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企業研究世界最古の企業、金剛組。その「これまで」と「これから」

人材と技の力を守りながら未来に挑む

  • 金剛組代表取締役社長 刀根健一社長
    聞き手=内野侑美/文=二階堂尚
  • 2018年01月22日
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長寿企業であり続けるための工夫と努力

──金剛組の歴史を引き継いでいくために必要なことは何でしょうか。

刀根:人材と技の力を守っていく。それが何より大切だと思います。金剛組が手掛ける神社仏閣はこれからも長く残っていくものなので、その補修や再建は歴史的記録になります。ですから、妥協や手抜きは一切できません。専属宮大工をはじめ、職人たちは自分たちの技に誇りを持っているし、毎日のようにかんなを磨くなど努力も怠りません。また、職人同士の結びつきも非常に強固です。このような伝統をいかに守っていくか。それが大きな課題だと思います。

──金剛組の歴史を守ることが日本の伝統建築や文化財を守ることになると言えそうですね。

刀根:もちろん、単に伝統を守るだけでなく、時代に合ったビジネスのやり方も同時に考えていかなければなりません。現在取り組んでいるのが、髙松建設とのコラボレーションです。寺社の新築や改修は、基本的に檀家さんや氏子さんなどからの寄付金によって賄われますが、年々人数が減少しており運営の厳しい社寺も多くあります。十分な寄付が集まらなければ、建物を建てたり維持したりすることはできないわけです。そのような資金面での問題を解決するために、寺社の境内地や遊休地の有効利用してマンション等を建て、その収益で寺社の存続を資金的に支えるという「お役立ち」を目的とした「コラボ営業」にも取り組み始めました。

──日本の人口が減っていく中では、確かにそのような新しい取り組みが必要になりそうです。

刀根:人の数が減っている一方で、葬式を行わず、墓も持たないといった「宗教離れ」は進んでいるようですが、人の心のよりどころである神社仏閣がなくなることは絶対にありえないと思っています。私たちはその価値を守るための努力をしていかなければならないでしょう。伝統の技や宮大工のつながりを大切にしながら、新しいビジネスのあり方を考え続けること。それがこれからの時代はますます重要になるでしょうね。

左)奈良・四天王寺/ 右)那智山青岸渡寺三重塔。
左)日本仏法初の官寺、奈良・四天王寺。593年の創建時から金堂はじめ境内の建築を金剛組が請け負う。
右)和歌山県・那智の滝を拝むスポットに立つ那智山青岸渡寺三重塔。昭和46年に新築工事を行った。
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  • 2018年01月22日
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