日経BPコンサルティング調べ「大学ブランド・イメージ調査 2024-2025」(2024年7~8月実施)

京都先端科学大学のほか、大阪経済大学、下関市立大学、尚絅大学などでランキングが上昇

2024年11月20日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、今回で18年目になる「大学ブランド・イメージ調査(2024-2025)」の結果をまとめ、11月20日に調査報告書を発行・発売した(調査実施は2024年7~8月)。
本調査では全国9地域459大学について各大学の認知やブランド・イメージなどを尋ね、大学ブランド総合力を算出し全国9地域ごとのランキングを作成した。

調査結果のポイント

  • 9地域それぞれの第1位は、前回と変わらず

  • 「首都圏編」「東北編」でTOP3に変動。早稲田大学、岩手大学が第2位に

  • 「「ランキング上昇大学」に、京都先端科学大学や、学部新設大学(大阪経済大学、下関市立大学、尚絅大学)など

調査結果データ

大学ブランド総合力TOP3では「首都圏編(早稲田大学)」「東北編(岩手大学)」で変動あり

9地域それぞれの大学ブランド総合力ランキング第1位は、前回と同様となった(表1参照)。今回各地域のTOP3で変動が見られた地域は「東北編」「首都圏編」の2地域だった。

「首都圏編」では、早稲田大学が前回第3位から1ランクアップし第2位を獲得した。前回第2位の慶應義塾大学は今回第3位となっているが、この2大学は当調査開始以来、第2位の座を競い合っており、直近10年では慶應義塾大学が6回、早稲田大学が4回第2位となっている。今回、早稲田大学のブランド総合力は83.5ポイントで前回から4.5ポイント上昇した。一方で、慶應義塾大学は0.7ポイントの上昇にとどまり、ランキングが逆転している。早稲田大学は「好感」「一流感」「創造力がある」といったイメージが大きく上昇しており、6因子分析(※1)でも全ての因子が上昇した。特に「グローバル」因子については、因子分析を開始して以降、60ポイント前後を推移してきたものの、今回65.7ポイントと初めて慶應義塾大学(63.1ポイント)を上回った。

早稲田大学では2032年の創立150周年に向けた中長期計画として「Waseda Vision 150」を策定している。この計画には13の核心戦略があり、そのうち2つの戦略がグローバル関係となっている(「グローバルリーダー育成のための教育体系の再構築」「世界のWASEDAとしての国際展開」)。今回の「グローバル」因子の上昇は、これらの取り組みが奏功している結果ではないだろうか。

「東北編」では、前回第4位の岩手大学が2ランクアップし第2位に上昇。2019-2020以来5年ぶりにこのポジションに返り咲いた。また、「知名度」「勉強・研究に熱心」といったイメージのスコア、大学のブランドロイヤルティに関連する「入学推薦率」「採用意向率」のスコアがそれぞれ上昇した。特に「入学推薦率」については、7.1ポイント上昇しており、これは「東北編」では最も上昇。全459校の中でも2番目となった。

岩手大学は、2025年4月に獣医学部を新設する。東北地域で盛んな畜産・酪農産業に貢献する人材の育成は、地域ニーズを汲み取った取り組みといえる。また、同時に理工学部、農学部の改組により、データサイエンスやライフサイエンスといった今後社会的ニーズの高まるであろう人材の育成・輩出を目指す姿勢がステークホルダーに伝わっていると考えられる。その他、猫のマーキングによる悪臭に関する研究も話題となり、一般にも興味を惹いたことで、大学や研究に対する親近感も醸成されたようだ。

(※1)6因子分析・・・36項目のイメージを因子分析によって、「一流」「躍動感」「創造力」「グローバル」「地域貢献」「上品・誠実」に分類し、それぞれを構成するイメージ項目の獲得割合をまとめ偏差値化した。

「ランキング上昇大学」に、京都先端科学大学や、学部を新設した大学など

各地域のノミネート大学数に対して顕著にランキングが上昇した17大学を選出した(表2)。最も大きな上昇は京都先端科学大学(近畿編)で18ランク上昇している。京都先端科学大学では2019年の名称変更後、若干のランク上昇は見られたものの、前回は50位台にとどまっており、なかなか大学の魅力や特徴が伝わり切れていない様子がうかがえた。しかし、今回調査では38位まで上昇しており、6因子では「創造力」が11位と高い評価を得ている。給付型奨学金の新設などの取り組みや、技術者の育成・輩出に積極的な大学という認識の高まりが、支持を集めたと考えられる。

また、学部を新設した大学でランキングが上昇した例があった。大阪経済大学は「国際共創学部」を、下関市立大学は「データサイエンス学部」を、それぞれ2024年度に設置。尚絅(しょうけい)大学(熊本県)では「こども教育学部」を2023年度に設置している。いずれの大学も、新設学部の分野に関連したイメージ項目の上昇が見られるが、共通して「地域貢献」因子のランクが上昇している。これは、設置した学部分野が地域・社会要請に応えたものであり、大きな期待が寄せられていると考えられる。これらの3大学は、学部新設という大きな広報・コミュニケーション機会を最大限に活用できた事例といえるだろう。

本調査では、大学ブランド総合力を算出するためのイメージ項目以外にも、大学の「認知率」や、口コミなどに影響される「入学推薦率」「採用意向率」などロイヤルティに関わる結果を客観的評価としてまとめている。大学ブランドの浸透度合いに合わせた戦略的なコミュニケーション活動に、ぜひお役立ていただきたい。

