デジタルマーケティングの意識調査 Part-3

調査対象の4社に1社がデジマを実施 6割超が投資額増やすもKPI設定に課題

2015.11.17

コンテンツマーケティング

査対象の4社に1社がデジマを実施 6割超が投資額増やすもKPI設定に課題
マーケティングを展開するうえで、従来のマーケティング手法が効きにくくなっているという感覚は、マーケターよりも営業担当者の方が強い危機感を持っているという調査結果を、前回に紹介しました。今回は、マーケティング業務への取り組みの実態や方針、効果測定についての結果をまとめます。

デジタル・マーケティングへの取り組み拡大の兆し

勤務先がデジタル・マーケティングに取り組んでいるという回答は全体の25.1%でした。つまり回答企業の四分の一なわけです。みなさんの感覚と比べていかがでしょうか。

勤務先での、デジタル・マーケティングへの取り組みの有無
デジマ「既に実施中」は3割以下だが、「取り組み予定」が約5割
勤務先での、デジタル・マーケティングへの取り組みの有無

今回の調査は、BtoBのデジタル・マーケティングについて質問していることもあって、取り組んでいる企業は意外に多いんだなあ、という感想を持たれた方もいらっしゃるでしょう。一方、BtoBこそデジタル・マーケティングが功を奏する、と思っている方からすると、少ないとお感じになったかもしれません。しかし、今後は取り組みが進む可能性が高いと言えます。現在取り組んでいない企業の約四分の三が、デジタル・マーケティングへの取り組みに強い関心を持っていることがわかったからです。

この調査からは、デジタル・マーケティングについて、「現在」すでに取り組んでいる、という企業が四分の一あったことがわかりました。そして、「今後取り組む予定」という企業が20.4%で、「取り組むかどうか検討中」(27.9%)と合わせると48.3%に達し、デジタル・マーケティングに「現在取り組んでいない企業」の中では、約四分の三がデジタル・マーケティングへの取り組みに強い関心を持っていることがわかりました。

さらに、デジタル・マーケティングへの取り組みは、急速に進む可能性もあります。今回の調査結果からは、その兆しを裏付けるデータが得られました。勤務先のデジタル・マーケティングに対する投資額は、3年前と比較して「増加した」という回答が全体の63.1%にも達したからです。調査結果からは、マーケターや、マーケティング関連部署における、デジタル・マーケティングへの熱い想いが感じられます。

勤務先での、デジタル・マーケティングへの投資額の変化(3年前との比較)
デジマへの投資額は、3年前に比べて「増加」が6割以上
勤務先での、デジタル・マーケティングへの投資額の変化(3年前との比較)

KPI、KGIは7割が設定しているものの・・・

ではデジタル・マーケティングの推進において、どのようなポイントに着目しているのか。設定している目標指標、つまり、KPI(=Key Performance Indicators)やKGI(=Key Goal Indicators)の設定実態を尋ねました。

現在すでにデジタル・マーケティングに取り組んでいる企業では、69.3%が、KPIやKGIを設定していました。

設定しているKPI、KGIの内容は、「受注件数」が最も多く、41.5%で、「受注金額」(38.1%)が続きました。Webサイトのページビュー数やユニークブラウザ数という回答は3番目に多く、34.7%でしたが、実需たる受注件数や金額を目標に置いているほうが多い結果となりました。

デジタル・マーケティングの最終的な成果として、受注件数や金額を目標にすることは正しいと思います。しかし、マーケティング部門が生み出したリードを営業部門に渡しても、本当に受注に結びついたかどうかを追跡できない、という声を良く聞く現状にあって、このKPI、KGIが適切なのかどうかには、ちょっと首をかしげたくなります。

当面の目標として設定すべきゴールは、「マーケティングリードのうち、営業対象になる営業リード数」ではないでしょうか。18.2%が、営業対象となるリード数をKPIまたはKGIとしていると回答していました。このゴールを達成するための中間目標のひとつが、「自社サイトで獲得したマーケティングリード数」でしょう。マーケティングリード数をKPIあるいはKGIとして認識しているという回答は19.3%でした。自社サイトのページビューやユニークブラウザ数は、サイト全体の来訪者をマーケティングリードへ育てていくための、ベースとなる指標ではないでしょうか。

ターゲットとなる来訪者を自社サイトへ集客できるかどうか、MQL(=Marketing Qualified Lead)という呼び方をされる、マーケティングリードへいかに育成していくか、そのうえで営業側が実際の対象とするSQL(=Sales Qualified Lead)をどれだけ作り出せるかが、マーケティング部門の目標、ゴールになるはずです。SQLが作り出されたあとは、営業の手腕次第でどのようなビジネスになるかが決まります。

ですから、受注件数、受注金額だけを目標指標としてしまっては、マーケティング部門の働きを正確には示せないことになりかねません。

デジタル・マーケティング「実施中」の場合のKPI・KGI設定(現在、今後)
KPI、KGI見直しの傾向、受注件数・金額重視からリード獲得重視へ
デジタル・マーケティング「実施中」の場合のKPI・KGI設定(現在、今後)

現に、デジタル・マーケティングに取り組んでいる企業では、今後目標指標としたいKPI、KGIについて、MQLやSQLの比率が上昇し、受注件数や金額の比率が低下しているという結果も出ています。

逆に、まだデジタル・マーケティングに取り組んでいない企業では、やはり受注件数や金額をKPI、KGIとして重視しているようです。

今後はSQL、MQLを指標として見る傾向が高まっていくのでしょうか。目的を明確にしてゴールを設定し、努力の結果を的確に測定できるKPIを決めていくことの重要性が改めて感じられる結果となりました。

デジタル・マーケティング「検討中」の場合のKPI・KGI設定(今後)
デジマ未実施社は、リード数よりも受注件数、PV・UB数に着目
デジタル・マーケティング「検討中」の場合のKPI・KGI設定(今後)

このアンケート調査は、企業等におけるデジタル・マーケティングやコンテンツマーケティングへの取組状況を明らかにする目的で、マーケティング職のほか非マーケティング職で経営や営業、その他部門の勤務者を含む企業等におけるマーケティング活動の関与者を対象に、日経BPコンサルティングが企画し、実施したものです。2015年9月28日~30日に、700人から回答を得ました。

連載:デジタルマーケティングの意識調査

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