マーケティングのデジタルシフトは続くが、効果は低下
アナログ施策は効果を見定めて活用
デジタル・アナログ組み合わせ施策の満足度は過去最高
日経BPコンサルティング調べ「デジタル・アナログ領域のマーケティング施策実態調査(第6回)」
2020年3月9日
株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、上場企業を対象として、マーケティング活動における「デジタル施策」と「アナログ施策」、「デジタル・アナログ組み合わせ施策(デジ・アナ施策)」の実施状況と効果を尋ねる調査を2020年1~2月に実施した。
調査は毎年実施しており、2017年から4年分の結果を分析した。
「デジタル施策」の実施企業は73.3%、多くの目的での利用が進む
オウンドメディアの運用やメールマガジンの発行などの「デジタル施策」の実施企業は73.3%、2019年から8.1ポイント増えた(図表1)。ダイレクトメール(DM)などの「アナログ施策」の実施企業は41.4%、2019年から9.9ポイント減った。「デジ・アナ施策」の実施企業は31.1%、4年間ほぼ横ばいである。
各施策の実施目的では、3施策とも共通して「新規顧客の掘り起こし」が最も高い(図表2)。「デジタル施策」では提示した8項目全てで回答率が上昇、図表1で見た「デジタル施策」の実施率の伸びを裏付けている。
売上効果はアナログが優位、デジタルと組み合わせた効果は上昇
「デジタル施策」と「アナログ施策」の売上効果に対する満足度を比べると、「効果をあげている」との回答が「デジタル施策」では大きく減り、「アナログ施策」では増えるという対照的な結果となった(図表3-1)。「デジタル施策」は2019年から9.5ポイント下がり36.2%、一方で「アナログ施策」は2019年から10.4ポイント増えて65.8%となった。「デジタル施策」の実施率は上昇傾向にあるが、その効果は低下している。反対に、「アナログ施策」を実施する企業は減ったが、効果が見込める施策に絞ってマーケティングに活用するようになっているようだ。
回答者が担当する商品やサービスの領域別に、デジタル施策の「効果をあげている」の回答率を比べると、「BtoC向けが中心」の回答者では54.4%、「BtoB向けが中心」では26.9%と大きな差がある(図表3-2)
「アナログ施策」単独での実施率が低下する中で、「デジ・アナ施策」を実施する企業は横ばいだったが、その効果の満足度は2019年から5.5ポイント増えて67.5%、4年間で最も高い値である。この実施企業ではデジタルとアナログの組み合わせ方についてのノウハウが蓄積され、上手に活用している姿が伺われる。
BtoC向けマーケティングで「メール受信可の顧客が少ない」の課題が増大
デジタル施策を推進する上での課題を見ると、「サイト内直帰率が高く、ユーザビリティが悪い」(24.3%)、「メールを中心としたシナリオ設計の最適解を描けていない」(23.2%)が多い(図表4-1)。これら2項目の回答率は2017年から2019年にかけて上昇していたが、今回はそれぞれ約4ポイント下がった。BtoC向けが中心の回答者は、「メール受信可の顧客が少ない」を課題に挙げる人が27.2%と2019年から11.7ポイント増えた(図表4-2)。BtoB向けではこの回答率は低いままなのでBtoC向けマーケティングでの新たな課題といえる。
図表1:各施策の実施状況
図表2:各施策の実施目的
図表3-1:「デジタル施策」、「アナログ施策」の売上効果に対する満足度、
両者の組み合わせ活用の効果に対する満足度
図表3-2:商品やサービスの担当領域別に見た売上効果に対する満足度、
両者の組み合わせ活用の効果に対する満足度
図表4-1:デジタル施策を推進する上での課題
図表4-2:商品やサービスの担当領域別に見たデジタル施策を推進する上での課題
調査概要
調査対象 | 上場企業のマーケティング担当者(発送数は3,731社) |
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調査手法 | 郵送調査 |
有効回答数 | 367件 |
調査実施期間 | 2020年1月9日に調査票を発送、2月6日までの到着分を集計対象とした |
調査企画・実施 | 日経BPコンサルティング |
日経BPコンサルティング:日経BP全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9000万円)
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