日経BPコンサルティング調べ 「大学ブランド・イメージ調査 2025-2026」

城西大学、鎌倉女子大学などでランキングが大幅に上昇
中国・四国では山口大学が初のTOP3入りを果たす

2025年11月19日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、今回で19年目になる「大学ブランド・イメージ調査(2025-2026)」の結果をまとめ、11月19日に調査報告書を発行・発売した(調査実施は2025年7~8月)。
本調査では全国9エリア460大学について各大学の認知やブランド・イメージなどを尋ね、大学ブランド総合力を算出し全国9エリアごとのランキングを作成した。

調査結果のポイント

  • 9エリアそれぞれの第1位は前回と変わらず、各エリアの国立大学が不動の地位を維持

  • 5つのエリアでTOP3に変動。山口大学は中国・四国エリアで初のTOP3入り

  • 「ランキング上昇大学」に、城西大学や鎌倉女子大学など

調査結果データ

エリア別大学ブランド総合力TOP3の動向

調査対象全9エリアそれぞれの大学ブランド総合力ランキング第1位は、前回と同様の大学が獲得した(表1参照)。直近3年間この構図に変化はなく、各エリアTOP大学のブランド力は盤石といえる。一方、TOP3の顔ぶれに変動があるエリアもみられる。

【東北エリア】
東北学院大学が前回第3位から第2位に順位を上げ、大学ブランド総合力スコアも前回から3.1ポイント上昇。また、山形大学も前回第5位から第3位に順位を上げ、スコアは2.8ポイント上昇している。東北学院大学は2023年に五橋キャンパスを開設し、都市型キャンパスへの移行を完了。これに伴う教育・研究環境の刷新や、地域連携を強化した広報活動が、ステークホルダーからの評価を高めたと推察される。山形大学の上昇は、地域に根差した研究活動や広報が奏功した結果と考えられる。

【北関東エリア】
前回第4位の宇都宮大学は、大学ブランド総合力スコアが4.2ポイントと大きく上昇。第3位にランクアップ。同大学は地域の産業界と連携したデータサイエンスやDX(デジタルトランスフォーメーション)人材育成に関する取り組みを強化しており、これが企業活動に直結する「先端分野の研究力」や「有能な人材の輩出」といったイメージを向上させた環境要因と推測される。

【北陸・東海エリア】
南山大学が7年ぶりに第2位に返り咲いた。同大学では、名古屋市を中心とした地域社会との連携プロジェクトや、地域課題に取り組む学生の活動(南山チャレンジプロジェクト)などが注目されている。今回調査の6因子分析(※1)では「上品・誠実」「地域貢献」といった因子スコアが上昇しており、これらが寄与したと考えられる。

【近畿エリア】
京都大学、大阪大学が引き続き首位争いを展開する中、前回第4位の神戸大学が第3位に浮上している。同大学は学術的な伝統と同時に、グローバルな視点を取り入れた教育改革や、デジタルコミュニケーションを駆使したブランド発信を強化している。これが、関西経済圏のステークホルダーに対し、改めて同大学の「伝統」と「革新性」を印象づける結果につながったと考えられる。

【中国・四国エリア】
山口大学は2021年調査から毎回順位を上昇させ今回初のTOP3入りを果たす。同大学は地元自治体・企業との連携を積極化するため、全学的な地域連携活動の窓口および司令塔となる組織として「地域未来創生センター」を設置。山口県内外の課題解決に直結する研究・実践を推進してきた。このような 地域とともに学ぶ大学イメージが、「地域貢献」「躍動感」「創造力」因子の上昇につながったと推察される。

(※1)6因子分析・・・36項目のイメージを因子分析によって、「一流」「躍動感」「創造力」「グローバル」「地域貢献」「上品・誠実」に分類し、それぞれを構成するイメージ項目の獲得割合をまとめ偏差値化した。

順位が大きく上昇した大学とその背景

各エリアのノミネート大学数に対して顕著にランキングが上昇した19大学を選出した(表2)。最も大きく上昇したのは城西大学(首都圏エリア)で23ランク向上した(93位から70位)。城西大学は、地域企業とのPBL(課題解決型学習)や地域に根ざしたプロジェクト活動を実施し、「大学が地域で何をしているか」を明確に発信。同時にSNSや動画を活用した学生の活動紹介にも注力している。また、2025年度から理学部に情報数理学科を開設し社会的ニーズに応える新学科として大学の「躍動感」「創造力」といったイメージの向上に寄与したと考えられる。

次に大きな上昇を果たしたのは、前回から22ランクアップした鎌倉女子大学(首都圏エリア)。同大学では、2029年に「鎌倉大学」(仮称)へ名称変更し、男女共学化することを発表している。女子大学の共学化は、少子化と女子大学の定員割れが進む現状に対する経営戦略として注目を集め、大学の将来性や変革への意欲がステークホルダーに伝わった結果と考えられる。また、地域・企業・行政と連携し、子育て支援や食育、資源循環などの課題解決型プロジェクトを展開。学びを社会実践と結びつけ、地域と共創する教育・研究を推進している。このような取り組みなどが奏功し、前回調査から認知率は5%増、「上品・誠実」因子は4.3ポイント増と特徴ある大学ブランドとして確立しつつある。

本調査では、大学ブランド総合力を算出するためのイメージ項目以外にも、大学の「認知率」や、口コミなどに影響される「入学推薦率」「採用意向率」などロイヤルティに関わる結果を客観的評価としてまとめている。大学ブランドの浸透度合いに合わせた戦略的なコミュニケーション活動に、ぜひ役立てていただきたい。

