日経BPコンサルティング調べ 「大学ブランド・イメージ調査 2022-2023」 (2022年8月実施)

甲信越編で新潟大学が、調査開始以来初の第1位を獲得
中村学園大学、日本文理大学などで認知率が上昇

2022年11月25日

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、今回で16年目になる「大学ブランド・イメージ調査 (2022-2023)」の結果をまとめ、11月25日に調査報告書を発行・発売した(調査実施は2022年7~8月)。
当調査では、全国9地域457大学について、各大学の認知やブランド・イメージなどを尋ね、大学ブランド総合力を算出し全国9地域ごとのランキングを作成した。

【調査結果のポイント】

  • 甲信越編では新潟大学が、調査開始以来初の第1位を獲得

  • 地域別大学ブランド総合力(49のブランド・イメージ項目の得票率を束ねて算出した総合スコア)ランキングでは、各地域上位で国立大学が増加

  • 大学認知率の上昇は中村学園大学(福岡県)が全国トップ。日本文理大学(大分県)が続く

調査結果データ

甲信越編では新潟大学が、調査開始以来初の第1位を獲得

調査対象となった全国9地域それぞれの大学ブランド総合力ランキングの第1位は、甲信越編を除く8地域で前回と同様の大学が獲得した(北海道編:北海道大学、東北編:東北大学、北関東編:筑波大学、首都圏編:東京大学、北陸・東海編:名古屋大学、近畿編:京都大学、中国・四国編:広島大学、九州・沖縄・山口編:九州大学 が各地域の第1位)。そんな中、今回変化を見せたのは甲信越編。この地域では、新潟大学が常に第2位というポジションとなっていたが、今回初めて首位となった。

新潟大学のブランド総合力は78.9ポイントで前回から10.3ポイント上昇。これは、ノミネート対象全457大学のトップとなっている。第2位以降の大学でもポイントが上昇しているケースがあるが、新潟大学はそれらよりも大きくポイントが上昇した。49項目のイメージ項目の得票率を見ると、全般的に得票率が上昇している中で、特に学生に対する「勉強、研究に熱心」「礼儀正しい」「集中力がある」などの項目で伸びた。Webサイトなどを通じて、在校生の様々な活動やその成果を積極的に情報発信したことが奏功したと推察される。

地域別大学ブランド総合力ランキングでは、各地域上位で国立大学が増加

全9地域の大学ブランド総合力ランキング上位5位(全48大学)を見ると、国立大学が3校増加し32大学、私立大学は2校増加し14大学といずれも増加している。

各地域の上位5位に今回新たに入った国立大学は、北陸・東海編の名古屋工業大学(前回6位から4位へ上昇)、中国・四国編の香川大学(前回7位から5位へ上昇)、鳥取大学(前回10位から5位へ上昇)、九州・沖縄・山口編の九州工業大学(前回7位から5位へ上昇)の4大学。上位5位から脱落した国立大学は1大学に留まる。

私立大学では、東北編の東北学院大学(前回7位から5位へ上昇)、北陸・東海編の名城大学(前回8位から5位へ上昇)、近畿編の立命館大学(前回6位から4位へ上昇)、九州・沖縄・山口編の西南学院大学(前回6位から3位へ上昇)の4大学が今回新たに上位5位以内に入った。代わって、2大学が上位5位から脱落した。一方で公立大学は2大学減少。トップ5に入る公立大学は、東北編第5位の国際教養大学、北関東編第5位の高崎経済大学の2大学に留まる。

大学認知率の上昇は中村学園大学が全国トップ

大学ブランド総合力と関連性の強い認知率では、中村学園大学(福岡県)と日本文理大学(大分県)が今回大きく上昇した。

中村学園大学は前回の53.0%から7.4ポイント上昇し、今回60.4%と6割台に到達した。大学ブランド総合力も4.3ポイント上昇、6因子分析(※1)の「上品・誠実」も6.1ポイントと大幅に上昇した。中村学園大学では2021年に公式ホームページをリニューアルし、グループ校サイトに共通のキャッチコピー(「花ひらけ。」)やコピーにまつわるデザインを展開した。また同時期に「花ひらけ。」をコンセプトにした学生のボランティア活動を行うことで、地域社会への訴求力を増すことができたと考えられる。このような一貫性を持ったコミュニケーションを展開することで、認知率の向上とブランド・イメージの浸透に繋がったと考えられる。

日本文理大学は前回の45.2%から7.2ポイント上昇し、今回52.4%となっている。日本文理大学は2022年に55周年を迎えた。これに合わせて、周年特設サイトを立ち上げ、改めてステークホルダーに向けたメッセージを効率的に発信している。このような定期的なコミュニケーションが、大学認知率の向上に寄与したと推察される。

(※1)6因子分析・・・49項目のイメージを因子分析によって、「一流」「躍動感」「創造力」「グローバル」「地域貢献」「上品・誠実」に分類し、それぞれを構成するイメージ項目の獲得割合をまとめ偏差値化した。本リリースで紹介した「上品・誠実」を構成するのは、「センスがいい、かっこいい」「好感が持てる」「誠実である、正直である」「礼儀正しい、上品である」の4つのイメージ項目。

