企業経営など、社会のあらゆる課題を解決し、豊かな文明を切り開いている。
それを支えているのが高密度で安価にデータを蓄積できる垂直磁気記録技術である。
著者は垂直記録を発明しそれを自ら実証して理論を固めた。
また、産業界と連携して垂直記録装置(ハードディスク補助記憶装置、HDDなど)の実用化に向けてリーダーシップを発揮した。
垂直記録方式の発明と要素技術を確立してから間もなく、従来技術の面内(水平)記録が改良され、垂直記録は死の谷に陥った。
その際、国際会議を精力的に開催して垂直記録の研究開発を産業界と推進するとともに、「技術革新の40年則」「技術発展の20年則」を見いだし、従来技術から垂直記録に移行することを確信し続けた。
実際に、従来技術の限界が見え垂直記録の実用化が始まると、わずか数年でHDDの記録技術は全て垂直記録に切り替わった。
著者の垂直記録に関する功績は、日本発の産学連携によるイノベーションの成功例として、学術界、産業界、地域を問わず海外からもたたえられている。
著者は本書で、研究開発やイノベーションの神髄は、豊かな文明を築くこと「Quality of Society」であり、その過程は学術と社会の間で、創造、展開、統合を展開するモデルが今後重要になると主張している。
著者が垂直記録に関する書籍(単行本)を執筆したのは本書が初めてで、著者の垂直記録に対する取り組みを通して、日本再生の研究開発とは何なのか、その指針を読み取ることができる。
目次
豊かなソサエティー(社会)のために(はじめに)
本書に贈る言葉 江崎玲於奈
第1章 ITの使い方で豊かな文明が生まれた
第2章 面内(水平)記録方式を極めた
第3章 自然の理から発明した垂直磁気記録方式
第4章 死の谷を克服
第5章 機は熟した
第6章 豊かな文明への道筋
第7章 大学経営におけるイノベーション
若い人たちに向けて(あとがき)
本書の出版にあたって