表1:大学ブランド総合力ランキングエリア別TOP3(ビジネスパーソンベース) 【北海道】(14校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 78.5 北海道大学 国立 北海道 1位 ▲ 2.4
2位 53.5 小樽商科大学 国立 北海道 2位 ▲ 1.3
3位 53.2 北海道教育大学 国立 北海道 3位 1.6
【東北】(38校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 88.8 東北大学 国立 宮城県 1位 ▲ 3.9
2位 60.7 東北学院大学 私立 宮城県 3位 3.1
3位 59.6 山形大学 国立 山形県 5位 2.8
【北関東】(20校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 82.2 筑波大学 国立 茨城県 1位 0.5
2位 57.4 群馬大学 国立 群馬県 2位 ▲ 1.5
3位 57.0 宇都宮大学 国立 栃木県 4位 4.2
【甲信越】(22校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 78.8 信州大学 国立 長野県 1位 1.1
2位 68.0 新潟大学 国立 新潟県 2位 ▲ 2.8
3位 59.0 長岡技術科学大学 国立 新潟県 3位 3.4
【首都圏】(121校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 86.9 東京大学 国立 東京都 1位 ▲ 3.2
2位 84.7 早稲田大学 私立 東京都 2位 1.2
3位 78.7 慶應義塾大学 私立 東京都 3位 ▲ 2.8
【北陸・東海】(65校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 90.9 名古屋大学 国立 愛知県 1位 1.9
2位 69.0 南山大学 私立 愛知県 3位 0.5
3位 66.9 金沢大学 国立 石川県 2位 ▲ 1.8
【近畿】(67校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 86.9 京都大学 国立 京都府 1位 ▲ 5.5
2位 73.3 大阪大学 国立 大阪府 2位 ▲ 2.8
3位 71.6 神戸大学 国立 兵庫県 4位 5.2
【中国・四国】(60校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 96.4 広島大学 国立 広島県 1位 6.9
2位 80.2 岡山大学 国立 岡山県 2位 ▲ 3.3
3位 61.2 山口大学 国立 山口県 4位 2.0
【九州・沖縄・山口】(55校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 92.3 九州大学 国立 福岡県 1位 5.0
2位 72.3 熊本大学 国立 熊本県 2位 ▲ 1.0
3位 67.6 福岡大学 私立 福岡県 3位 ▲ 1.6
表2:大学ブランド総合力ランキング上昇大学(ビジネスパーソンベース) 各エリアで顕著にランキングが上昇した大学を選定。
エリア
()内はノミネート校数
大学種別 所在地 大学名 大学ブランド
総合力ランキング
今回 前回 上昇
ランク
北海道(14校) 私立 北海道 札幌大学 8位 11位 3ランク
東北(38校) 私立 宮城県 尚絅学院大学 27位 34位 7ランク
私立 福島県 医療創生大学 31位 38位 7ランク
北関東(20校) 私立 茨城県 茨城キリスト教大学 9位 16位 7ランク
甲信越(22校) 公立 新潟県 新潟県立大学 7位 13位 6ランク
首都圏(121校) 私立 埼玉県 城西大学 70位 93位 23ランク
私立 神奈川県 鎌倉女子大学 70位 92位 22ランク
私立 千葉県 聖徳大学 91位 110位 19ランク
私立 埼玉県 文教大学 70位 85位 15ランク
北陸・東海(65校) 公立 富山県 富山県立大学 34位 48位 14ランク
私立 愛知県 名古屋経済大学 29位 38位 9ランク
私立 岐阜県 岐阜聖徳学園大学 48位 57位 9ランク
近畿(67校) 私立 大阪府 大阪学院大学 39位 50位 11ランク
私立 大阪府 梅花女子大学 31位 42位 11ランク
中国・四国(60校) 私立 岡山県 岡山学院大学 33位 47位 14ランク
私立 岡山県 倉敷芸術科学大学 32位 44位 12ランク
私立 岡山県 中国学園大学 49位 59位 10ランク
九州・沖縄・山口(55校) 私立 福岡県 九州国際大学 22位 32位 10ランク
私立 福岡県 日本経済大学 29位 38位 9ランク

※「九州・沖縄・山口」には 山口大学と下関市立大学がノミネートされている。

「大学ブランド・イメージ調査2025-2026」調査概要
【東日本編】【首都圏編】【北陸・東海編】【近畿編】【中国・四国編】【九州・沖縄・山口編】

全国の主要大学計460校(医科大学や体育大学、短期大学などは除外)の「大学ブランド総合力」算出を目的としたインターネット調査。
日経BPコンサルティングの提携先調査機関の調査モニターを中心に、同エリアに居住し、仕事をしている方(ビジネスパーソン)や、中学生以上の子どもがいる保護者、教育関連従事者に回答を依頼。「地域産業への貢献度」や「研究施設の充実度」、また学生の「語学力」や「コミュニケーション能力の高さ」など大学や学生へのブランド・イメージ36項目を測定。それらから大学ブランド総合力(偏差値)を算出してランキング化した。調査設計や分析にあたり、企業ブランドおよび製品/サービスブランドの調査で実績のある「ブランド・ジャパン」で培ったノウハウを活用。調査するイメージ項目を洗い出した。
調査期間は2025年7月17日~8月19日、9エリア全体の有効回答者数は52、679人。2025年11月19日にエリアごとの調査報告書を発行・発売した。

(本リリースのURL:https://consult.nikkeibp.co.jp/info/news/2025/1119ubj

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このリリース/報告書に関するお問い合わせ先

日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部
伊藤 憲

〒105-8308 東京都港区虎ノ門4-3-12

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