「パーパスを規定している」の比率は18.6%と、4.4ポイント増加。
「パーパスを実践している人」も増えており、そのような層の心理的安全性は高い。
【研究調査】
― 「パーパス共感度調査2023」 12月13日に調査結果公開 ―

2023年12月13日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)はこのほど、今回2回目となる「[研究調査]パーパス共感度調査」を実施した。調査では、全国のビジネスパーソン(有効回答者数5337人)を対象に、社会的存在意義(パーパスや企業理念など)への関心や浸透、勤務先へのロイヤルティ、働く際の心理的安全性に関する意識などを尋ねた。また、これらの相互の関係性を定量的に分析した(調査概要は下部参照)。

弊社では今後、本調査結果を日本のベンチマークスコアとして利活用し、個々の企業における診断・調査に取り組むとともに、企業価値向上へのインパクトについて研究を進める。

調査結果データ

「パーパスを規定している」は、前回より増加。一方で、海外と比べると低い

「勤め先で社会的存在意義を示す文言を規定している」と答えたのは43.5%だった(図1)。「規定している」と答えた人のうち、最も多かったのは「企業理念(またはビジョンなど)で規定している」で71.0%だった。「パーパスとして規定している」は18.6%で、前回(2022年10月実施)の14.2%より4.4pt増となった。日本において、パーパスに重きを置く企業が増えていることがうかがえる。一方で、ベンチマークとして同様に調査対象とした海外3か所において、「パーパスとして規定している」の回答比率は、ニューヨークで66.3%、上海で55.6%、ソウルで28.8%となった(図2)。海外の3都市と比べると、日本は低い結果となった。

図1.勤め先の社会的存在意義の規定
勤め先の社会的存在意義の規定
図2.(都市別)勤め先のパーパスの規定
(都市別)勤め先のパーパスの規定

パーパスを実践している人が増加。実践している人は心理的安全性も高い

勤め先の社会的存在意義に対しての考えを尋ねた設問では、「関心がある」が31.2%(前回29.2%)、「内容を理解している」が48.8%(同49.6%)、「内容が腹落ちし、共感している」が34.3%(同31.2%)、「実践している」が34.8%(同29.2%)となった(図3)。パーパスを自身の業務や行動へ反映している人が前回よりも増えた。

心理的安全性に関する設問では、「このチームでは、急なトラブルがあっても、前に進むためのディスカッションができる」という項目で、パーパスを実践している人は、そうでない人よりも、41.1pt肯定のスコアが高かった(図4)。また、「このチームでは、メンバーが困難や難題を提起することができる」においても、実践している人は、肯定のスコアがそうでない人よりも37.7pt高かった(図5)。心理的安全性の高い職場を目指す上で、パーパスの影響が大きいことが示唆される。

図3.社会的存在意義の規定に対する意識
社会的存在意義の規定に対する意識
図4.(社会的存在意義の実践有無別)
【このチームでは、急なトラブルがあっても、前に進むためのディスカッションができる】のスコア
(社会的存在意義の実践有無別)【このチームでは、急なトラブルがあっても、前に進むためのディスカッションができる】のスコア
図5.(社会的存在意義の実践有無別)
【このチームでは、メンバーが困難や難題を提起することができる】のスコア
(社会的存在意義の実践有無別) 【このチームでは、メンバーが困難や難題を提起することができる】のスコア

社会的存在意義の浸透施策のトップ5は前回と同じ項目。一方で、役立ちそうな施策では「経営理念の体系化」「コーポレートサイトでの発信」「従業員意識調査等のサーベイ」が上昇

自社の社会的存在意義を社内に浸透させるためにどのような浸透施策をおこなっているかという設問では、トップ5が「社内報」「社内イントラ」「研修やワークショップ」「イベント、式典」「冊子」と、前回と同じ項目が並んだ(図6)。一方で、社会的存在意義の社内浸透に「今後役立ちそう・効果がありそう」と思える施策に関する設問では、トップ5が「研修やワークショップ」「社内報」「社内イントラ」「経営理念の体系化」「表彰制度の運用」となった(図7)。前回より特に上昇幅が大きかったものとしては、「経営理念の体系化」が5.2pt増、「コーポレートサイトでの発信」が4.0pt増、「従業員意識調査等のサーベイ」が3.6pt増となった。

図6.社会的存在意義の浸透のために現在おこなっている施策
社会的存在意義の浸透のために現在おこなっている施策
図7.社会的存在意義の浸透に今後「役立ちそう」「効果がありそう」と思える施策
社会的存在意義の浸透に今後「役立ちそう」「効果がありそう」と思える施策
「パーパス共感度調査2023」調査概要
  • 調査名称:

    パーパス共感度調査2023

  • 調査機関:

    株式会社日経BPコンサルティング ブランド本部

  • 調査目的:

    ビジネスパーソンを対象に、社会的存在意義の浸透や関心、心理的安全性の相互の関係などを明らかにする。

  • 主な調査内容:
    • ・社会的存在意義の規定、浸透度、浸透に向けた施策に関する設問
    • ・ロイヤルティ・心理的安全性に関する設問
    • ・労働環境実態、社内のコミュニケーション状況に関する設問
  • 調査方法:

    インターネット調査

  • 調査対象者:

    全国のビジネスパーソン(弊社提携パネル)

  • 調査期間:

    2023年10月5日~2023年10月13日(日本)
    2023年10月19日~2023年10月30日(海外)

  • 告知方法:

    調査協力依頼メールを配信

  • 有効回答数:

    5,337人

この社会的存在意義規定層を抽出するにあたり、12,278人に対して、スクリーニング調査を実施。なお、1企業1回答形式ではない。

※自社研究用に、同様の調査を、ニューヨーク、上海、ソウルでも実施

日経BPコンサルティング:日経BP全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9000万円)

このリリースに関するお問い合わせ

株式会社日経BPコンサルティング ブランド本部
担当:大平
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