「SDGs関心層」がビジネスパーソン、学生の父母で微増

「SDGsに積極的に取り組む大学にどの程度関心が湧くか」を5段階で尋ねた。「とても関心が湧く」「関心が湧く」「やや関心が湧く」のいずれかを選択した人を「SDGs関心層」と定義した。前回の調査では、「SDGs関心層」の9地域の平均割合が、ビジネスパーソンで40.5%、学生の父母(中学生以上の子どもがいる保護者)で46.6%だったが、今回は、ビジネスパーソン層で42.2%(1.7ポイント増加)、学生の父母で48.2%(1.6ポイント増加)だった。若干ではあるが、SDGsに積極的に取り組む大学への関心が増しているといえる。一方、教育関連従事者においては、前回61.6%から今回は59.3%と2.3ポイント減少しているものの、約6割が関心を示していることから、大学のブランド醸成に一定の影響を及ぼすと考えられる。

【SDGsに積極的だと思う大学】

「SDGsへの取り組みや活動に積極的だと思える大学」を地域に関係なく、自由記述(純粋想起)で尋ねた。回答が多く挙がった上位3大学は、東京大学(1,194件)、近畿大学(841件)、早稲田大学(588件)で前回と変わらなかった。同程度の認知率の大学に比べ、「SDGsに積極的だと思う大学」として全国で想起された件数が多い大学は、岡山大学、金沢工業大学、立命館アジア太平洋大学、東京都市大学、東京海洋大学、富山大学、長岡技術科学大学、国際教養大学、鳥取環境大学など9大学が挙げられる(表1)。

この9大学は、同認知率帯の大学に比べ、「SDGsに積極的な大学」として想起されていることから、「SDGs」に積極的に取り組むことで、全国的な大学のブランド価値を向上させている大学と考えられる。取り組みは「継続的」かつ「実践的」である必要がある。例えば、鳥取環境大学では2018年に「SDGs取組宣言」を発表すると、翌年2019年には「SDGs中期事業計画」を策定し、2024年まで計画を推進するとしている。また、富山大学では令和4年度の改組で大学院に「持続可能社会創成学環」を設置し、持続可能社会の構築に貢献する人材の育成に力をいれている。実践的且つ継続的なSDGsへの取り組みは、大学の特徴・魅力となり、長期的に大学のブランド価値を向上させると考えられる。

表1:「大学認知率」と「SDGsに積極的な大学としてあがった件数」の分布

※横軸は各調査地域内での大学認知率。縦軸は全国で「SDGsに積極的だと思う大学」として名前のあがった件数。
※457のノミネート大学の内、2件以上名前のあがった204大学を散布図にプロットした。
表1:「大学認知率」と「SDGsに積極的な大学としてあがった件数」の分布 クリックで拡大

「大学ブランド・イメージ調査2022-2023」調査概要
【東日本編】【首都圏編】【北陸・東海編】【近畿編】【中国・四国編】【九州・沖縄・山口編】

全国の主要大学計457校(医科大学や体育大学、短期大学などは除外)の「大学ブランド総合力」算出を目的としたインターネット調査。
日経BPコンサルティングの提携先調査機関の調査モニターを中心に、同地域に居住し、仕事をしている方(ビジネスパーソン)や、中学生以上の子どもがいる保護者、教育関連従事者に回答を依頼。「地域産業への貢献度」や「研究施設の充実度」、また学生の「語学力」や「コミュニケーション能力の高さ」など大学や学生へのブランド・イメージ49項目を測定。それらから大学ブランド総合力(偏差値)を算出してランキング化した。調査設計や分析にあたり、企業ブランドおよび製品/サービスブランドの調査で実績のある「ブランド・ジャパン」で培ったノウハウを活用。調査するイメージ項目を洗い出した。調査期間は2022年7月22日~8月19日、9地域全体の有効回答者数は約44、000人。2022年11月25日に地域ごとの調査報告書を発行・発売した。
(本リリースのURL:https://consult.nikkeibp.co.jp/info/news/2022/1125ubj/

本調査では、大学ブランドを算出する49項目以外にも、大学の「認知率」や、口コミなどに影響される「入学推薦率」「採用意向率」などロイヤルティに関わる結果を客観的評価にまとめている。大学ブランドの浸透度合いに合わせた戦略的なコミュニケーション活動に、ぜひお役立ていただきたい。

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大学ブランド・デザインセンター(BDCU)では、大学ブランディング支援の実績が豊富なコンサルタントが、計画的で体系だった大学の全学広報、ブランドづくり、魅力度の向上をサポートします。当社の強みであるブランドコンサルティング力、編集・制作力、情報発信力を最大限に発揮し、大学の「(認知を)ひろげる」「(個性で)とがる」「(ステークホルダーを)よろこばす」という3つのステップを総合的に支援します。

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日経BPコンサルティング

日経BP全額出資の「調査・コンサルティング」、「企画・編集」、「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9000万円)

このリリース/報告書に関するお問い合わせ先

日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部
伊藤 憲

〒105-8308 東京都港区虎ノ門4-3-12

https://consult.nikkeibp.co.jp/

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