表1:大学ブランド総合力ランキング地域別TOP3(ビジネスパーソンベース) 【東日本編 北海道】(14校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 80.9 北海道大学 国立 北海道 1位 3.4
2位 54.8 小樽商科大学 国立 北海道 2位 1.3
3位 51.6 北海道教育大学 国立 北海道 3位 ▲ 0.4
【東日本編 東北】(38校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 92.7 東北大学 国立 宮城県 1位 5.2
2位 58.4 岩手大学 国立 岩手県 4位 1.2
3位 57.6 東北学院大学 私立 宮城県 2位 ▲ 2.5
【東日本編 北関東】(20校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 81.7 筑波大学 国立 茨城県 1位 ▲ 0.3
2位 58.9 群馬大学 国立 群馬県 2位 3.2
3位 54.3 茨城大学 国立 茨城県 3位 0.3
【東日本編 甲信越】(22校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 77.7 信州大学 国立 長野県 1位 ▲ 0.3
2位 70.8 新潟大学 国立 新潟県 2位 0.3
3位 55.6 長岡技術科学大学 国立 新潟県 3位 ▲ 2.9
3位 55.6 山梨大学 国立 山梨県 4位 ▲ 2.2
【首都圏編】(120校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 90.1 東京大学 国立 東京都 1位 ▲ 0.1
2位 83.5 早稲田大学 私立 東京都 3位 4.5
3位 81.5 慶應義塾大学 私立 東京都 2位 0.7
【北陸・東海編】(65校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 89.0 名古屋大学 国立 愛知県 1位 ▲ 2.9
2位 68.7 金沢大学 国立 石川県 2位 2.2
3位 68.5 南山大学 私立 愛知県 3位 3.0
【近畿編】(67校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 92.4 京都大学 国立 京都府 1位 1.4
2位 76.1 大阪大学 国立 大阪府 2位 0.4
3位 73.8 同志社大学 私立 京都府 3位 4.3
【中国・四国編】(60校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 89.5 広島大学 国立 広島県 1位 0.1
2位 83.5 岡山大学 国立 岡山県 2位 0.4
3位 67.3 愛媛大学 国立 愛媛県 3位 1.4
【九州・沖縄・山口編】(55校中の順位)
大学ブランド
総合力ランキング
大学名 大学種別 所在地 前回順位 前回との
スコア差(pt)
順位 スコア(pt)
1位 87.3 九州大学 国立 福岡県 1位 ▲ 8.1
2位 73.3 熊本大学 国立 熊本県 2位 2.9
3位 69.2 福岡大学 私立 福岡県 3位 2.4
表2:大学ブランド総合力ランキング上昇大学(ビジネスパーソンベース) 各地域で顕著にランキングが上昇した大学を選定。
地域
()内はノミネート校数
大学種別 所在地 大学名 大学ブランド
総合力ランキング
今回 前回 上昇
ランク
東日本編 北海道域
(14校)
公立 北海道 札幌市立大学 8位 11位 3ランク
東北域(38校) 私立 福島県 奥羽大学 25位 32位 7ランク
北関東域
(20校)
私立 群馬県 高崎商科大学 8位 12位 4ランク
甲信越域
(22校)
公立 長野県 公立諏訪東京理科大学 11位 20位 9ランク
私立 新潟県 長岡大学 12位 19位 7ランク
公立 長野県 長野大学 7位 14位 7ランク
北陸・東海編域
(65校)
国立 富山県 富山大学 12位 24位 12
ランク
私立 愛知県 愛知学泉大学 49位 59位 10
ランク
近畿編域
(67校)
私立 京都府 京都先端科学大学 38位 56位 18
ランク
私立 大阪府 大阪経済大学 26位 38位 12
ランク
中国・四国編域
(60校)
私立 香川県 四国学院大学 31位 46位 15
ランク
公立 山口県 下関市立大学 32位 42位 10
ランク
九州域
沖縄域
山口編
(55校)
私立 福岡県 福岡工業大学 11位 28位 17
ランク
公立 山口県 下関市立大学 37位 52位 15
ランク
国立 宮崎県 宮崎大学 17位 31位 14
ランク
私立 宮崎県 宮崎産業経営大学 40位 54位 14
ランク
私立 熊本県 尚絅大学 43位 55位 12
ランク

※「首都圏編」では、ノミネート校数(120校)に対して大きく上昇している大学がないため選出していない。

「大学ブランド・イメージ調査2024-2025」調査概要
【東日本編】【首都圏編】【北陸・東海編】【近畿編】【中国・四国編】【九州・沖縄・山口編】

全国の主要大学計459校(医科大学や体育大学、短期大学などは除外)の「大学ブランド総合力」算出を目的としたインターネット調査。
日経BPコンサルティングの提携先調査機関の調査モニターを中心に、同地域に居住し、仕事をしている方(ビジネスパーソン)や、中学生以上の子どもがいる保護者、教育関連従事者に回答を依頼。「地域産業への貢献度」や「研究施設の充実度」、また学生の「語学力」や「コミュニケーション能力の高さ」など大学や学生へのブランド・イメージ36項目を測定。それらから大学ブランド総合力(偏差値)を算出してランキング化した。調査設計や分析にあたり、企業ブランドおよび製品/サービスブランドの調査で実績のある「ブランド・ジャパン」で培ったノウハウを活用。調査するイメージ項目を洗い出した。
調査期間は2024年7月17日~8月15日、9地域全体の有効回答者数は約52、000人。2024年11月20日に地域ごとの調査報告書を発行・発売した。

(本リリースのURL:https://consult.nikkeibp.co.jp/info/news/2024/1120ubj/

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このリリース/報告書に関するお問い合わせ先

日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部
伊藤 憲

〒105-8308 東京都港区虎ノ門4-3-12

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