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サバイバル分析経営者の誤解(6)

オープンイノベーション後編―“化学反応”を誘発する「ハブ」の力

  • 日経BP総研 クリーンテック研究所 河井保博所長
    文=菅野和利
  • 2018年02月05日
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オープンイノベーション後編―“化学反応”を誘発する「ハブ」の力

前編では、自社で変化に対応できる自信があるものの、外部と連携できない日本企業のギャップを紹介した。自前主義にとらわれると開発に時間がかかり、市場環境が急変する中では命取りになりかねない。どうするべきか。やはり開くべきところは開いて自社の情報を開示し、異分野のプレーヤーや自社にない強みを持つ企業と連携する。後編では、オープンイノベーションを始めるためのヒントと、プロジェクトを進める際に生じやすい誤解を紹介したい。

会社を“開く”意識が大前提

いきなり「オープンイノベーションを始めましょう」と言っても何から取り組めばいいか困惑する。まずはニーズ、もしくは根幹となる素材や技術を基に事業を考える必要がある。

その支援策として、日経BPのシンクタンクである日経BP総研では「リアル開発会議」を開催している。これは「新事業の創出と異業種連携の推進を目指す会員制コミュニティー」で、日経BP総研が開発テーマを提案し、その呼びかけに集まった企業・団体と解決策をともに考える場である。

  • 100kg可搬ドローンのイメージ
    100kg可搬ドローンのイメージ ※『リアル開発会議 2017 Summer』(日経BP社発行)P10から引用
  • 「最近の例の一つに『100kg可搬ドローン』というプロジェクトがある。100kgを超えるような荷物を運べるドローンを活用したビジネスを考えるプロジェクトだ。研究所でテーマを提供して参加企業を公募したところ、林業に携わる企業から応募があった。伐採した木を山の上からドローンで運べないかというニーズが掘り起こされた」(河井氏)

    現在、ICT企業などを交えて、伐採現場を視察して会議を行い、解決策を検討している。明確なニーズからオープンイノベーションを進めれば、課題解決のためのプレーヤーが集まりやすい。

素材や技術を起点に新事業を模索するケースもある。一例が「スーパー非焼成セラミックス」の活用法を考えるプロジェクト。このスーパー非焼成セラミックスは、常温下で水と混ぜ合わせるだけで、1300度に耐える高硬度の固体になる。焼成不要な上に、金属や木材、プラスチックと接着もできる。こんな素材を目にすれば、建設や住宅の分野でなくても用途を考えたくなる。

オープンな“ハブ”になる

「リアル開発会議において異業種のパートナーが集まったとして、単に参加しているだけでは得るものは少ない。とりわけ問題なのが、自社の知見や技術についての情報を開示せずに、情報を得ることに重きを置いてしまうことだ」と河井所長は言う。ここにオープンイノべーションを進める上で誤解しやすいポイントがある。

「ノウハウを漏らしたくない」「自社の知財だから」などとして、情報を出さないケースは極めて多い。しかし、連携して事業を生み出そうという場で、自社の情報はできるだけ出したくないという姿勢では、実るものも実らない。成功するところは自ら“ハブ”となり、周囲にどんどん情報を提供することで、必要なパートナーを集める。自社にはない強みを持つプレイヤーと“化学反応”を起こし、他社にはない価値を早く生み出す。そのためにも会社を“開く”、つまり積極的に情報を開示していく姿勢で臨まなければ、パートナーからもアイデアや情報は得られない。

自社が周年のタイミングなら、オープンイノベーションを始めるチャンスだ。周年事業では中長期的な視点が求められる。自社の意識をがらりと変える機会にできるかもしれない。たとえ自社の意識変革に時間がかかったとしても、今始めれば他社よりも早くオープンイノベーションに取り組める。長年続いている企業こそ、周年のタイミングはオープンイノベーションに取り組む好機である。

「リアル開発会議」の詳細はこちら

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  • 2018年02月05日
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